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2009年4月08日

マレーシアGPを終え思うこと

 豪雨のため、17年ぶりのレース打ち切り&ハーフポイント適用となった第2戦、マレーシアGP。大荒れに荒れたレースは“波乱の展開”と表現するより、「グチャグチャ」と呼んだほうが相応しいほど大味な内容で、正直、あまり面白くなかったのだが、結果的にはブラウンGPのジェンソン・バトンが開幕2連勝! 2番手にはトヨタのヤルノ・トゥルーリ、3番手にBMWのニック・ハイドフェルドと、それなりに今季の注目チームが上位に顔を並べているあたりは興味深い。土砂降りの雨に消えたセパンの週末で気になったポイントをざっと振り返ってみると……。

1.トゥルーリ、開幕戦3位復活&ハミルトン失格騒ぎ
 開幕戦、メルボルンのレースで終盤「セーフティカー走行中にハミルトンを追い越した」として25秒加算のペナルティを受け、レース終了後に3位表彰台を失ったトヨタのトゥルーリだが、その後、無線記録からマクラーレンがハミルトンに対して「トゥルーリを前に行かせろ」と指示していたことが判明。オーストラリアGP後に行われた審査委員会の聴取でハミルトンとチームが虚偽の説明をして、不当に判断を誤らせたとして、ハミルトンに失格処分。トゥルーリのペナルティ取消し=3位復活が決まった。
 その後の記者会見で謝罪しつつも「僕はチームからの支持に従っただけ、ウソつきじゃなく、チームプレイヤーだ」と開き直るハミルトンの厚かましさにも、すべての責任を「中間管理職」のスポーティング・ディレクターに押し付けるマクラーレン・メルセデスの態度にもゲンナリ……。「ディフューザー問題」に関する抗議から始った今シーズンは、開幕からまだ2戦だというのに、抗議やペナルティや裁定が飛び交い、「コース上の戦い」以外の場所で順位やポイントが決まることに何の抵抗もない今のF1は、どう考えても異常な状況にあるとしか思えない。多くのファンが見たいのは、そんな場外乱闘ばっかりじゃないはずなのに……。

2. どうした名門、フェラーリ、マクラーレンの泥沼状態は何?
 チームの判断ミスでまさかのQ1落ちを喫したマッサと、雨への思い込みが強すぎて、乾いたコースにレインタイヤを履かせたライコネンのマシンを送り出したピット……。腐っても跳ね馬、どう転んでもトップグループに入るはずと思っていたフェラーリの2戦連続ノーポイント以上にショックなのは、チーム側のポカがあまりにも多いことだ。
 一方のマクラーレンはマシンの出来が悪いことをある程度知っていたから驚くには値しないし、その割にはちゃんと走っている……というイメージもあるのだが、ハミルトンの失格騒ぎを見ていると、かなり焦ってるんだろうなぁ、そんな焦りが、ウソついてでもトゥルーリを蹴落として、開幕戦3位という結果をコース外で奪い取りに行ってしまった。マクラーレンやハミルトンはだいぶ、ハマっているのだろう。ジャン・トッドやロン・デニスのような「カリスマチーム代表」がいなくなると、意外と影響大きいんだなぁ……


3.やっぱり速いな、ブラウンとトヨタ
 旧ホンダチームだった昨年来、ロス・ブラウン体制下での方向性が正しかったことを証明するブラウンGPの強さを再確認。一方、、カリスマ技術者無き「集団指導体制」でもこれだけ速いマシンを作ってきたトヨタにも素直に感心! 相変わらず速いウイリアムズを加えて、「ディフューザー問題」が取り沙汰されている3チームではあるが、速さの理由はそれだけでは無いはずだ。
 開幕戦で話したトヨタのあるエンジニアは「この1年余りで風洞実験のデータと実走テストのデータの相関が飛躍的に向上し、これにコンピュータシミュレーションを加えることで、空力に関する理解が大きく前進しているのが楽しい」と目を輝かせて語っていたことを思い出す。大きなプレッシャーの中でマシンを造っている技術者から「楽しい」という言葉が飛び出すあたりに、トヨタの大きな変化を感じる。ブラウンにせよ、トヨタにせよ、自動車メーカーの恵まれた資金力、技術力が有効に活かされた時、何が可能なのかを今年のマシンが良く現していると思う。


4.面白いシーズンの素質十分。あとは揉め事を片付けるだけ
 いずれにせよ、チームの戦力が大きく入れ替わった今シーズンは面白い戦いを期待できる要素がタップリあると実感。だからこそ、次から次へとでてくる「抗議」だ「ペナルティ」だといったドタバタや、レギュレーションの解釈を巡る場外乱闘などを、ともかく早めに片付けて、気持ちよくF1を楽しめる状態に戻して欲しい、そうそう、ヨーロッパの放送時間に無理やり合わせるために、夕方の決勝レーススタート時間を設定した「トワイライトレース」も今後はカンベンしてもらいたい、テレビ放映は確かに大事かもしれないが、そのために何でもアリというのは、納得できない。そもそも何が一番大切なのか? 基本的なプライオリティの設定が歪んでいるのが、今のF1の最大の問題点なのだから。


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F1放浪記
川喜田研(かわきた・けん)
 1965年(昭和40年)4月20日、横浜生まれ。91年から「F1速報」、「レーシングオン」のスタッフライターとして働き、99年からフリーのF1ジャーナリストに。  現在は「スポルティーバ」(集英社)「カーグラフィック」(二玄社)などに執筆中。  愛称の「ちんぱん」は、成人男子とは思えないほどの落ち着きの無さ(本人は旺盛な好奇心ゆえと認識していますが…)や、締め切り直前のパニック状態(昔は編集部で跳ねたり、踊ったり、叫び声を上げたりという奇行を演じていたようです)がチンパンジーに似ていたことに由来する。

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