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2009年4月28日

戦略ミス…勝ち方を知らなかった?トヨタ

 勝負の世界ではよく「勝ち方を知っている…」っていう表現が使われる。でも「勝ち方を知っている」って、一体どういう意味なんだろうか? トヨタが初優勝のチャンスを逃したバーレーンGPの後で、多くの人が同じようなコトを考えたのではないだろうか? トゥルーリとグロックが予選でフロントローを独占しながら、レース戦略の失敗でチャンスを台無しにしてしまった今回のトヨタ。最初に確認しておくが、仮にトヨタが第2スティントでソフト側のタイヤを選んでいたとしても、ブラウンGPのバトンに「勝てた」とは限らない。いや、レース終盤、硬いプライムタイヤを履いたバトンが刻み続けたラップタイムを見ると、たとえ「ガチンコ勝負」でもブラウンGPの方が有利だったと見るべきなのかもしれない。

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 だが、第1スティントで築いたアドバンテージを、第2スティントで台無しにしてしまったトヨタの致命的な戦略ミスがなければ、レースは中盤から終盤にかけて確実に、緊張感にあふれたエキサイティングなシーンを見せてくれていたはずだ。「事前のシミュレーションの結果から、ソフト側のタイヤで長いスティントは難しいと考えた」というトヨタ陣営だが、ソフトとの比較で1周1秒近く遅いタイヤでロングスティントを走っても、早めのピットストップで失ったポジションを取り戻すことは難しい。「2ストップ、3ストップのどちらにも対応できるはずだった」(新居TDC)という状況でなぜ? トゥルーリとグロックがそろって「第2スティントでハードタイヤ」という戦略に固執したのか? 最悪、2台で戦略を分けて、不確かな状況に対応する事も可能だっただけに、今回の戦略ミスが返す返すも悔やまれる…。

 問題はなぜ、トヨタ陣営がこんな失敗をしてしまったのかというコトだ。あの状況で第2スティントに「ハード」を選択したのは、新居TDCのコメントにもあるように第2スティントのロングランで、ソフト側の「タレ」を心配してのこと。だが、トヨタも含め第1スティントでソフトを履いたドライバーのラップタイムを見れば、そこまでソフトのタレを心配する必要はなかったのではないだろうか? せっかく「速いマシン」を手に入れたトヨタなのだ。その「速さ」を積極的に生かして、もっとアグレッシブな戦略をとって欲しかったと思う。ようやくつかんだ「初優勝のチャンス」にブラウンやレッドブルといったライバルの戦略を意識し過ぎたのか…? 保守的? それとも考えすぎか? いずれにせよ、待望の初勝利を目前にしたトヨタ陣営が「平常心」ではなかったことが、手痛い戦略ミスにつながったように思えてならない。

 「勝ち方を知っている…」というのは「勝利を目前にしても、平常心を保ちながら、、自分の持っている力をシッカリと発揮できる」というコトなのかもしれない。逆の言い方をすれば、初勝利を目前にしながら、いろいろ考えすぎてトンチンカンな戦略を選んでしまったトヨタは「勝ち方を知らなかった」というコトか? とはいえ「初体験」は誰でも通る道。ジャンルを選ばず「初体験ではドキドキして失敗」ってのも、これまた決して珍しいコトじゃない。次にチャンスをつかんだ時は、この手痛い失敗を教訓に、バッチリ、キッチリ「決めて欲しい」モノである。いきなり勝てなくたっていいから、多少のリスクは犯しても、まずはガチンコの優勝争いを見せて欲しいぞ!

※ポールポジションを獲得し笑顔をみせるトヨタのトゥルーリ(左)と2位のグロック(AP)


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F1放浪記
川喜田研(かわきた・けん)
 1965年(昭和40年)4月20日、横浜生まれ。91年から「F1速報」、「レーシングオン」のスタッフライターとして働き、99年からフリーのF1ジャーナリストに。  現在は「スポルティーバ」(集英社)「カーグラフィック」(二玄社)などに執筆中。  愛称の「ちんぱん」は、成人男子とは思えないほどの落ち着きの無さ(本人は旺盛な好奇心ゆえと認識していますが…)や、締め切り直前のパニック状態(昔は編集部で跳ねたり、踊ったり、叫び声を上げたりという奇行を演じていたようです)がチンパンジーに似ていたことに由来する。

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