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2007年03月15日

キックは手で蹴る、トヨタ広瀬の職人芸

 ラグビー元日本代表のトヨタ自動車SO広瀬佳司(33)が、来季も現役を続ける決意を固めた。今季はシーズン終盤に左足太ももの肉離れで日本選手権を2試合欠場するなど苦しんでいた。「まだラグビーがしたい気持ちが強い」と話すのを聞いて、記者もうれしくなった。誰にも真似のできないあのキックを、来季も見られるからだ。

 広瀬と言えば、ゴールキックだ。ティーではなく砂の上にボールを置くスタイル。はっきり言って、時代遅れに見える。だが、その決定力は他の追随を許さない。今季もトップリーグ(TL)で3年連続となるベストキッカー(47ゴール18PG)を獲得した。なぜ「砂」にこだわるのか、話してくれたことがある。

 「長い芝の上にティーを置けば浮いてしまうし、短い芝だと低くなる。風によってもボールの高さ、角度を変えたい。砂ならそれを調整できるんです」。

 つまり、両手で砂を包み込むように固めるのがキックの第1歩ということだ。芝の状態を確かめ、その下に隠れる地面の固さも実際にさわって確かめる。てのひらから感じ取った情報をもとに、作った山はそのままでいいのか、それとも砂を何粒取り除いたらいいのかを判断。言葉にできないほど細やかな調節を施し、ボールを置く角度も変える。ベストキッカーは、誰より「手」を大切にしていた。

 キックへの探究心は並はずれている。今季は足を痛めたときの蹴(け)り方まで練習した。「具体的には(軸足の)左足をあまり踏み込まないって言うんですかね…」。故障していないときに比べ、まったく違うタイミングのキック。それを全体練習後、黙々と反復練習して自分のものにした。TLプレーオフ・東芝戦では前半19分、途中交代直前に左足太ももを肉離れした状態でGKを成功させた。「あの時は『ああ練習しといてよかったな』って思いましたよ」と振り返る。

 来季もほれぼれするようなキックを見せてくれるのだろうか。シーズンが終わって間がないが、開幕が待ち遠しい。

(桝井聡)


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