2009年5月27日
強いブラウンGP!でもお金の事が心配…
ブラウンGPの勢いが止まらない。超低速コースのモナコGPでもバトンとバリチェロが1-2フィニッシュ! 特にバトンは文句のつけようのない完璧な勝ちっぷりだ。本人は「タフなレースだった……」と振り返るが、ヘルメットを被ったまま表彰台に走って行く姿を見て、体力的にも精神的にも余裕があったんだなぁ……と改めて感心してしまった。ちなみに今回も2位のバリチェロは、汗だくで体力も使い果たしたような様子だったから、あれでイッパイイッパイだったんだろう。レース後半、シートベルトが緩んでいたということだから、それもキツかったのかも知れないが、この人、「万年ナンバー2」の運命からは最後まで逃れなれないんだろうなぁ……。
それにしても、ブラウンGPの強さはホンモノだ。開幕戦のメルボルンも確かに圧倒的な強さだったし、その後の成績を見れば「何を今さら」と思うかもしれないが、ロス・ブラウンの手になるマシンの出来がどんなに良かったとしても、今のブラウンGPが自動車メーカーの支援を受けない……、それどころかロクなメインスポンサーすら持たないプライベートチームであることに変わりは無い。もちろん、今季の参戦費用については、ホンダからの少なからぬ補償金で賄われているのだから、あの白い、カッコ悪いボディーが示すほどにはお金に困っていないのだろうが、仮にホンダからの「補償金」(手切れ金?)が巷でウワサされているように100億円近くあったとしても、それって他のトップチームに比べれば、決して多い予算ではないはずだ。
今シーズンのF1を見れば、ブラウンGPやレッドブルが活躍し、かなり金欠なはずのウィリアムズなんかも、そこそこ速かったりして「以外とF1はお金ばかりじゃないんだなぁ」と改めて新鮮な気持ちになったりするが、とはいえ、お金があると無いでは大違いだ。出だしで完全に躓いたフェラーリやマクラーレンはもちろん、「惜しいトコ」まで来てたように見えたトヨタやBMWが潤沢な資金と自動車メーカーの意地をかけて開発にムチを入れてきたとき、開発予算にも限りがあるはずのブラウンGPが本当に優位を守れるのか? それとも、序盤の活躍で大口のスポンサーを見つけて、ヨーロッパラウンドからは資金力でもトップチームと肩を並べることができるのか? シーズンの三分の1あたりが過ぎた頃には、その辺が見えてくるだろうと、興味シンシンだったのである。
で、結論から言えば、ブラウンGPは依然ライバルに対してシッカリとした優位を保っていると今回のモナコを見て感じた。もちろん、ライバルとの差は少しずつだが詰まっている。例えば、今回のフェラーリ。スペインGPからのアップデートでF60Bとなったマシンは確実な進歩を示しており、レース中のペースはブラウンと同等の速さを見せたシーンもあった。予選での戦い方やタイヤの使い方がもう少し向上すれば、フェラーリ復活をアピールする日も近いだろう。一方、序盤戦、ブラウンを追う存在だったレッドブル、トヨタ、BMWはモナコのコースにかなり苦戦していた、中でも特に酷かったのが、トヨタとBMWで、予選では日独の自動車メーカー直営チームが予選最後尾と後ろから2列目を独占! 完全にアタマを抱えている状態だった。
超低速で路面コンディションも独特なモナコは、一般的に空力よりもメカニカルグリップが重要なコースと言われている。いかに4輪を安定して設置させ、滑りやすい路面で確実にトラクションを得ることができるか? が勝負となるわけで、エアロダイナミクスへの依存度が高いマシンはそのあたりの弱点が露呈しやすい……とブリヂストンの浜島氏。そんなモナコの特性がここ数戦とは異なる「戦力地図」を描き出したのだとすれば「スペインでもモナコでも、圧倒的に速かった」ブラウンGPのマシンが、いかに空力とメカニカルグリップを高いレベルで両立させた「傑作」であるかが分かるだろう。同じ、ロス・ブラウン作のマシンということを別にしても。モナコのコースを優雅に走り抜ける、その姿が全盛期のフェラーリと重なって見えたのは、決して僕だけではないはずだ。
それではブラウンGPに死角はないのか? 僕はやっぱり「お金」のコトが心配だ。メインスポンサーになると思われたヴァージンとの本契約に向けた交渉は、少なくとも外から見る限り一向に進んでいないように思われるし、それほどの資金が出ているとも思えない。一部のメディアでは「ブラウンGPは他の大企業と交渉中で、ヴァージンも他チームに移るかも」という報道も流れている。まぁ、本当にアテがあるなら、別にヴァージンじゃなくてもいいのだが、来季のバジェットキャップ制(各チームの予算総額を最高4000万ポンドに制限するというFIAの新レギュレーション案)を巡るモズレーとチームの対立や、世界経済の状況を停滞ぶりを考えると、いくらブラウンGPが強くても、すんなりと大口スポンサーがつくほど、世の中甘くないような気がする。
仮にホンダからもらった今年の予算が100億円あったとしても、それで来季のマシン開発を賄う余裕は無いはずだ。来季に向けたマシン開発は通常、夏前には本格的にスタートしなければならないし、素晴らしいマシンで既にポイントで大きなリードを築いたとはいえ、これから追い上げてくるライバルたちと戦うためには、今シーズン中のマシン開発も手を緩めるわけには行かないだろう。あの、白ベースに蛍光イエローと黒のどーしようもなくダサいカラーリングのままで、シーズン末まで戦うようなことになれば、さすがに苦しいんじゃないかと思うのは、果たしてお節介だろうか?
来季のレギュレーションがどう落ち着くかにもよるが、F1は技術とお金の両輪が揃わなければ進まない。素晴らしいマシンで破竹の快進撃を続けるブラウンGPではあるが、今のままでは「不完全な、もしくは不自然なチーム」であることが、僕はどうも気になってならないのだ。
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