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2009年11月06日

トヨタF1撤退 ナンバー1自動車メーカーの決断が世界に与える大きなインパクト

 トヨタがF1からの撤退を発表した、それも今季限りでの撤退。いろいろな人から感想を聞かれたが、率直な気持ちを言えば「あっけない」という感じだろうか? 昨年のスーパーアグリ、ホンダF1、スバルやスズキのWRC撤退に三菱のダカールラリー……。この僅か2年ほどで、あまりに多くの「お葬式」に立ち会ったので、既に自分の感覚が麻痺しつつあるような気もする。

 いや、それはおそらく、日本の社会全体も同じだろう。昨日の会見から一夜明けた今朝の新聞は1面で大きく「トヨタF1撤退」を告げ、昨今の経済危機だけではなく、自動車を取り巻く社会環境の変化の中で、自動車メーカーがモータースポーツに積極的に関わっていく事が難しくなっていると解説。皮肉な話だが、全国紙でF1がこれほど大きく扱われたのは、今回の「トヨタ撤退」を伝えるニュースが初めてではないだろうか?

 そういえば、午後5時から行われた昨日の記者会見でも民放各局が中継車まで出して、夕方のニュース番組に対応してたっけ。世界でも数少ない「地上波ではF1中継を生で見られない国」なのに、F1撤退のニュースは生放送かぁ……。悲しいけれど、これがニッポンF1が根本から抱える、「厳しいF1の現実」なのかもしれない。

 また、こうしたメディアの対応は同時に「世界一の自動車メーカー」であるトヨタの決断が、社会全体に対していかに大きなメッセージとなり得るかを、とても分かりやすく象徴している。「もう、自動車メーカーがエフワンなんかに関わっている時代じゃない」という考え方は今回のトヨタの撤退を契機に、日本国内のみならず、世界へも発信され、この国よりもずっと深くモータースポーツが社会に根付いていたはずのヨーロッパでも、次第に一般化していくのかもしれない。グローバルな市場での意識の変化は、時としてそれぞれの地域に根ざし、定着していた「文化」や「伝統」さえ、いとも簡単に破壊してしまうエネルギーを持っている。「日本のメーカーがF1を止めても、本場、ヨーロッパは大丈夫」という感覚が、今後も通用するとは限らない。

 既にこの夏、BMWがホンダの後を追い、経営不振に加えて、先ごろ発覚した「シンガポールGP八百長疑惑」でのイメージダウンに苦しむルノーにも撤退の影が付きまとう。この10年、自動車メーカーの積極的な参入で拡大、繁栄、膨張を続けてきたF1GPだが、昨年、ホンダが蹴破った「F1撤退」という非常口から、こうして自動車メーカーが次々と脱出すれば「風船(バブル)」に開いた傷口は更に広がり、その流れを止めることは難しいだろう。バブルが過ぎ去った後が「バブル前」より遥かに悲惨で、難しい状況となるのは、F1に限らず、どんな世界でも同じことだ。トヨタの撤退で加速するであろうバブルの完全崩壊が、今後、他のメーカーにどんな影響を及ぼすのか? F1の残された彼らがこの流れを画一的に捉えず、むしろ一種の好機と捉える柔軟な発想で「したたかに」活かしながら、何とかF1を支えていって欲しいのだが……。


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F1放浪記
川喜田研(かわきた・けん)
 1965年(昭和40年)4月20日、横浜生まれ。91年から「F1速報」、「レーシングオン」のスタッフライターとして働き、99年からフリーのF1ジャーナリストに。  現在は「スポルティーバ」(集英社)「カーグラフィック」(二玄社)などに執筆中。  愛称の「ちんぱん」は、成人男子とは思えないほどの落ち着きの無さ(本人は旺盛な好奇心ゆえと認識していますが…)や、締め切り直前のパニック状態(昔は編集部で跳ねたり、踊ったり、叫び声を上げたりという奇行を演じていたようです)がチンパンジーに似ていたことに由来する。

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