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2007年01月20日

カ軍田口流マッサージに見た5年の苦闘

 年末に名古屋を訪れたカージナルス田口壮外野手(37)に「あれ、まだやってるんだよ」と言われた。あれとは、背中のマッサージのこと。プロ野球選手がプレーの前後に体をほぐすのはあたりまえなのだが、田口には独特なやり方がある。トレーナーに任せてばかりいるのではなく、野球のボールを使って自分でやるのだ。

 どうやるのかというと、まず床にボールを置き、その上に仰向けに寝転がる。天井を向いたまま左右の足を軽く踏ん張り、ボールを背筋に沿わせてグリグリ動かすのだ。言われた通りにやってみると妙な気分になる。ボールと接している部分に自分の体重がかかるため確かに「効く」のだが、視線は地べたスレスレ。プライドの高いメジャーリーガーのやることとは、とても思えない。

 元をたどれば、厳しい環境の中で身につけた自己防衛法だった。02年にカージナルス入りした田口を待っていたのはマイナー生活。2年目など、開幕日にマイナー降格を通告された。精神的苦痛は大きかったはず。だが、田口は腐らなかった。トレーナーがいなければ、自分でやればいい。独自のマッサージで体を手入れし続け、少ないチャンスに食らいついてきたのだ。

 昨秋ワールドシリーズを制した直後、田口はカ軍ラルーサ監督に最敬礼を示された。歓喜のグラウンドで顔を合わせるや拝むようなポーズでお辞儀され、さらに抱きしめられた。入団当初では考えられないような感謝と信頼を示されたのは「ハードワーク」であり「試合での状況判断能力」のたま物だろう。そして、5年にわたって見せ続けてきた「前向きな姿勢」が、気難しい指揮官に届いていたのだと思う。

 田口は言う。「オレ、ボールのマッサージ、うまくなったよ。今はこのくらいの筋肉の張りなら大丈夫というのがわかるようになったからね。だから、いやいやボールを使っているわけではぜんぜんないよ」。1人マッサージをいつの間にかプラスに転嫁しているこのたくましさ。感心させられると同時に、5年の苦闘を垣間見た気がした。

(村野森)


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