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2008年5月30日

一貴モナコ7位…みんなでもっと慶ぼう!

 「とりあえず、日本人初っていうのがひとつできたのはうれしいですね…」と7位入賞、伝統のモナコGPで日本人初のポイントを獲得した中嶋一貴。成し遂げた本人がいつものごとく、あまりにも淡々としてるモノだから、ついついこちらも「とりあえず…」なんて言葉にうなずいてしまうのだが、これってホントにスゴイコトではなかろうか?

 父親の中嶋悟が87年に日本人初のF1レギュラードライバーとなってから22年。多くの日本人ドライバーが1度も成し遂げられなかったモナコでの入賞を、参戦1年目で、それも難しい雨のコンディションの中で実現してしまったのだ。“しかも”一貴はこれでオーストラリア、スペインに続いて今季3回目の入賞! ポイント獲得率は実に5割というハイアベレージだ。「オイオイ、みんな大騒ぎしたほうがいいぜ!」と僕は声を大にして言いたいのだが、みんな分かってるのかなぁ?

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 「このモナコは正直、あんまり得意なサーキットじゃないし簡単じゃないと思ってはいます…」とレース前に語っていた一貴。GP2で初挑戦した昨年は、この難コースをなかなか攻めきれず、常にマイペースの彼としては珍しく、表情に悔しさを強くにじませていたことを昨日のことのように思い出す。待望のF1デビューを果たしウイリアムズ・トヨタでモナコで臨んだ今回も、決して「楽勝」だったワケじゃない。予選ではQ2に進んだものの、Q3進出を果たしたチームメートのニコ・ロズベルグに1秒以上の差をつけられての14番手。コースサイドで見ていても、毎ラップ、様々な走行ラインを試しているのが分かり「まだ完全に攻め切れていない所があるんです…」という彼の言葉を裏付ける。

 だが、F1で臨む初めてのモナコで決してミスを犯さず、確実に一歩ずつ限界を探っていくそのアプローチが雨の決勝レースではしっかりと実を結び、終わってみれば7位入賞で2ポイント獲得。「でも、ラッキーだったよね? 最後の最後にスーティルとライコネンのクラッシュがなかったら9位でしょ?」なーんて言ってる人がいたら廊下に立ってなさい! レース序盤、スーティルによる「黄旗追い越し」の被害? に遭ったのは他ならぬ一貴だったし、ピットストップではウイリアムズのクルーが珍しくリヤタイヤの交換に手間取り、それでポジションを失うなど、逆にいくつかの「不運」もあった上での7位入賞なのだということを忘れちゃいけない。

 しかも、ヘビーウエットからドライへと路面コンディションが変化してゆく難しい状況に対応しながら、タイヤをきっちりとマネージする知的なドライビング、「父親譲りの雨の中嶋」というのはベタな表現で避けたいのだが、実際、ウエットコンディションの走りがホントにうまいんだから、やっぱりコレは遺伝子のなせる業か? 予選でバッチリ差をつけられたチームメートのニコ・ロズベルグがレースでは一転「アクシデント続き」の展開に悩まされ、結局、ガードレールに突っ込んでマシンを大破させてしまったのも「何とか前を走る一貴に追いつかねば…」という焦りがあったからではなかったか?

 何? 「あまりにもミーハーにハシャギすぎだ」って? 「あのレースは他にも語ることがいっぱりあるだろう」って? いや、確かにお説ごもっとも、おっしゃる通りだが、それでも僕はあえて言わせてもらいたい。「いいんです!」と。

 思えばまだ小学校5年生だった1976年の富士、F1インジャパンでF1ファンになってから32年、中嶋悟のデビューから22年目にして、日本人ドライバーが伝統のモナコで入賞するシーンをようやくこの目で見ることができたのでアル。今はまず、その喜びに浸らずに何をしろというのだ? 我々がハシャギすぎても一貴君はどこまでも冷静だから、今後のレースに心配ご無用。冷静な彼の分まで僕がハシャイだってバチは当たらないでしょ?

※写真はモナコGPで7位入賞を果たした中嶋一貴(共同)


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F1放浪記
川喜田研(かわきた・けん)
 1965年(昭和40年)4月20日、横浜生まれ。91年から「F1速報」、「レーシングオン」のスタッフライターとして働き、99年からフリーのF1ジャーナリストに。  現在は「スポルティーバ」(集英社)「カーグラフィック」(二玄社)などに執筆中。  愛称の「ちんぱん」は、成人男子とは思えないほどの落ち着きの無さ(本人は旺盛な好奇心ゆえと認識していますが…)や、締め切り直前のパニック状態(昔は編集部で跳ねたり、踊ったり、叫び声を上げたりという奇行を演じていたようです)がチンパンジーに似ていたことに由来する。

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