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2008年07月03日

競輪界の怪物滝沢、引退後の活躍楽しみ

 また1人、名レーサーがバンクを去った。6月27日に滝沢正光(48=千葉)が現役引退を表明した。滝沢は賞金王に輝くこと4回。全G1を制覇するグランドスラムを達成するなど、怪物の異名でファンに心から愛された。現役最後のシリーズとなった富山記念はまさに鬼気迫る走りだった。ラインを度外視して自力の走りにこだわり、最終日には先行策に出た。最後の最後まで引退を口にすることはなかったが、その走りを見れば秘める決意は自然と理解できた。

 全盛時の走りは資料映像でしか見たことはないが、最近になっても何度も取材する機会はあった。ベテラン記者だろうが、駆け出しの記者であろうが、滝沢の態度はいつも変わらない。常に謙虚で、逆にこちらが恐縮してしまうぐらい、礼儀正しかった。大きな体いっぱいに汗をかき、照れながら「よろしくお願いします」と笑顔で頭を下げる姿は、とても競輪界史上最強の男とは思えなかった。

 現役時代から競輪学校の名誉教官を兼任していた滝沢は、10月からは専任教官として指導にあたる。「選手としては限界。全力で後進の指導に専念したい」と引退会見では強い決意を口にした。競輪界のトップに登りつめた滝沢だが、自転車競技のエリートだったわけではない。学生時代はバレー部に所属し、競輪学校にも自転車とは関係なく、適性試験で入学した。雑草から圧倒的な練習量で頂点へ立った男の指導を受けることができる生徒は、なんとも幸せだ。

 バンクから、ブラウン管から、表舞台で活躍が見られなくなるのはさびしいが、競輪学校の教官は人間性にも優れる滝沢にとっては天職だろう。暖かくも厳しい指導で、未来の競輪界を背負って立つ“滝沢2世”をきっと育ててくれるはず。そんな日を楽しみに待ちたいと思う。

(川尻将志)


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 98年に入社し競輪担当。00年から1年あまり、サッカーなど一般スポーツ担当を経て、再び競輪担当。香川県生まれの愛媛育ち。41歳。
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