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2008年12月08日

忘れられない米山の惜別ゴール

 担当する名古屋が08年のJ1を3位で終えた。最終節まで優勝を争っての、堂々トップ3フィニッシュだった。

 リーグ全34試合を取材する機会に恵まれた。17勝で熱くなり、8分けをまあヨシとして、9敗を悔やんだ。総得点48点のたびにボルテージが上がり、同失点35を献上し、がっかりした。

 思い出深いシーンばかりだったが、競技場とピッチの選手たちの一体感が生んだ熱狂度は、11月30日ホーム最終戦、第33節札幌戦(瑞穂陸)の後半ロスタイムにFKからDF米山篤志(32)が直接決めた得点の直後、最高潮に達したと思っている。

 今季限りでの退団が決まった米山が、FKから名古屋移籍後初めて決めたゴール。無回転のブレ球FKで、あり得ない軌道を描いた。引き分け以下でV逸という中、2-1とリードしながらも相手に押され気味でタジタジになり、名古屋は土俵際にいた。そんなチームを、去りゆく男が救った。ベンチ前には、米山を中心にした輪ができ、会場では、涙した人も多かったと聞いた。

 ベンチ前の輪が解けると、主役は珍しくメーンスタンドに向け、誇らしげにガッツポーズを作った。その先にはバランスを考えた食事など、献身的に支えてくれる妻亜希子さんがいた。05年秋の結婚後、2度の移籍を経験。名古屋から契約を延長しないと通告されたこの冬は、3度目の移籍が確実となった。ともに新たな道を進む妻に贈る、結婚後の初ゴールでもあった。

 試合後「奥さんにガッツポーズしましたよね?」と聞いた。クールな米山には「そんなことは考えてないよ」と即座に否定された。だから、奥さんにも聞いた。「奥さんの方に向けてガッツポーズしてましたよね?」。亜希子さんは笑顔だった。「はい。ちゃんと見てましたから」。この答えで十分だった。

 「去りゆく前に、いい置きみやげができた」。カメラの前でこう語った米山のゴールは会場も熱狂させ、愛妻にも届いた。ピクシー初年度、3位の好成績を残した08年を振り返る時に、あのゴールの軌道は絶対に外せない。

(八反誠)


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