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2009年4月21日

開幕3戦で頭脳と経験の価値が証明された

 ブラウンGPの次はレッドブル! マレーシアに引き続き、雨のレースとなった第3戦中国GPはセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバーの1、2フィニッシュに終わった。土曜日の予選でレッドブル勢がフロントローを独占した時点で「こりゃエライ事になった」と思っていたが、日曜日の決勝でも3位のバトンをして「今日のレッドブル勢には太刀打ちできなかった」と白旗をあげさせる完璧なレースを展開。雨のレースだということや、セーフティーカーがコースに入ったタイミングがブラウンGPにはやや不利な状況だったとはいえ、ほぼ「ガチンコの勝利」と言っていい内容だ。いや、中国GP直前に「合法」の裁定が出た「ダブルディフューザー」を現時点では使っていないレッドブルがこれだけの戦闘力を発揮したことは「驚異的」ですらある。

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 それにしても、新レギュレーションの導入がここまでF1チームの勢力地図を書き換えてしまうとは! 開幕から3戦を終えた今シーズンのF1の印象をひと言で表すなら「うれしい誤算」だ。自動車メーカーが主役となったここ10年余りのF1では、チームの規模や資金力での「格差」が広がり、そうした基礎体力の大きさと「F1界プロパー」の人材、ノウハウを併せ持つチーム、すなわちフェラーリ、マクラーレン、ルノーなどのチームだけにガチンコで勝つチャンスが与えられていたのだが、今、僕たちが目にしているのは、そうした「F1界の常識」に反する出来事だと思う。

 空力を中心としたレギュレーションの大幅な変更が「仕切り直し効果」を発揮し、チーム間の実力差を一定のレベルで圧縮する可能性があることはある程度予想できたが、それでも資金力やチーム規模、データの蓄積量などでライバルを上回るトップチームが、新レギュレーションという新たな課題から「最適解」を導く上では、やはり優位にあるのではないかと考えていた。だが、開幕3戦を見る限りそれは大きな間違いだったようだ。

 マクラーレンが苦しい戦いを強いられるであろうことは、冬のテストの時点からある程度予想できていたが、フェラーリも「今シーズンを捨てて2010年にシフトか?」という声がでるほどの深刻な状況だ。
 そんなトップチームの苦境を尻目に、元フェラーリのロス・ブラウン率いるブラウンGPと、かつてマクラーレンのの黄金時代を築いたエイドリアン・ニューイの手になるレッドブルが快走を見せたことは決して偶然ではないだろう。現代F1界の「2大カリスマ」と言ってもいいブラウンとニューイの存在が単なる「名前だけ」ではないということを、この3戦で改めて思い知らされた気がする。もちろん、現代F1マシンの開発は多くのエンジニア、デザイナーたちによる「グループ作業」であり、ひとりの天才のひらめきでF1マシンが造られる時代ではないのだが、新レギュレーションへの対応という新たな課題に取り組むとき、ブラウンやニューイといった一流の人材の頭脳と経験が、開発チームのマネージメントでは大きな意味を持つことを、この結果は証明していると思う。

 それにしても、元ホンダのブラウンGPが、同じメルセデスV8を積む本家マクラーレンより速かったり、ルノーV8を積むレッドブルが本家ルノーを圧倒したり…と、かつての「スーパーアグリがホンダに勝った」みたいな構図がアタリマエに起きている今シーズンのF1はある意味、トンデモナイことになっていると思う。マジメに語れば、それだけ現代のF1における「車体技術」の重要性が高いということの証明でもあり、チーム規模や資金力だけでは決まらない「F1車体技術の奥の深さ」に改めて感じ入る。もちろん、圧倒的な物量を誇るメーカー系チームが、このまま指をくわえて黙っているはずもないだろう。面白いじゃないの、今シーズンのF1! 文字通り「何が起こるか分からない」展開なんて、本当に久しぶりだもんなぁ…。

※写真は今季初優勝を喜ぶレッドブルのベッテル(右)と2位のウェバー(AP)


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F1放浪記
川喜田研(かわきた・けん)
 1965年(昭和40年)4月20日、横浜生まれ。91年から「F1速報」、「レーシングオン」のスタッフライターとして働き、99年からフリーのF1ジャーナリストに。  現在は「スポルティーバ」(集英社)「カーグラフィック」(二玄社)などに執筆中。  愛称の「ちんぱん」は、成人男子とは思えないほどの落ち着きの無さ(本人は旺盛な好奇心ゆえと認識していますが…)や、締め切り直前のパニック状態(昔は編集部で跳ねたり、踊ったり、叫び声を上げたりという奇行を演じていたようです)がチンパンジーに似ていたことに由来する。

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