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<title>ちんぱん川喜田のＦ１放浪記</title>
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<title>ホンダの無責任さでスーパーアグリは迷走</title>
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<summary type="text/plain">　スーパーアグリ２年目のシーズンとなった０７年、ホンダとチームはついに「禁じ手」...</summary>
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<![CDATA[<p>　スーパーアグリ２年目のシーズンとなった０７年、ホンダとチームはついに「禁じ手」に手を出してしまう。開幕戦オーストラリアＧＰに姿を見せたのは、前年のホンダが走らせたＲＡ１０６をベースに０７年のレギュレーションに合わせて改造したＳＡ０７。もちろん、昨年もカスタマーカーの使用は禁止なので、公式には「スーパーアグリのオリジナルマシン」ということになっていたが、その実体が０６年型ホンダＦ１改であることは誰の目にも明らかであり、ホンダは外部の技術系コンサルタント会社を通じて間接的に“技術支援”を行ったという一種の「詭弁」を使い、実質的なカスタマーカーをスーパーアグリに供給するという「暴挙」に出たのである。</p>]]>
<![CDATA[<p>　もちろん、Ｆ１の統括団体であるＦＩＡ（国際自動車連盟）がこれを問題とせず、スーパーアグリのエントリーやマシンを合法と認めた以上、何も問題はないという論理も成り立つのだろう。また、レッドブルのＮＯ・２チームであるトロロッソもエンジンこそ異なるものの、レッドブルと基本設計が極めて近い車体を使用していたのだから問題ないという声もあるようだ。しかし、ＦＩＡが提案していたカスタマーカーの導入はあくまでも０８年シーズンからという前提であり、少なくとも０７年は各チームが独自に車体を製造する義務があったはずである。ＦＩＡがいかなる理由からスーパーアグリやトロロッソの車体を「合法」と見なしたのかは分からないが、レギュレーションの精神を尊重すれば、それが限りなく「脱法行為」に近いことは明らかであり、プライベートチームであるウイリアムズやスパイカー（現フォースインディア）から強い不満の声が挙がったのはむしろ当然のことだろう。それに、こうした行為は援助するホンダ側の判断があって初めて実現するものでり、僕はスーパーアグリ以上にホンダの責任が重いと考えている。「スーパーアグリを救うため」という口実なら、何をやっても良いというモノではないはずで、レギュレーションの精神を軽視したホンダのこうした姿勢が、事態をいっそう複雑でよじれたものにしてしまったのだ。</p>

<p>　ちなみに「公式には」ぶっつけ本番で開幕戦オーストラリアＧＰに投入されたスーパーアグリＳＡ０７だったが、その性能や信頼性は０６年シーズンである程度確認済みであったことから、佐藤琢磨、アンソニー・デビッドソンのドライブで予想以上の戦闘力を発揮し、佐藤琢磨が２度の入賞でポイントを獲得。ホンダの０７年型マシンが致命的な失敗作であったという、いささか皮肉な現実にも助けられて、苦闘する本家のホンダＦ１を上回る活躍を見せたシーンも少なくなかった。だが、それは裏返せばスーパーアグリがホンダの技術支援に全面的に依存していることを意味しており、その後、０８年から予定されていたカスタマーカーの導入が暗礁に乗り上げたことで事態はさらに悪化してしまうのだ。　喧々諤々（けんけんがくがく）たるチーム間の議論の結果、この状況を乗り切るための妥協案として提示されたのは「とりあえず０８年、０９年の２年間だけはカスタマーカーの使用を暫定的に認め、その間に該当するチームは独自の車体開発ができるような体制を整える」というモノ。つまりスーパーアグリは０８年、０９年の２年間で独自にマシンの開発が可能なＦ１チームとして独り立ちすることを義務付けられたわけだ。</p>

<p>　これを現在の状況に当てはめるなら、今のスーパーアグリには独自のマシンを開発する能力など到底ないワケだから、①少なくとも０８年、０９年の２シーズンはホンダ（あるいは他のチーム）から車体、エンジン、ギヤボックス等の供給を受けることが参戦継続のための大前提であり、②遅くとも来年までには、２０１０年用マシンの開発を独自に行うための体制を確立しなければならない…というコトになる。</p>

<p>　つまりは、仮に今、誰かがスーパーアグリを買収したとしても、チームが今後もＦ１活動を継続するためには、これまでと同じようにホンダの全面的な支援が最低２年間保証されることが必須条件であり、それに加えて、今から０９年までの短期間で「独自のマシン開発が可能な一人前のチーム」となるための巨額の追加投資やチーム規模拡大が必要だということになる。それに加えて、現在のスーパーアグリはホンダやその他の企業に対して少なからぬ負債を抱えていることが想像されるので、買収者はこれらの借金も丸ごと抱え込むことになるわけだ。</p>

<p>　こうして見ると①ホンダの全面的な支援なしでは機能せず、②独自にマシンを開発する体制を持たず、③大きな日本系スポンサーも持たず、それどころかホンダや他の企業に対して多くの負債を抱えており、④フォースインディア（旧スパイカー）との間で０７年用マシンの合法性について裁判で係争中でもある…スーパーアグリを買収することは、多くの負担やリスクを伴う投資であることが良く分かる。しかも、そうした要素の多くについて、スーパーアグリではなく「ホンダ」の企業としての判断が非常に重要な意味を持っている。加えて、ホンダが今後も技術的な支援を続けるということは、それがホンダにとって経済的にも労力の点でも大きな負担を意味していることを改めて確認しておいたほうがいいだろう。スーパーアグリに対するホンダの支援には「スポンサー」としての経済的な面と技術的な部分に大きく分かれるが、エンジン供給など公式には「有償」でのサポートとなっているものも、現時点ではその代金が未収となっている部分が多く、また仮に支払いがあったとしても、その値段は実際の経費の一部を賄うに過ぎないレベルのものだと考えられる。それに加えて、ホンダは多くの「無償」技術援助を行っているため、スーパーアグリの売却に伴い、新たなオーナーにも技術サポートを保証するということは、こうした多額の支出や労力を今後も負担していくことを意味している。</p>

<p>　「本家」であるはずのホンダＦ１が参戦から８年を経てなお、苦しい戦いを強いられている中、ホンダが他チームへのこうした支援を続けていくことについて、ホンダ内部からも異論が出るのは当然のことだろう。もし僕が日本人ではなく、ロス・ブラウンのようにチームの全権を任される立場ならば、迷うことなく「スーパーアグリへの支援など止めてしまえ！　我々にそんなコトをしている余裕はない！」と言うだろう。いや、ハッキリ言えば０７年や０６年だってホンダにはそんなコトをしている余裕などなかったはずだ。それにも関わらず彼らがスーパーアグリを支えてきたのは佐藤琢磨という日本人ドライバーの存在があったからであり、琢磨の存在に支えられていた日本国内のＦ１人気を何とか維持したいという企業としての考えがあったからに他ならない…。</p>

<p>　だが、何か間違っていないだろうか？　そもそも、０５年秋に琢磨がホンダのシートを失ったのも、他ならぬホンダ自身の判断であったはずだ。勝手にウイリアムズ移籍を画策し、わがままを言い続けるバトンに固執して、その慰留のために大金をはたき、ドライバーとしてはピークをとうに過ぎたバリチェロの価値を過剰評価したため、結果的に琢磨から活躍の場を奪ったのもまた、ホンダ首脳陣の判断なのである。</p>

<p>　自分たちの責任で琢磨の解雇を決めておきながら、その場を取り繕うために、しっかりとした見通しもないまま、新チームまで立ち上げてしまい、その後、２年あまりも多くの負担とレギュレーション違反ギリギリの脱法行為まで重ねて維持してきたスーパーアグリは、どこから見ても「ホンダのＮＯ・２チーム」だ。それを公式には「独立したチームです」と言い続けてきたホンダの姿勢は、一企業としてあまりにも無責任だと思う。しかもこの２年余りにわたってスーパーアグリに対するホンダのスタンスは全くというほど一貫せず、あるときはあたかも「自分たちのＮＯ・２チーム」であるように振舞ったかと思えば、あるときは「そろそろ独立してもらわないと困る」と突き放し、少なくとも僕の目からはホンダ側の長期的なビジョンが見えたことなどは１度としてなかった。一方、我々メディアもこうした複雑でよじれた状況を思い切って伝えることができず、いつも「本音」と「建前」のあいだで煮え切らない態度をとり続けながら、結果的にスーパーアグリへの人気に依存してきたことを正直に認めざるを得ないだろう。</p>

<p>　最後に誤解のないようにしておきたいのだが、僕はこのコラムを通じてスーパーアグリがこの２年間に成し遂げてきたことや、それによってもたらされた様々な感動を否定するつもりなど毛頭ない。それどころか、可能性が限られた非常に厳しい状況のなかで常に全力を尽くし続けた佐藤琢磨の姿勢や、わずかなチャンスを結果へとつなげたチームスタッフの奮闘に心から敬意を表するし、昨年のスペインＧＰで琢磨が７位入賞を果たしたシーンでは、喜びに沸くチームスタッフの姿を見ながら思わず目頭が熱くなった…。チームの実力差が圧倒的な意味を持つ現代のＦ１において、それは全員が本当に１００％の力を発揮したことで初めて実現した、素晴らしい結果だと思う。だが、それよりももっと根本的な部分で、このチームの存在がどうしようもなく不幸なよじれの中にあったこと、それがホンダというモータースポーツの世界で多くの尊敬を集めている企業の、無責任で、場当たり的な態度に起因するものであったことを考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになる。</p>

<p>　スペインＧＰから１週間、最新のニュースによれば、ドイツの「バイグル」という企業がスーパーアグリへの出資について交渉中で、来週開かれるホンダ取締役会の承認があればチーム存続の可能性があるという…。次戦、トルコＧＰ参戦に向けたデッドラインは刻一刻と迫っているし、バイグルという企業の実態も知らないので、現時点では何とも言えないが、これでチーム存続に向けていちるの望みが出てきたということなのだろうか？　そしてホンダはこの新たな提案にどのような決断を下すのだろうか？</p>]]>
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<title>スーパーアグリは琢磨のためにつくられた</title>
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<summary type="text/plain">　スーパーアグリＦ１がなぜ、ここまで追い込まれてしまったのか？　その理由を考える...</summary>
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<![CDATA[<p>　スーパーアグリＦ１がなぜ、ここまで追い込まれてしまったのか？　その理由を考えるとき、どうしても振り返らなければならないのが、このチームが生まれた特殊な背景だ。誤解を恐れずに言えば、今、彼らが直面しているすべての問題はその誕生の経緯に原因があったと言っても過言ではないと思う。</p>]]>
<![CDATA[<p>　極論すれば、スーパーアグリとは佐藤琢磨という１人のドライバーのためだけにに作られた極めて異例なチームだった。今から２年以上前の２００５年秋、当時のホンダＦ１首脳陣はルーベンス・バリチェロとの契約にサインする。当時、本来なら契約期間が残っていたはずのジェンソン・バトンがウイリアムズへの移籍を強行しようとしたため「バトンを失った場合」を考慮してのバリチェロ獲得だったのだが、その後、ホンダがバトンの引き留めに成功したために２００６年のホンダドライバーがバトン、バリチェロのコンビに決定。そのあおりを食ったのが佐藤琢磨で、彼は新加入のバリチェロに押し出される形でホンダのシートを失うことなってしまうのだ。こうして結果的に「失業した」琢磨の扱いをどうするのか？　日本では絶大な人気を誇る琢磨を「クビにした」というファンの厳しい批判をかわすために、ホンダが飛びついたのが「鈴木亜久里を代表にした新チーム設立」というアイディアだったのだ。</p>

<p>　「亜久里さんには大口スポンサーのアテがあり、チームの運営資金については全く心配がないと聞いている。あとは我々がエンジンや車体に関する技術支援を行えば新チームは十分に機能するはずで、日本人オーナーと日本人ドライバーの組み合わせによる新チームの参戦は日本のＦ１にとってもポジティブなものになるはずだ…」と当時語っていたのはあるホンダ上層部の人物。０５年日本ＧＰ直前にホンダから明らかにされたこの「１１番目の新チーム」の計画はその後、「スーパーアグリＦ１」というチーム名とともに発表されたわけだが、ある程度間近でＦ１を見てきた人なら、この計画に少なからぬ不安と驚きを感じたはずだ。</p>

<p>　まず第１にハードウェア、つまりマシンの問題があった。参戦の正式発表が０５年の１１月で翌年３月にデビュー戦という日程は、既存のＦ１チームを丸ごと買収したならともかく、ゼロから新チームを立ち上げるとなると、常識的に考えて限りなく不可能に近い。ニューマシンの設計から開発、完成には通常、１０カ月近いリードタイムが必要だと言われているからだ。唯一の手段はエンジンやギヤボックスだけでなく、車体の設計や製作に関してもホンダが全面的な支援を行うという方法であり、当時のホンダ関係者が「アグリさんのトコはウチのマシンを走らせるんだから大丈夫」という“不用意な”発言をしていたのを僕はハッキリと覚えている。ちなみにスーパーアグリがデビューした０６年には他チームのマシンを買って使用する「カスタマーカー」での参戦は許されてはおらず、たとえ旧型のマシンであってもレギュレーション上、亜久里のチームがホンダのマシンを走らせることはできないのだが、驚くべきことに当時のホンダ関係者はそれを強行突破しようと考えていたようだ。これはあまりにも乱暴でレギュレーションの精神を軽視した発想である。</p>

<p>　結局、この強引は手法はＦＩＡに認められず、基本的な方向転換を迫れられたスーパーアグリは仕方なく旧アロウズＦ１が作った２年落ちのマシンを「知的所有権」ごと買い取ってホンダの全面的な技術支援の下でこれを改造、スーパーアグリＦ１初のマシン、ＳＡ０５と名づけて０６年の開幕戦にデビューさせることになった。当然、戦闘力はライバルに大きく劣り、好結果など望むべくもないマシンだったが、琢磨を引退の危機から救い、新たな“ジャパニーズパワー”の象徴となった新チーム、スーパーアグリＦ１は苦戦の連続にも関わらず日本のファンたちから全面的に支持されたので「日本におけるＦ１人気をつなぎとめる」というホンダの目的はある程度実現したと言えるかも知れない。ちなみに、この時点でもまだ、スーパーアグリ、ホンダの両者はシーズン途中から「ホンダの０５型マシンに切り替える」というアイデアを捨てておらず、それをアテにしたスーパーアグリが０６年中も独自のマシン開発に着手することはなかったが、その間、「２年落ちのアロウズ改」で奮闘する琢磨の姿を我々日本のメディアは追い続け、多くのファンが２年目のシーズンへの期待を胸に忍耐強 く待ち続けた…。そして、２年目の０７年、待ち望んだニューマシン、ＳＡ０７が開幕戦のオーストラリアＧＰにデビューする。だが、そのマシンはどこから見ても０６年型ホンダＦ１のコピーマシン。そう、２年目のスーパーアグリとホンダはいよいよ、あの「禁じ手」に踏み込んでしまったのだ…。<br />
</p>]]>
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<title>スーパーアグリ存続危機問題の根は深い</title>
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<modified>2008-04-28T15:22:56Z</modified>
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<summary type="text/plain">　「一体どうして、こんな事になってしまったんだろう……」。スーパーアグリ存続問題...</summary>
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<![CDATA[<p>　「一体どうして、こんな事になってしまったんだろう……」。スーパーアグリ存続問題に揺れたスペインＧＰの週末を終えた今、改めて感じるのは、そんな、どうにもやり切れない思いだ。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　シーズン開幕直前に「基本的な合意に至った」と発表されていたイギリスのマグマ・グループへのチーム売却交渉がスペインＧＰ直前に「白紙撤回」され、再び破産の危機に直面することになったスーパーアグリ。チームは予定通りカタルーニャサーキットに姿を見せたものの、木曜日の時点では「走れるかどうかは分からない」（鈴木亜久里代表）という状態で、スペインＧＰの欠場はおろか、最悪の場合、そのままチームが消滅する可能性もささやかれていた。<br />
　結局、ホンダがこれまでの３戦と同様、エンジンやギアボックスの供給を含めた、技術サポートを今回も継続することとなり、辛うじてバルセロナの週末を乗り切ったスーパーアグリだが、その財政状況はもはや破綻寸前であり、次のトルコＧＰまでに新たな出資者が現れなければ、今回のスペインＧＰが彼らにとって「最後のＧＰ」となる可能性もあり、そうなれば佐藤琢磨もシーズン途中でシートを失うことになってしまう。<br />
　これが、日本のＦ１に関わるすべての人にとって悲しむべき状況であることは言うまでもないだろう。佐藤琢磨、アンソニー・デビッドソンという２人のドライバーはもちろん、スーパーアグリのチームスタッフ、それをサポートしてきたホンダの技術者は厳しい状況の中で全力を尽くして戦い続け、その間、亜久里代表やホンダの関係者もチーム存続に向けて最大限の努力を続けてきた。しかそうした努力が報われず、シーズン途中でスーパーアグリが破綻するようなことになれば、国内のＦ１に対するイメージに計り知れないほどのダメージを与えることは間違いない。ここ数年、Ｆ１人気を支えてきた琢磨やスーパーアグリのファンたちの失望は、やがてやり場のない怒りとなって、日本の国内のモータースポーツシーン全体に暗い影を落とすことになるだろう。<br />
　「我々もスーパーアグリ存続のために、できる限りの努力を続けてきました」と語るのはあるホンダの関係者だ。「３月の時点でマグマとの契約は基本的な部分で合意できていたし、マグマの出資者（中東、ドバイの投資企業であるＤＩＣ社）も我々の提示した条件を受け入れていた。ホンダはチーム売却後もエンジン供給やマシンを含めた技術サポートを保証していたんです」。しかし、そのＤＩＣ側が４月に入って突然、白紙撤回を表明。その後、ホンダ側が必死に翻意を促したことで、一旦は前向きな姿勢に転じたかに見えたＤＩＣだったが、結局、スペインＧＰ開幕前日の木曜日に再び「スーパーアグリ買収交渉からの撤退」を宣言したために、すべてが振り出しに戻ってしまったのだという。</p>

<p>　今シーズンの開幕から３戦、ホンダはマグマへのチーム売却を前提にスーパーアグリへの技術支援を続けてきた。しかし、その前提が崩れた今「チーム再建の見通しが無い状態でこのまま支援を続けることはできない」というのが、おそらくホンダ側の本音なのだろう。形の上では「有償扱い」になっていた、これまでの技術支援についても、かなりの部分が未払いになっているはずで、冷たい言い方をすればスーパーアグリはホンダにとって今や一種の不良債権となっているのは事実だ。その状態を解消する最後の手段として期待されていた、マグマ・グループへのチーム売却が失敗に終わった今、ホンダ側には「既に万策尽きた……」との感が漂っている。もちろん、マグマ＋ＤＩＣに代わる新たな出資者が現れる可能性はゼロではいし、実際、チーム側にはいくつかのオファーが届いているというが、スーパーアグリに残された時間は少なく、状況は極めて厳しいと言わざるを得ない。</p>

<p>　もちろんＦ１は厳しい競争の場であり、厳しいビジネスの場でもある。年間に最低でも１００億円近い資金が必要なこの世界で、ホンダを除けば、スポンサーのロゴがほとんど無いスーパーアグリのマシンを見れば、彼らがこのまま活動を続けていくことが極めて難しいのは誰の目にも明らかだろう。だが、僕がどうにもやり切れない気持ちになるのは、この不幸な状況が、単なるスポンサー不足による資金難や、今回、マグマへの売却交渉が失敗に終わったという問題ではなく、もっと根深い原因によって、もたらされたという気がしてならないからだ。ファンたちの「夢」を燃料として成立しているはずのＦ１が、なぜ、彼らの悲しみや失望をもたらす結果となったのか？　スーパーアグリをとりまく複雑な状況と過去２年余りの歩みを振り返りながら、これからその原因をひとつづつ検証してみたいと思う。</p>]]>
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<title>真の勢力図が見えるのはスペインＧＰ以降</title>
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<modified>2008-04-08T06:17:27Z</modified>
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<summary type="text/plain">　オーストラリア、マレーシア、バーレーンと３戦を消化し、ヨーロッパラウンド開幕に...</summary>
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<email>webmast@nikkansports.co.jp</email>
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<![CDATA[<p>　オーストラリア、マレーシア、バーレーンと３戦を消化し、ヨーロッパラウンド開幕に向けて短いブレークに入るＦ１ＧＰ。で、毎年、この時期にしなければならないのが、開幕前にしてしまった無責任な予想と現実のギャップを埋めるための「懺悔」である。通常は懺悔などという言い方はせず「開幕３戦を終えて見えてきたこと」なーんて言い方でシラっと流してしまうのだが、毎年おんなじコトを繰り返しているあたり、自分の反省の無さにあきれてしまう。まぁ、それだけＦ１が奥深くて読みづらいってコトにして、若干の軌道修正をしてみると……。</p>]]>
<![CDATA[<p>◆２強なのか、３強なのか？　それが問題だ◆<br />
　今シーズンの展望を開幕前に聞かれたら、僕に限らずほとんどの人が「フェラーリ対マクラーレンの２強対決が軸だが、おそらくフェラーリがやや有利」という感じだったと思う。だが、開幕３戦を終えて誰もが感じるのはＢＭＷの見せた予想以上の戦闘力。「もはや２強ではなく３強対決なのでは？」「いや、既にマクラーレンより上なのでは」という声まで出はじめているようだ。<br />
　もちろん冬のテストの印象から言えば、伏兵、ＢＭＷの活躍が予想を大きく上回るモノであることは事実だ。ロベルト・クビツァが初のポールポジションを獲得した先週のバーレーンでは、決勝のレースペースでもＢＭＷがマクラーレンを上回る安定感を見せていた。ただし、ＢＭＷのこの勢いがシーズンを通じて２強と対等に争えるモノであるかは、もう少し様子を見てみなければ分からないとも思う。現時点でマシンのポテンシャルが高いレベルにあることは間違いないが、ヨーロッパラウンド以降の開発でＢＭＷがライバルと対等、あるいはそれ以上のペースを保てるのか？　クビツァという次の時代を担う才能の成長とともに、今後のシーズンを左右する大きなポイントとなりそうだ。</p>

<p>◆大激戦の第２グループを再整理◆<br />
　一方、フェラーリ、マクラーレンの２強に続く「第２集団」だが、こちらも予想を上回る大激戦となっている。伏兵ＢＭＷの「１部リーグ仮昇格」で、チーム的には４番目のポジションを狙う、この第２集団だが、事前に下馬評の高かったウイリアムズ・トヨタに加えてトヨタ、レッドブル、ルノー、ホンダ、トロロッソまでが第２集団を形成。中でもトヨタのパフォーマンスが光っており、ウイリアムズとともに「第２集団の先頭をうかがう勢い」を見せる。また、昨年に続いて厳しいシーズンが予想されたホンダも、バーレーンではバトンが予選トップ１０に入るなど、徐々に光が見えてきているだけに、あとはそれをキチンと結果につなげるレース運営を期待したい。現時点での力で言えば、ウイリアムズ、トヨタ、レッドブルあたりが上位を占め、ホンダ、ルノー、トロロッソがそれを追う状況か。ただし、集団全体の戦闘力はかなり接近しており、その中でドライバーの果たす役割はかなり大きいといえるだろう。ちなみに開幕戦でいきなり６位入賞を果たした中嶋一貴に関しては、その後の２戦も総合すると、まだ「勉強中」という感じだと思う。課題は予選！　１発アタックのツボをつかみ、予選上位からレースをできるようになれば、週末の流れがグッと良くなるはずだ。</p>

<p>◆明暗分けた日印２チームの序盤戦◆<br />
　さて、最後に残ったのは昨年のスパイカーからインド風に模様替えしたフォース・インディアとスーパーアグリの「アジア系プライベーター勢」２チームだが、何とか参戦継続にこぎつけたものの、苦しい戦いが続くスーパーアグリに対して、フォース・インディアは予想以上の活躍を見せていると言っていいだろう。インドの富豪、マラヤ氏のサポートで資金面が安定したとはいえ、昨年のスパイカーを改良したマシンと現在のチーム体制で、今シーズンにできることは限られていると思っていたのだが、なかなかどうして、ここまでの戦いぶりは予想をはるかに上回っている。ベテラン、フィジケラの奮闘と限られた条件を最大限に生かしたマシン作りやレース運営。結果はともかく、状況次第では第２グループの下側を食える可能性を、この３戦のフォース・インディアは見せてくれたと思う。<br />
　一方、スーパーアグリはバーレーンでも新体制に対する具体的な発表はなく「暫定的に参戦を続けているだけ…」という印象は否めない。そんな状況下でステアリングを握る佐藤琢磨やアンソニー・デビッドソンの気持ちを考えるとなんとも切ない気持ちになるが、次のスペインＧＰまでには状況の進展があるのだろうか？　シーズン途中からはマシンを今季型のホンダと同じものに変更するということなので、それが実現すれば状況は変わるのだろうが……。</p>

<p>◆そして最後にスキャンダル…◆<br />
　予想以上に良かったチームやドライバー、思わぬ壁に突き当たっている人…、毎年、こうして実際に開幕してみると冬のテストでは分からなかった様々なことが見えてくる。しかも、次の第４戦、スペインＧＰからはいよいよヨーロッパラウンドに突入。アジア、オセアニア遠征の３連戦を終えたこのタイミングで各チームともマシンの大幅な改良、アップデートを施してくるため、本当に今シーズンの戦力地図が見えてくるのはスペインＧＰ以降だと言えそうだ。ちなみに、先が読めないという意味では「下半身のスキャンダル」に巻き込まれたマックス・モズレーＦＩＡ会長の立場もいよいよ追い詰められ始めている。この問題については、また、別の機会に詳しく触れたいと思うが、あれほど絶大な権力を誇ったモズレー氏がまさかこんな形で寂地に陥るとは、彼自身も予想だにしていなかったに違いない。</p>]]>
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<title>開幕２戦を見て感じた「人間のちから」</title>
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<modified>2008-03-24T08:32:03Z</modified>
<issued>2008-03-24T08:29:47Z</issued>
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<summary type="text/plain">　ここ数年、頻繁にコスト削減をめぐる議論が行われているにもかかわらず、トップチー...</summary>
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<![CDATA[<p>　ここ数年、頻繁にコスト削減をめぐる議論が行われているにもかかわらず、トップチームが年間に数百億円もの資金を投じて戦う現代のＦ１は、今のところ文字通りの「総力戦の時代」が続いている。ちなみに総力戦とはお互いの持っている「すべての力」が試される戦いであり、それは多くの場合「物量戦」という側面を持っている。</p>]]>
<![CDATA[<p><img alt="mgp.jpg" src="http://www5.nikkansports.com/sports/motor/kawakita/mgp.jpg" width="256" height="320" /></p>

<p>　このように物量戦としてとらえたとき、Ｆ１チームの「潜在戦力」は比較的簡単な足し算の形で表すことができる。基本的な公式は“資金力＋設備＋人材力”、この値が一定の基準を満たさないチームに「勝者」となる資格はまずないといっていい。ちなみに、そもそも「設備」と「人材」は資金力による部分も大きいので「結局は資金力」という大胆な単純化もある程度までは可能だろう。いずれにせよカネ＋モノ＋ヒト、つまり「ある一定以上の資金力を持ち、十分な規模のファクトリーと大型風洞実験施設などの最新設備を備え、かつエンジニアなどで質が高い人材を十分にそろえていないチームには絶対に「チャンピオン」は狙えない。ハッキリとした「物量」の差がある限り、時に偶発的な「ミラクル」は期待できても、シーズンを通じて選手権を争うことなど絶対にできないからだ。</p>

<p>　ただし、厳密に言うと資金力＋設備＋人材力のうち「人材力」に関しては評価が難しい面がある。もちろん絶対的な労働力やその質というのは、ある程度まで単純に評価することができるが、実際にマシンを操るドライバーやチーム全体の流れを作るキーパーソンの存在は、基本公式の「和」として表しきれないほど大きな影響力を持っているものだ。そこで僕はＦ１チームの実力を（資金力＋設備＋人材力）×ｍという式で表すことにしている。ｍとは「持っている物量をどれだけ有効に生かせるか」というマネジメント係数、言い換えればチーム首脳やドライバーが持つ「人間の力」の係数である。</p>

<p>　メルボルン、マレーシアと今シーズンの開幕２戦を見て、改めて思ったのは、この「人間の力」の面白さだ。上記のように「物量」が圧倒的な存在感を持つ現代のＦ１だが、それでもなお「人間」という要素が大きな影響を与えうることを僕は改めて感じ、少しうれしい気持ちになった。昨年の言動には正直、あまり関心しなかったアロンソだが、低迷期に入った古巣ルノーに戻り、厳しい状況の中でも「チャンピオンの風格」を感じさせる仕事を黙々とこなす彼の姿にはトップドライバーのオーラを感じたし、そのアロンソと新人ピケジュニアに追われる形で都落ちしたフィジケラと、トヨタの技術トップの座を追われたテクニカルディレクターのマイク・ガスコインが小規模チームの「フォースインディア」で予想以上の健闘を見せているのもそうした「人間係数」の重要さを示す好例だろう。</p>

<p>　どんなに技術が進歩しても、そしてどんなにＦ１の規模が大きくなっても、最後に「人間」という要素が決定的な大きな役割を担っている以上、そこには人間の意志や心とつながった体温や手触りがあり、彼らを主役としたドラマが存在する。だからこそ、そうしたＦ１の「人間係数」の部分にしっかりと光を当て、ドラマを掘り起こしてあげる努力をしなければならないと思う。そうでないと、巨大化したＦ１はどこまで行っても「限界を超えた無機質な物量戦」にしか見えず、短期的なビジョンでどんなに表面的な部分をあおっても、ファンの心は現実とのかい離の中でしだいに離れていってしまうのではないだろうか？　情報の氾濫（はんらん）の中で、我々メディアがＦ１の何を伝えるべきなのか……？　そんなコトをぼんやりと考えながら、僕の「Ｆ１リハビリテーション」が続いている。</p>

<p><strong>※写真はマレーシアＧＰで今季初勝利を果たし喜ぶフェラーリのライコネン（ＡＰ）</strong></p>]]>
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<title>一貴にはもっといいレースをする力がある</title>
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<summary type="text/plain"> 　日本を出る直前までスーパーアグリ関連の情報に振り回され、何やら暗たんとした気...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="nakajima.jpg" src="http://www5.nikkansports.com/sports/motor/kawakita/nakajima.jpg" width="300" height="216" /></p>

<p>　日本を出る直前までスーパーアグリ関連の情報に振り回され、何やら暗たんとした気持ちで臨んだ今季の開幕戦オーストラリアＧＰ。だが、日曜日の決勝見た後は、そんなモヤモヤとした気持ちが大分取れて、久しぶりにレースを楽しむことができた気がした。</p>]]>
<![CDATA[<p>　その理由はいくつかある。まずは「予想外」の点が多かったこと。開幕前の情報では、フェラーリ有利の下馬評が高かったマクラーレン対フェラーリの２強対決だが、メルボルンの３日間を通して安定した強さを見せたマクラーレンに対して、フェラーリはマシンのパフォーマンスや信頼性はもちろん、チーム全体にもバタバタとした部分が目立っていた。さらに驚いたのは、冬のテストでは当初、苦戦が伝えられていたＢＭＷが、開幕戦だけ見れば「トップ３」と呼んでも良いほどのスピードを見せていたことだ。いやはや、こういう「フタを開けるまで分からない」部分があるからＦ１はオモシロい。いやもちろん、ハミルトンがずっとこんな感じで勝ち続けると、それもちょっと困るのだが…。</p>

<p>　「予想外」という意味ではインド人実業家に買収され、スパイカー改めフォースインディアとなったチームでベテランの意地を見せたフィジケラの頑張りや、昔はフランス期待の星と言わた時期もあったのに、その後Ｆ１へのチャンスを失い続けてきたトロ・ロッソのセバスチャン・ボルデーが、決勝レースで上位を走り続けたのも驚きだった。ボルデーに関しては、最後にトラブルで止まってしまうあたりに、依然「不運な星の下」を感じさせないわけではないが「１度道を外れたら終わり…」という雰囲気が強い昨今のＦ１で、ボルデーや元ジョーダンのティモ・グロック（トヨタ）のような苦労人が再びチャンスを与えら、期待以上の走りを見せてくれたのはうれしかった。</p>

<p>　もうひとつ「予想外」だったのは、今年もかなり苦しいと思っていたホンダのマシンが思いのほか悪くなかったことだが、その一方でピットストップでまたも繰り返されたチーフメカニックのミスや、ピットレーン出口での赤信号無視によってバリチェロの快走がレース後の「失格処分」へとつながってしまったあたりも、別の意味で予想外だったと言わざるを得なだろう。セーフティカー中、強引に給油を行ったのは「ガス欠寸前で他に選択肢がなかった」ということだから仕方がないのかもしれないが、ピットストップでのドタバタやバリチェロの赤信号無視は実にお粗末。開幕仕様のマシンが思ったよりはマシだった安堵感が吹き飛ぶほどに、ホンダの動きは予想外の酷さだった。</p>

<p>　一方「期待通り」でうれしかったこともいくつかある。まずはウイリアムズの復活！　この１０年ほどですっかり自動車メーカーが主役になった感のあるＦ１だが、ＢＭＷとの「離婚後」、非メーカー系チームとしての辛さと屈辱を味わってきたかつての名門チームが、ニコ・ロズベルグ３位、中嶋一貴６位と、久しぶりにトップレベルの戦闘力を見せてくれたことは、もともと「ウイリアムズファン」の自分にとって本当にうれしかった。チーム規模や資金力の面では自動車メーカー系の、いわゆる「ワークス」チームに到底太刀打ちできないウイリアムズだが、レースに対する純粋でひたむきな姿勢や、スタッフの人柄、そして長年の経験に培われたウイリアムズこそ、Ｆ１に残された最後のそして本当の“レーシングチーム”だと僕は思っている。そんなウイリアムズが事前の予想通りの速さを見せてくれたことが、僕は本当にうれしかったし、そんなチームからデビューした中嶋一貴は本当に理想的な形でＦ１への第１歩を踏み出せたと思う。</p>

<p>　その中嶋に関して言えば、緒戦６位入賞という結果は確かに素晴らしかったけれど、内容的にはもっともっと、いいレースをできる力が彼にはあると信じている。もちろん、いくつかアクシデントはあったとはいえ、全体的に荒れたレースの中でキッチリと最後まで走り続けて、マシンをポイント圏内でゴールまで導いたことは、ルーキーの緒戦としては上出来だ。だが、一貴自身はそれと同時に、メルボルンの週末で自分の持っているものをすべて出し切れなかった悔しさを強く感じているに違いない。今シーズンのウイリアムズのマシン、そして中嶋一貴のポテンシャルをフルに発揮できれば、この先、もっともっとワクワクするレースが見られるに違いない。ここしばらくＦ１から離れていた僕に、そんな、新たな期待感を抱かせてくれた。開幕戦オーストラリアＧＰだった。</p>

<p><strong>※写真はピットレーンを走るウィリアムズ・トヨタの中嶋一貴（共同）</strong><br />
</p>]]>
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<title>アロンソの「怨念」がハミルトンを止めた</title>
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<summary type="text/plain">　「レースは最後まで何が起きるかわからない」とは、この世界で昔からよく言われるこ...</summary>
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<![CDATA[<p>　「レースは最後まで何が起きるかわからない」とは、この世界で昔からよく言われることなのだが、最近は残念ながら「何が起きるか分かってしまう」ケースのほうが多い。中国ＧＰも土曜日の予選でハミルトンが見事にポールポジションを獲得し、逆転タイトルを狙うアロンソは「コンマ６秒」の大差で予選４番手……。２人のポイント差は日本ＧＰ終了時点で既に１２点もあり、「ああ、これはチャンピオンはハミルトンで決まりだわ」と思ったのは僕だけではないだろう。</p>]]>
<![CDATA[<p>　しかし、レースはホントに何が起きるか分からない。３１周目、ピットロード入り口でコースを外れ、グラベルに捕まって空しくもがく、カーナンバー２のマクラーレン・メルセデスを見ながら、僕は改めてレースの怖さを思い知った。結局、スタートからトップを快走し続けたハミルトンはチャンピオン決定を目前にしながらリタイアでノーポイントに終わり、一方のアロンソはキミ・ライコネンに続いて２番手でフィニッシュ！　その結果、２００７年のドライバーズチャンピオン争いはトップのハミルトンが１０７ポイント、２位アロンソが１０４ポイント、そして３位ライコネンが１００ポイントとなり、１９８６年のナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、ネルソン・ピケ以来、実に２１年ぶりで、３人のドライバーがタイトルをかけて最終戦に臨む「三つ巴」の戦いとなった。</p>

<p>　それにしてもなぜ、ハミルトンは目前のチャンスを失ってしまったのだろう？　台風１５号が上海に接近する中、ウエットコンディションの路面状況で始まった中国ＧＰだが、幸い（？）１週間前の富士のような酷い雨にはならず、路面は少しづつ乾いていく方向にあった。ただし、厄介なのは一旦「止んだ」と思うと、思い出したようにまた雨がパラつくという、何とも先が読みづらい状況。「どの時点でドライタイヤに変えるのか？」「本当にこの先雨は降らないのか？」といった判断を間違えれば、それがレース結果に大きな影響を与えかねないという意味で、チームにとってはかなり難しい状況だったのも事実。<br />
　上海の場合、ラップタイムを参考に考えれば、ウエットタイヤからドライに履き替える“分岐点”は１分４３秒前後だと考えられていたが、一旦、ドライを履いた後に雨が降れば最悪の状況が待っている。実際、今回のレースでも早めにドライタイヤに変えたチームの中には、その後に再び降り始めた雨の影響で大きくポジションを落としたり、アクシデントでリタイアに追い込まれたケースもあり、マクラーレンのチーム関係者もレース後「コンディションの変化が読みにくいレースだったので、天候の状況がハッキリ分かるまでタイヤ交換を待ちたかった……」と語っている。</p>

<p>　しかし、ハミルトンがチャンピオンを決めるための条件は「優勝」ではなかった。それどころか、あの時点で１２ポイントというアロンソとの得点差を考えれば、その後ろでゴールしても十分にタイトルを決められる可能性はあったし、ここでしっかりとポイントを獲得しておけば、最悪、チャンピオンを決められなくても、圧倒的に有利な条件で最終戦、ブラジルＧＰに臨むことができたはずだ。にもかかわらず、マクラーレンはハミルトンのタイヤ交換時期にこだわった。こだわりすぎて最も大切な事を見失ってしまった。ラップタイムが一気に５秒近くも落ちこみはじめ、コーナーというコーナーでコントロールを失いかけているハミルトンのタイヤをピットに呼び戻さず、そのままコース上で走らせ続けた……。あの名門マクラーレンをして、何がこれほど「近視眼的」な判断をさせたのか？その答えはおそらく「アロンソとの決定的な関係悪化」だったのではないだろうか。</p>

<p>　ここ数戦、悪化の一途をたどっているマクラーレンとアロンソの関係は上海の週末に入ってもさらに深刻さの度合いを増しており、特に土曜日の予選でハミルトンがポールポジションを獲得し、一方のアロンソが「コンマ６秒」という大差を付けられて予選４番手に終わった時点でアロンソの不満が爆発！　「予選第２セッションまでハミルトンを完全にリードしてた僕が、全くミスのない完璧なラップをまとめたのに、彼にコンマ６秒もの差を付けられるなんて信じられない、チームは僕のクルマに何か小細工をしたに違いない！」とまで言い出す始末。少なくとも残り２レースをマクラーレンで走らなければならないにも関わらず、チームや代表のロン・デニスに対する批判をメディアに対して遠慮なくブチまけてしまう。こうしたアロンソの批判が真実かどうかはともかくとして、これほどあからさまにチームを誹謗中傷するドライバーをマクラーレンが勝たせたいはずがない。</p>

<p>　あの時、チームがハミルトンのタイヤ交換タイミングに異様なほどこだわったのも、ハミルトンがドライタイヤに交換した後で再び雨が降り始め、その後でアロンソが新しいウエットタイヤに履き替える……というパターンを恐れていたからに違いない。ハミルトン同様、スタート時のウエットタイヤでコース上に残っていたアロンソだが、タイヤそのものコンディションはハミルトンのそれよりも良く、あと数周はコース上で持ちこたえることができる状況。可能性は低いとはいえ、是が非でもアロンソに逆転のカードを握らせたくないというマクラーレンの過剰な意識が彼らの判断を誤らせ、結果的にアロンソのチャンスを大きくしたばかりか、事実上「終戦」と思われていたフェラーリのライコネンにまでタイトルの可能性を与えることになってしまったのだ。言い方を変えれば、これはアロンソの強烈な「怨念」がなせる業だったとも言えるだろう。マクラーレン内で膨らみ続ける緊張と確執がシーズンの最も大事な瞬間に、大きな失敗へと繋がったのである。</p>

<p>　こうして、決戦の舞台は２週間後に行われる今季最終戦、ブラジルＧＰへと移る。文頭でも書いたように、最終戦の段階で３人のドライバーがチャンピオンを争うのは、実に１９８６年以来、２１年ぶり。あの時もランキングトップのマンセルから３位、ピケまでのポイント差は今年と同じ７点だった。「現実的に考えれば、今回のような何かが起きない限り、次のブラジルで逆転するのは難しいと思う。チームには今週の“予選１、２回目までと同じように”２台のマシンを平等に扱ってほしいと思う」と、レース後もなお、マクラーレンの悪口を言い続けるアロンソ。ポイント的にはアロンソを３点差でリードするハミルトンが依然として有利だが、改めて「レースは何が起こるかわからない」ことを思い知った今回の中国ＧＰを教訓に、あえてタイトル争いの行方を予想するのはやめておこう。</p>

<p>　ちなみに、８６年の最終戦アデレイドでは、ランキング首位のマンセルがトップを走りながら残り２０周でタイヤバーストに見舞われてリタイア。チームメイトのピケも予定外のタイヤ交換でリードを失い。マクラーレン・ポルシェに乗るプロストが優勝！　ウイリアムズ・ホンダが優位を誇ったシーズンを逆転で制し、世界チャンピオンに輝いている。</p>]]>
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<title>チャンピオンの孤独、輝き消えたアロンソ</title>
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<summary type="text/plain">　アロンソが冴えない、アロンソが強くない、アロンソが速くない……。ハンガリーＧＰ...</summary>
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<![CDATA[<p>　アロンソが冴えない、アロンソが強くない、アロンソが速くない……。ハンガリーＧＰを夏休みで欠席し、約１カ月ぶりに現場復帰したイスタンブールで僕が一番強く感じたのは、マクラーレンでルイス・ハミルトンと激しいタイトル争いを演じているはずの、ダブルチャンピオン、フェルナンド・アロンソの驚くほど色あせた姿だった。</p>]]>
<![CDATA[<p>　ハンガリーＧＰ予選で起きた「事件」の影響で、ピリピリとした緊張感が漂っていたイスタンブールのマクラーレン・メルセデス。開幕前日の木曜日にチーム代表のロン・デニスが２人のドライバーと個別に面談を行い、その後に両者が直接話し合いを行うことで「手打ち」とし、とりあえず形の上では問題解決……というコトにしたようだが、あの一件を通じて２人のあいだに大きなワダカマリが生じたことは間違いなく、その溝はどんなに表面を取り繕っても、次第に深くなっていくことは避けられないだろう。</p>

<p>　だが、そんな局面でも笑顔で「それぞれが自分の非を謝って、理解しあうことができた。僕たちは今でもお互いを尊敬しあっているし、２人の関係には何も問題はない……」と笑顔で優等生発言を貫くハミルトンに対し、アロンソは「僕がチームに加わったことでマクラーレンは大きく進歩できたのに、そのチームは僕に対して十分な敬意を払っていない」……と、相変わらずイジケ気味の愚痴が目立つ。どちらに心理的な余裕があるかとと問われれば、その答えは明らかだ。</p>

<p>　一方、アロンソはいよいよコース上でも予選一発の速さがなく、マッサ、ライコネン、ハミルトンに次ぐ４位が精一杯。日曜日のレースでもスタートでポジションを落とし、何とか４位に上がったとはいえ、その後は前を行くハミルトンにプレッシャーすらかけられない状態だった。トルコでは幸い（？）ハミルトンがタイヤトラブルに見舞われたおかげで３位表彰台に立つことができ、ポイント差を５点まで詰めることができたが、予選、決勝を通じて内容という点でいえば、アロンソの「強さ」を感じられるシーンは正直なところ一回も無かった。</p>

<p>　昨年、一昨年とミハエル・シューマッハーを相手正面からタイトルを争ったあのアロンソの輝き、力強さはいったいどこに消えてしまったのか、僕は別に彼のファンというわけではないのだが、短時間でオーラを失ったその姿を見て、なんだかとても寂しい気持ちになった。アロンソはなぜ、あれほどまで追い詰められているのか？　その理由のひとつに、ハミルトンがイギリス人だということがある気がする。</p>

<p>　圧倒的優位を築いたマクラーレンで世界チャンピオン経験者と驚異の新人がタイトルを争い、チーム内の緊張感が次第に増してゆく……という構図において、現在起きているアロンソ対ハミルトンの確執は往年のセナ・プロスト対立を思い起こさせるが、唯一、大きく異なるのは当事者の一方であるハミルトンが「イギリス人」だということだ。そう考えると、既に２度の世界チャンピオンを経験したアロンソが、自分のチーム内の立場についてかなり神経質になっているのも何となく分かる気がしてくる。なぜなら、少々乱暴かも知れないが、ハッキリ言うとＦ１の世界はしょせん「イギリス人のもの」という雰囲気が、今でも少なからず残っているからである。</p>

<p>　一見、国際色豊かな世界に見えるＦ１だが、モータースポーツというビジネスにおいて、イギリスほど圧倒的な力を持っている国は他にない。Ｆ１でもルノーやホンダを含むほとんどのチームがイギリスに本拠を置き、イタリアのフェラーリだって現在のチーム組織の基礎を作ったのは、主要スタッフと共に旧ベネトン（現在のルノーＦ１）からフェラーリに移籍したイギリスの連中だった。技術面はもちろん、人材、部品供給、マーケティング、そしてメディア……すべての面でイギリスは今でもＦ１を支えている中心であり、イギリス人たちもそれをハッキリと自覚している。声には出さなくとも「Ｆ１はイギリスのもの」と思っている人間は少なくないし、それはかなりの部分で正しいといわざるを得ないのが現実なのだ。Ｆ１に関わるほとんどの非イギリス人は、そんな空気を肌で感じているはずである。</p>

<p>　ただし、そんな「支配層」であるイギリス人が唯一、コンプレックスを感じていたのが「ドライバー」だ。大英帝国の息子と呼ばれ、絶大な人気を誇ったナイジェル・マンセル以降、彼らには本当の意味でのスターが現れなかった。その後、デイモン・ヒルが一度、チャンピオンになっているが、存在感という意味では小粒な印象だったし、マクラーレン時代には何勝かを期待できたデイビッド・クルサードも所詮「永遠のナンバー２」の器でしかなかった。一時期、待ち望んだ新星として英国人の期待を一身に背負ったジェンソン・バトンも、ホンダの低迷と共に今や確実に腐り始めている……。実質的にＦ１を支配しながら、一番求めているヒーローがいない。これがイギリス人のコンプレックスであり、外からみれば彼らの暴走を抑える一種の「抑止力」になっていたようにも思う。</p>

<p>　ところが、そこに超新星、ルイス・ハミルトンが現れた。マクラーレンの復活と時を同じくして、新たなイギリスのスターが華々しいデビューを飾り、その底知れぬポテンシャルに期待は膨らむ一方だ……。メルセデス・ベンツのワークスチームであり、これまでも「イギリス色」を強調しないように気を使ってきた「マクラーレン・インターナショナル」だってやはりイギリスのレーシングチームである、チームオーナーのロン・デニスがそうした問題を心配して、どんなに理性的、合理的に振舞おうとしても、新たなイギリス人スタードライバーを抱える興奮はチーム全体に漂っており、その雰囲気をもっとも敏感に、あるいは神経質に感じ取っているのが他ならぬアロンソなのではないだろうか？</p>

<p>　ちなみに僕はマクラーレンがチームとしてハミルトンに肩入れするようなことは（少なくとも現時点では）絶対に無いと思う。むしろ、そうした雰囲気が生まれることを何とか避けようと、２人のドライバーを可能な限り平等に……、場合によってはアロンソを優遇してでも、両者のあいだの緊張感を抑え、無用な摩擦を回避しようと、ロン・デニスも必死なのだろう。それでもチャンピオンの心の中に生じた、不安や疑念を払拭するのは簡単ではないし、いつも笑顔のハミルトンも得意の「優等生発言」の端々にほんの僅かだけアロンソに対する「棘」や「毒」をチラつかせ、ひと目につかないようにチャンピオンへの挑発を行っている。そう考えると、アロンソが一種の疑心暗鬼に陥り、自分のチーム内での立場や扱いに不満を募らせるのも、なんとなく理解できる気がしてくる。もちろん、そこで彼が心理的に振り回されるようならば、その時点でタイトル争いも「勝負アリ」なのだが……。</p>

<p>　９月９日から開幕するイタリアＧＰを含めて残り５戦。フェルナンド・アロンソがこの厳しい状況をどう乗り切るのかに注目したい。少なくとも現時点ではコース上でも、コース外でも流れは大きくハミルトンに傾き始めている。チャンピオンが今後、チーム内でも「孤立」していくようならば、今シーズンのタイトル争いはもちろんのこと、彼の将来に向けても大きな影を落とすことになりかねない。</p>

<p>　イスタンブールで反撃ののろしをあげたフェラーリが総力を挙げて臨んでくるシーズン後半戦は、マクラーレンの２人にマッサ、ライコネンを加えた４ドライバーによる混戦模様。その中では必ず、あの、ミハエル・シューマッハーを相手に２度のタイトルを勝ち取ったアロンソの経験が活きる局面もあるはずだ。このまま、形のない孤独感に苛まれ、飲み込まれてしまう前に、チャンピオンが再び輝きを取り戻すきっかけを、このモンツァでつかめればいいのだが……。</p>]]>
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<title>「笑顔のサイボーグ」対「人間アロンソ」</title>
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<modified>2007-07-27T01:04:46Z</modified>
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<summary type="text/plain">　ニュルブルクリングのヨーロッパＧＰでモナコ以来、久々の勝利を挙げ、いつにもまし...</summary>
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<![CDATA[<p>　ニュルブルクリングのヨーロッパＧＰでモナコ以来、久々の勝利を挙げ、いつにもまして表彰台で喜びを爆発させるフェルナンド・アロンソを見ながら「うーん、さすがのアロンソもやっぱりキツかったんだなぁ……」と実感した。</p>]]>
<![CDATA[<p>　もちろん、スタート直後とゴール直前、２度の雨が波乱を呼び、一度はフェラーリフェリッペ・マッサの手中に落ちたかと思われたレースを、終盤、鮮やかな逆転劇で奪い取っての勝利だ。アロンソが興奮をあらわにするのも無理はない。しかし、すい星のごとく現れた若きチームメートの活躍はダブルチャンピオンの彼にとっても大きなプレッシャーになっていたのだろう。そのハミルトンは今回、予選での大クラッシュ（原因はホイールナットの緩みだという）で予選１０位となり、レースでもタイヤ交換のタイミングを誤り（これもおそらくはチームの判断ミス）で無得点に終わり、チャンピオンシップポイントでもトップのハミルトン（７０ポイント）に対してアロンソが６８ポイントと２点差に肉薄！　大荒れの展開の中、久々に王者の貫禄を見せ付けたアロンソはゲームをほぼ振り出しに戻すことに成功した。彼のあの表彰台での激しいアクションは、このところ若き新人に注目を独り占めされていた感のある王者があげた反撃の雄叫びなのだろう。</p>

<p>　だが、そんなアロンソの姿以上に印象的だったのは、デビュー以来の連続表彰台記録を９でストップさせ、いくつもの不運に見舞われて無得点に終わった一方のハミルトンが、レース後、驚くほどサバサバとして「明るかった」ことだ。「今回の週末は、これまでの９戦以上に多くのことを勉強できたよ、それにノーポイントでも未だにランキングトップだなんてすごいことだしね！」と笑顔のハミルトン。これを単なる「優等生的発言」や「キレイごとの負け惜しみ」と感じたり、更に「闘志が足りない」などと批判するのは簡単だが、恐ろしいのは、彼の表情を見る限り、ハミルトンが「本気」でそう思っているように感じられることだ。このデビューしたての新人は、多くの不運に見舞われてなお「チキショー！」とか「アイツのせいで」とか心を乱すことなく「うん、コレも勉強、あれも経験、僕は新人だし、チームのみんなも頑張ってくれてるし、誰にでも失敗はあるし、それでもまだポイントリーダーなんてすごいことだし……」とマジで考えているようなのだ。</p>

<p>　そもそも、予選で起きた時速２５０キロオーバーの大クラッシュの後で、まるで何事もなかったかのようにレースを戦えるコト自体が驚異的で、そのレースでもスタート直後の大雨で多くのドライバーが（まるでドタバタ喜劇映画のように）１コーナーのグラベルの餌食となる中、１人だけエンジンをストップさせずに「救出」の可能性を待っていたのがハミルトンだった。コースマーシャルのクレーンがハミルトンの乗ったマクラーレンをそのまま吊り上げた時には「ええっ、そんなのアリだっけ？」と思ったけれど。確かに規則では「危険な状態を回避する目的に限り、マーシャルの助けを借りて再スタートしてもいい」ということになっている。結果的にはノーポイントに終わったとはいえ、ハミルトンがあの時点でリタイアとならず、大雨による赤旗中断後に再スタートできたのも、彼が「救出」という可能性に賭けてエンジンを切らずにいたからであり、その冷静さには、ただただ驚かされるばかりだ。「この１戦で、これまでの９戦よりも多くの事を学んだ」というハミルトンの言葉ではないが、我々もまたこの１戦で、これまで以上にハミルトンのすごさを実感させられたような気がする。</p>

<p>　どこまでも貪欲に、そして精密機械のように勝利への可能性を追いつづけたミハエル・シューマッハーを人はよく「サイボーグ」や「ターミネーター」に例えた。しかし、そこにはしばしば、彼の強さと同時に「非情さ」や「冷酷さ」といったネガティブな「ヒールとしてのイメージも内包されていたように思う。だが、笑顔のハミルトンに、そんなネガティブなイメージはみじんも無い。どこまでも爽やかに、どこまでも謙虚に、笑顔で、そして常にポジティブな姿勢と思考で成長を続ける驚異の新人……。揺らぎや破綻を一切感じさせないその姿は、冷静に考えると逆にそら恐ろしくもあり、その感覚はニュルブルクリングの週末を通じて更に強まった。そう、あえて言えば、彼は「笑顔のサイボーグ」なのだ。にこやかに、爽やかに、ポジティブ思考と超人的なメンタルの強さで更なる成長を続ける驚異の新人……。誰からも愛されるそのキャラクターには「ヒール」のネガティブなイメージがないだけに、敵に回すにはかなり厄介な存在だといえそうだ。</p>

<p>　そんなハミルトンと比べると、表彰台で雄叫びを上げるアロンソが遥かに普通の人間に見えてくる。チャンピオンとしてのプライド、英国のチームで急成長を見せる「英国人ルーキー」をチームメートに持つ不安、それらをはね返そうと、自らを奮い立たせようとする彼の闘志がニュルブルクリングのレースにハッキリと現れ、レース終盤、雨の中で見せた果敢なオーバーテイクや、表彰台でみせた激しいアクションに繋がっていたのだろう。普段、それほど感情を表に出さないアロンソが、久々に素でエキサイトしている姿から、ここ数カ月続いた彼の内なる葛藤と、それを突き破ろうとする気持ちがダイレクトに伝わってきて、現場で見ている僕にはとても印象的だった。</p>

<p>　果たして、転んでも笑顔で立ち上がり、次に転ばないようにキッチリとプログラムを修正して走ってくる「笑顔のターミネーター」ハミルトンは、今後もその強靭なメンタルを意地し続けるのか？　そして、彼の恐ろしさを最も肌で感じているはずのアロンソは、この身近なライバルにどう対峙（たいじ）し、王者のプライドを、そしてチームリーダの座を守るのか？　いずれにせよ、ニュルブルクリングの１戦が今シーズンを更に面白くしたことは間違いない。ハミルトンとアロンソ、マクラーレンを駆る２人の戦いはフェラーリの２台を加えたチャンピオン争いの中で、確実にひとつの軸を形成していくことになるはずだ。</p>]]>
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<title>疑惑広がる「ステップニーゲート事件」</title>
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<![CDATA[<p>　前週のフランスＧＰに続いてフェラーリのライコネンが連勝し、ルイス・ハミルトンの独走にひとまず歯止めが掛かったＦ１イギリスＧＰ。そのハミルトンも日曜日の決勝ではピットストップでミスを犯し、レースペースでも「フェラーリの速さについていけなかった……」と今回は素直に白旗をあげたものの、チームメートのアロンソに次ぐ３位入賞で、開幕以来の連続表彰台記録を９へと更新！　地元、シルバーストンに詰め掛けた多くのイギリス人ファンの声援に応えてみせた。</p>]]>
<![CDATA[<p>　だが、この週末、そのハミルトンと同じぐらい大きな話題となったのが、なんとＦ１を舞台にした産業スパイ事件！　元フェラーリのチームメカニックとマクラーレンのチーフデザイナー宅に当局の家宅捜索が入り、マクラーレン関係者の自宅から、計７８０ページ分にも相当するフェラーリの機密情報が記録されたディスクが発見されたというのである。</p>

<p>　疑惑の渦中にあるのは、フェラーリの元チーフメカニックでシューマッハー全盛時代のレース現場を支えたキーパーソンのひとりでもあったイギリス人のナイジェル・ステップニーと、マクラーレンのマシンデザイン部門を統括する立場のマイク・コフランの２人。シューマッハー引退以来、フェラーリで孤立気味の状況にあったステップニーがチームから機密情報を持ち出し、かつてベネトン（現在のルノーＦ１）時代の同僚でもあったコフランに渡したというのが、「とりあえず」このスパイ事件の基本的な骨格だ。</p>

<p>　イタリアとイギリスの当局にフェラーリがこの２人のスパイ行為を告発し、イギリスＧＰ直前という、これまた絶妙なタイミングでコフラン宅の家宅捜索が行われた結果、一気に表面化することになったこのスパイ疑惑。だが、今シーズンのＦ１でタイトルを争う「２強」であるフェラーリとマクラーレンの、しかも中枢にいる人物が関わる事件だけに、そのインパクトは大きく、特にボーダフォン・マクラーレンにとって、地元イギリスＧＰという重要なイベントを控えたスキャンダルはイメージ的にも大打撃。即刻、コフランを休職処分にしたチーム代表のロン・デニスは木曜日に行われたチームの新たなモーターホーム（と表現するにはあまりにも巨大で豪華。正式名称はボーダフォン・ブランドセンターというらしい）のお披露目で、珍しく目に涙を浮かべ「マクラーレンが他のチームの機密情報を自分たちのマシンに使ったという事実は断じて無い……」と訴えた。</p>

<p>　ちなみにステップニーとフェラーリ上層部の軋轢い関しては、このスパイ疑惑以前から様々な情報が流れており、フェラーリは「チームに対する意図的な妨害工作」があったとして既にステップニーを告発中。一方のステップニーも今季不振にあえぐホンダへの移籍に向けて水面下で動いていると見られていた。果たして、フェラーリ上層部に恨みを持つステップニーがチームの機密情報を盗み出し、それを旧友であるコフランに渡したのか？　コフランはそのデータをマクラーレンのマシンに使ったのか？　ところがイギリスＧＰの金曜日になると、新たな事実が浮上し、スパイ事件はさらに複雑さを増すことになる。　この日、定例のＦＩＡ記者会見に出席したマクラーレンのロン・デニス代表がフェラーリ、マクラーレン以外の「第３のチーム」の関与を示唆。それを受ける形でホンダが渦中の人物であるステップニーとコフランと６月に採用に関する面接を行っていたことを公式声明の中で明らかにしたのだ。</p>

<p>「４月の末にステップニー側からホンダへの移籍に関して打診があり、彼が「もう１人ホンダ入りを望んでいる人物がいる」といって連れてきたのがマクラーレンのコフランで、２度ほど面接をしたのは事実だ」とホンダＦ１のチーム代表を務めるニック・フライ。「ただし、その場でウワサになっているようなフェラーリの機密情報提供をオファーされたことは一切無い。我々にとっては単なる採用面接でしかなかったし、それも結果的には流れてしまったワケだからね……」</p>

<p>　ステップニーとコフランが盗み出したフェラーリの機密情報がホンダへの「手土産」だったという疑惑を全面的に否定したフライを実際、普段はホンダいじめが大好きな？　ＦＩＡの会長、マックス・モズレーも今回に関しては珍しくホンダの立場を擁護。「現時点でホンダがこの一件に与しているという認識はない」としていることから見ても、ホンダは単にこの事件の「トバッチリ」を受けたと見たほうが良さそうだ。</p>

<p>　ちなみに、疑惑の当事者であるステップニーは現在「身の危険を感じて」ヨーロッパ某所に潜伏中。潜伏先からイギリスメディアの取材に応え「すべては内部情報に通じた自分の他チーム入りを防ごうとするフェラーリのでっち上げ、データを盗み出そうにも数ヶ月前からチームに行動を逐一監視されており、現実的にそんな事は不可能だった」とフェラーリの陰謀説を主張。一旦はイタリアに帰国したものの「クルマに発信機を取り付けられ、謎の男たちが乗ったクルマ数台に追跡されて、家族にも危険が迫っていると感じた」と国外逃亡した理由を語る。また、一方のコフランは最新情報によるとフェラーリとの取引に応じ、事実関係を明らかにする意思を示したということだが、複雑怪奇な事件の真相が明らかになるかは、今後の司法当局の捜査を待つしかなさそうだ。</p>

<p>　ジェームズ・ボンドの故郷、イギリスを舞台にスパイ映画さながらの事件が繰り広げられた今回の「ステップニーゲート事件」。この一件が今後もＦ１界に大きな影響を及ぼすことは間違いないだろうが、これが「ペナルティ」といった形でコース上のレースやリザルトに直接的な影響を与えることだけは何としても避けて欲しいと思う。</p>]]>
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<title>ハミルトン２連勝は序章でしかない</title>
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<modified>2007-06-20T14:47:51Z</modified>
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<summary type="text/plain"> 　カナダ、米国の北米２連戦が終わって“予感”は“現実”に変わった。カナダでの初...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="f1-070620.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/sports/motor/kawakita/f1-070620.jpg" width="250" height="169" /></p>

<p>　カナダ、米国の北米２連戦が終わって“予感”は“現実”に変わった。カナダでの初優勝に続き、インディアナポリスでも王者アロンソをキッチリと封じ込めての２連勝！　今やルイス・ハミルトンという１人の新人ドライバーが、Ｆ１の歴史に新しい流れを作ろうとしている。</p>]]>
<![CDATA[<p>　ハミルトンが並みのルーキーではないことは、彼のデビュー前から多くのＦ１関係者が分かっていた“つもり”だったと思う。何しろレーシングカートに乗っていた１０代前半の頃から、マクラーレンのロン・デニスが手塩にかけて育ててきた文字通りの秘蔵っ子である。それにその実力はユーロＦ３や昨年のＧＰ２など、厳しい戦いの中でも証明済み。天性のスピードに加えて冷静な判断力、チームの力を自分へと向けさせる人間的な魅力、そして決してブレない目的意識……。Ｆ１で成功するために必要な要素を着実に身に着けながらハミルトンはここまで成長を続けてきた。しかも、長く続いた“ミハエル・シューマッハー時代”が終わり、Ｆ１が新たなエポックを迎えんとするその時に、復活に向けて上昇気流に乗り始めたマクラーレンからのデビューという、まさにこれ以上ないタイミング！　この時点で彼の将来が“ある程度”約束されていると思った人は多かったと思う。</p>

<p>　だが、彼らが（そして僕も）想像していた“ある程度”とは正直「新人ドライバーとしては驚異的な」という範囲であって、ハミルトンがこれほど早く「タイトルコンテンダー」の１人に、しかも、その主役に躍り出るなどとは思っていなかったはずだ。もちろんＦ１初年度をダブル・チャンピオンのアロンソと共にマクラーレンで過ごすというのは、新人のハミルトンにとって多くを学ぶ格好の機会だし、マシンのセッティングや戦略面でもアロンソの経験を身近で吸収することができる。それに新人のハミルトンにはタイトル争いのプレッシャーがないので、逆にノビノビとレースできるから、思わぬ好結果（優勝を含む）につながるかも……という可能性だって考えなかったわけじゃない。だが、それも今になって考えればずいぶんとノンキな予想だったと言わざるを得ないだろう。</p>

<p>　実際にシーズンが開幕し、毎戦、毎戦、表彰台の上に立つハミルトンを見るうちに「もしかしたら自分は大きな“時代の節目”を目にしているのではないか……」という感覚が１レース毎に強まり、それは徐々に予感から確信へと変わり始める。おそらく、モナコＧＰの頃には、もう、誰もがことの重大さに気がついていたと思う。</p>

<p>　だから、モントリオールでの初勝利は「驚き」でも「衝撃」でもなく「来るべきものが来た」という感覚に近かったし、インディアナポリスでの勝利も、その「再確認」に過ぎない感じがした。今やハミルトンは「新人」でも「初の黒人ドライバー」でもなく、１人の、そして有力なチャンピオン候補であり２００７年のＦ１は彼を中心に動き始めている。そして僕は「とんでもなくスゴイヤツ」が出てきたものだ……と、半ばあ然としながら、今はその事実を受け止めるだけで精一杯。いろんなことが消化不良で、アタマは少しクラクラしているが、決して悪い気分ではない。実を言えば、「ハミルトンのスゴさ」を予想しきれなかった不明を恥じるより、予想をはるかに超える状況が「たった１人の人間」によってもたらされたということにあらためてＦ１というスポーツの奥深さ、面白さを再発見させられた気がして、ちょっとうれしかったりもするのだ。</p>

<p>　来週からは再びヨーロッパに戦いの場を移すＦ１、このままハミルトンが破竹の快進撃を続けるのか？　それとも王者アロンソの反撃が待っているのか？　失速気味のフェラーリだってこのままマクラーレンの独走を指をくわえて見ているとは思えない。しかし、この後、どんな展開が待っているとしても、ハミルトンはその中で重要なポジションを占め続けるに違いない。しかもそれは、これから先、何年も続くであろう新たなストーリーの「序章」でしかないのである。何しろ彼は、まだ７戦しか戦ってないのだから……。</p>

<p><strong>※写真は米国ＧＰで２連勝を飾り、喜ぶルイス・ハミルトン（左）とさえない表情のフェルナンド・アロンソ（ＡＰ＝共同）</strong></p>]]>
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<title>ヒロキはどうしてるんだ？</title>
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<summary type="text/plain"> 　開幕から５戦連続表彰台というトンでもない記録を打ちたてた、驚異の新人、ルイス...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="photo_yoshimoto3.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/sports/motor/kawakita/photo_yoshimoto3.jpg" width="210" height="240" /></p>

<p>　開幕から５戦連続表彰台というトンでもない記録を打ちたてた、驚異の新人、ルイス・ハミルトン。伝統の一戦、モナコでもチャンピオンのフェルナンド・アロンソと緊迫した優勝争いを展開し、共倒れを恐れたマクラーレンがナンバー１ドライバーのアロンソを優先する「チームオーダー」を出したのではないかとレース後には物議をかもすほどに、その存在感は高まる一方だが、彼の活躍で注目度が上がっているのが、昨年、ハミルトンがタイトルを獲得し、それ以外にも、ウイリアムズのニコ・ロズベルグやルノーのヘイキ・コバライネン、トロ・ロッソのスコット・スピードなど、過去２年で多くのＦ１ドライバーを輩出しているＧＰ２シリーズである。</p>]]>
<![CDATA[<p>　Ｆ１と違って全ドライバーが同じ車体、同じエンジンを使用するＧＰ２は、いわゆる「ワンメイクフォーミュラ」ながらその性能はＦ１にかなり近く、マシンの差が出にくいためにドライバーの力量がハッキリと現れる。しかも、それを操るのはＦ１を目指して世界中から集まった才能豊かな野心にあふれた若手ドライバーたち……。当然、コース上の戦いはヒートアップし、厳しい競争のレベルと白熱のバトルに「レースだけ見てればＦ１より面白いかも？」という声すら少なくないほど。</p>

<p>　従来の国際Ｆ３０００に代わる形で２００５年からスタートし、そのほとんどのレースがＦ１のサポートレースとして併催されるＧＰ２は、過去２年の実績と卒業生たちの活躍によって、今やしっかりと「Ｆ１予備校」としての地位を確立したと言っていい。また、今シーズンはこのＧＰ２に昨年、スーパーアグリでＦ１を戦った山本左近とトヨタの若手ドライバー育成プログラム“ＴＤＰ”の支援を受ける中嶋一貴、平手晃平という３人の日本人ドライバーが参戦していることもあり、日本のメディアでも紹介される機会が増えてきているようだ。</p>

<p>　ところで、そのＧＰ２パドックで取材をしていると、ドライバーやチーム関係者、エンジニアなどから毎回のように聞かれるのが「ヒロキはどうしてるんだ？」という質問だ。</p>

<p>　ヒロキとは昨年そして、一昨年に「唯一の日本人ドライバー」としてこのＧＰ２シリーズを戦った吉本大樹のこと。今年から戦いの場を日本に戻し、現在、フォーミュラニッポンに参戦中の吉本だが、今でも多くのＧＰ２関係者が彼のことを気にかけてきて、日本人プレスである僕にその近況を聞きたがるのだ。<br />
　実際、彼らの吉本に対する評価は驚くほど高い。チーム体制や運にも恵まれず、２年間のＧＰ２参戦で表彰台に１回しか上がることができなかった吉本、ただし、それだって国際Ｆ３０００移行、Ｆ１に準ずるフォーミュラで日本人が表彰台に上がったのは野田秀樹に続いて２人目という快挙なのだが、かつてのチームメイトやライバルチームの関係者はそうした表面的な結果だけでなく「内容」で吉本に強い印象を受けたようだ。「どうしてヒロキはＧＰ２に残れなかったんだ？　アイツは絶対に速いし、いい体制で戦えれば優勝争いに食い込めるのに！」とかつて吉本を担当したエンジニア。</p>

<p>　また、ＧＰ２シリーズの広報担当者も「彼は本当にＧＰ２のパドックで愛されていたよ、イイやつだし、アタマも良くて、英語でのコミュニケーション能力もバッチリだ。それに彼が何よりドライバーとして優れていた。それは過去２年のリザルトを見れば明らかだよ、ヒロキは同じチームでコンビを組んでいたティモ・グロックやエルネスト・ヴィソを圧倒していたからね！　今年、チャンピオンの有力候補になっているグロックをだぜ！」</p>

<p>　日本の大手スポンサーや自動車メーカーの支援もなく、たったひとりでヨーロッパのレースに挑んだ吉本は、結果的に２年とも十分な体制で戦うことができず、自分がコンビを組んだドライバーが他チームに移籍するのを、さぞかし悔しい気持ちで眺めていたに違いない。あのルイス・ハミルトンとコース上で激しいバトルを展開したこともあったのに、たった１度のＦ１テストドライブのチャンスも彼のところには巡ってこなかった……。でも、彼とともにＧＰ２を戦った多くの「仲間」たちの記憶には「ヒロキ」の才能とチャーミングな人柄がしっかりと刻み込まれていることを、今でもＧＰ２のパドックを訪れるたびに実感させられ、それは僕にとってもちょっと嬉しいことなのだ。</p>

<p>　もちろん、吉本が本当にＦ１へと進むべきドライバーだったのか？　あるいはそうでないかったのか？　と問われれば、それは正直なところ分からない。様々な事情はあったにせよ、レースとは最終的に「結果」がモノを言う世界であり、体制面や運、不運を含め、様々な要素が「結果」には反映されるからだ。だが、これだけ国際化が進んだ今でも、日本人が世界の舞台で１人の人間として「プロフェッショナル」として認められることは簡単ではなく、そんな欧州の厳しいレースの現場で、しかもたった１人で、しっかりとその存在をアピールできた吉本はさすがだと思う。そして、本当に残念なのは、そんな彼の挑戦に日本の企業や自動車メーカーから多くのサポートが得られなかったことだ。いや、僕だってＦ１を頂点とするモータスポーツの世界が、それほど単純なモノではないことは分かっている。でも、ＧＰ２の連中がそれこそ「単純」に吉本の価値を認め、評価しているのを見るたびに、僕も単純に「もったいない……」と思うのである。<br />
<strong>※写真は大舞台での活躍が待たれる吉本大樹</strong></p>]]>
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<title>本当にＦ１は盛り上がっているのか？</title>
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<modified>2007-05-21T12:03:40Z</modified>
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<![CDATA[<p>　更新が大幅に遅れてしまってごめんなさい。スペインＧＰから、もう１週間が経ってしまいましたもんね……。正直に白状すると、コラムのテーマについてちょっと悩んでしまっていた。「あのレースの後で、いったい何を書いたらいいのか？」と、恥ずかしながらアタマの整理ができずにいたのである。</p>]]>
<![CDATA[<p>　「えーどうしてぇ？」と不思議に思う方もいるだろう。そう、バルセロナではスーパーアグリの佐藤琢磨がチームにとって初のポイント獲得となる８位入賞を果たし、レース後のパドックで喜びを爆発させる琢磨やチームスタッフの様子を眺めながら、僕の胸にもジーンと熱いものがこみあげてきた。もちろん、ルノーのフィジケラが給油機のトラブルに見舞われ、レース終盤に予定外のピットインを強いられたという「幸運」があっての８位入賞ではあるが、あのレースでそうした「幸運」を拾えるポジションに琢磨とスーパーアグリがいたということ自体が、このチームの成り立ちやこれまでの歩みを考ると、手放しで「素晴らしいこと」だと思うし、それを実現するためにどれほどの努力と情熱が必要だった？　想像するだけで琢磨にも、そしてチームスタッフのひとりひとりにも大きな敬意を感じずにはいられなかった。</p>

<p>　ちょっとベタな表現になってしまうが、いろんな意味で「モノ」と「金」が絶対的な影響力を持つ現代のＦ１でもなお「人」や「気持ち」「情熱」といったものが何かを変える力を持っていることを、スペインＧＰでの琢磨とスーパーアグリの８位入賞は証明してくれたと思う。そして、それを自分の目で見ることができたというのが、今のＦ１に対して漠（ばく）然とした不安を感じている僕にとっても大きな救いになった。琢磨だって、チームスタッフのひとりひとりだって、チーム設立から１年半足らずのあいだに何度も「クサって」不思議じゃないほどつらい状況はあったはずだ。将来に夢を抱こうにもＦ１界の「格差問題」はあまりに大きく、彼らが現実的に望めるものだって限られていたはずだ。それでも、自分たちを信じ、わずかな可能性を信じて全力を尽くし続けたからこそ、彼らは今回のように文字通り「千載一遇」のチャンスをつかめたのだと思う。そして、レース後のパドックで抱き合って喜ぶ彼らの姿に、そうしたことが全て凝縮されていたか、見ているこっちもジーンと胸が熱くなったのだ。それでは、どうして僕は悩んでいたのか？　単純に「感動した、良かった！」で済ませられないのか？　なぜなら、これまでこのコラムでも何度か書いてきた「ニッポンのＦ１」対する漠然とした不安が、喜びに沸くパドックの向こう側にチラついてしまうのである。</p>

<p>　例えばスーパーアグリの将来、今回の結果が証明しているように、今シーズンのスーパーアグリは昨年とは比べ物にならないほど高い戦闘力のマシンを手に入れ、１年間の経験を確実に活かすことで、１年目のシーズンより遥かに高いポテンシャルを得ていると言っていい。開幕前に半ば冗談、半ば本気？　で言っていた「スーパーアグリの方がホンダより速かったりして？」が、今や現実となりつつあるのだ。しかし、スーパーアグリのボディーに付いたスポンサーロゴを去年と比較して見てみよう。去年だってお世辞にも潤沢とは言えなかった（むしろその逆だった）スポンサーは少なくともマシンについたロゴの数を見る限り、更に少なくなっている印象を受けるし、実際、チームの台所事情はかなり厳しい状態が続いているという。</p>

<p>　どんなに小規模なチームとはいえ、Ｆ１チームを運営し、１年間シーズンを戦うにはそれ相応の資金が必要だ。もちろん、スーパーアグリがホンダから技術面（あるいは技術的協力を含めた資金面で）で多くのサポートを受けているので、純粋なプライベートチームとは比較できないかも知れないが、少なくとも外部から見る限り、現在のスポンサー状況でどう考えても「自立した」チーム運営が可能だとは思えない。しかし、そうした「資金面」での基礎が確立できなければ、この「夢」が今後も続くことなど絶対に不可能だ。</p>

<p>　このコラムの前半にも書いたように、スーパーアグリは彼らが今持っている条件の中で最大限の成果を出していると思う。だが、これでもチームのスポンサー状況が好転しないのだとしたら、シビアな言い方だがこの「夢」はやがて消えてなくなる運命にある。</p>

<p>　「どうですか？　今年はＦ１盛り上がってます？」こんな仕事をしていると、そんな風に聞かれることがある。スペインの後は「琢磨もポイント取ったらしいし、なんかイイ感じじゃないですか！」みたいな感じで言われることもしばしばだ。正直なところ、僕はその答えに困ってしまう。もちろんスーパーアグリの活躍や琢磨の入賞はポジティブな話題だし、バルセロナの翌日には日本の新聞なども、さまざまな形でその話題を取り上げ、一般メディアでの露出は大きかった。フジテレビは地上波や衛星放送で多くのＦ１関連番組を放送し（世界選手権と名が付くイベントが地上波で全戦中継されているスポーツはＦ１を除くと極めてまれだ）ＣＳではスーパーアグリの情報を紹介する番組だってあるほどなのに、そのチームのスポンサーになろうという企業はさっぱり現れない……。これではどうしても「ホント、今年は盛り上がってるよぉ……」とは言いにくいのだ。</p>

<p>　Ｆ１がマシンという機械に依存するプロスポーツである以上、商業スポンサーの資金なしで成り立たないことは誰だって分かっている。そして商業スポンサーを行う企業は、自分たちの投資するスポーツの注目度や人気が、さまざまな形でその企業のメリットになり得ると判断したときにお金を出すのだ。スーパーアグリにスポンサーが集まらないのは、彼らに、もしくは「Ｆ１」そのものに、それだけの価値がないということなのだろうか？　表面上はそこそこ注目を集めているように思えるのに、企業や社会はそうは考えていないという事なのだろうか？　今回の初入賞で状況が少しでも好転することを祈りつつ、「Ｆ１は本当に盛り上がってるのだろうか？」と僕は自問自答を繰り返してしまうのだ。</p>

<p>　１つだけ確かなのは、仮にこのままの状況が続けばチームの経営はやがて行き詰まり、先週のスペインで垣間見えた「夢の萌芽」もいつか「夢」のまま消えてゆく運命にあるということだ。もちろん、これまで同様に、いやこれまで以上にホンダがさまざまな面でスーパーアグリを支援し続ければ、ある程度の「延命」は可能だろう。だが、本体であるホンダＦ１のワークスチームが最悪の状況にある中で、ホンダにどこまでそれを続ける余力があるものなのか？　こちら側の「ねじれ」も既に限界に近い状況に来ているのではないだろうか？　「スーパーアグリの挑戦」という夢を、その冒険ドラマをこれからも一緒に楽しみたいのならば、もうこれ以上「タダ見」は許されない。日本の企業が、それを取り巻く社会が今、動かなければ、冒険はいつか「幻」と消えてしまう……。</p>]]>
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<title>開幕３戦で見えてきたぞ2007年序盤戦</title>
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<modified>2007-04-20T07:21:02Z</modified>
<issued>2007-04-20T07:18:20Z</issued>
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<summary type="text/plain">　数年前までは「番狂わせ」も多かったけれど、最近は各チームの実力がキッチリと反映...</summary>
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<![CDATA[<p>　数年前までは「番狂わせ」も多かったけれど、最近は各チームの実力がキッチリと反映されることが多くなってきたシーズン序盤戦。特にメルボルンから始った今年の開幕３戦は２００７年シーズンのアウトラインが比較的分かりやすい形で見える内容だった気がする。次のバルセロナまでは１カ月弱ほどあるので、ヨーロッパラウンドからは新たな展開があるかもしれないが、とりあえず現時点で見えてきたものを確認してみると…。</p>]]>
<![CDATA[<p><strong>１・タイトル争いの軸はフェラーリとマクラーレン</strong><br />
　開幕前の予想通り、今シーズンはフェラーリとマクラーレンが２強を形成。冬のテストではフェラーリの圧倒的な優位を危惧する声もあり、ライコネンが圧勝した開幕戦のメルボルンではそれが証明されたようにも見えたが、その後の２戦、マレーシアとバーレーンを見る限り、マクラーレンもかなりの戦闘力を秘めており、序盤からフェラーリ独走という状況ではないようだ。</p>

<p>　また、ドライバーズタイトル争いに関してもライコネン対アロンソが軸であることは間違いないものの、マクラーレンからデビューした驚異の新人、ルイス・ハミルトンが開幕から３戦連続の表彰台（新人として史上初）。マレーシアの失態でミソがついたマッサも、バーレーンでは完璧なレースで優勝を飾って名誉挽回を果たしており。当面はこの２チーム、４人を中心にシーズンが展開しそうな雰囲気。</p>

<p><strong>２・ホンモノだったぞ、ハミルトン</strong><br />
　ゴーカートに乗っていた１０歳のときにマクラーレンのロン・デニスに見初められ、１２歳でマクラーレンと契約。フォーミュラ・ルノー、Ｆ３、そして去年のチャンピオンとなったＧＰ２シリーズとトントン拍子にフォーミュラの階段を駆け上ってきたルイス・ハミルトンが満を持してのＦ１デビュー。その内容は上の項にもあるように文句ナシ、期待以上の出来だった。天性のスピード、集中力、冷静さ、思い切りの良さ…レーシングドライバーとしての資質の高さはわずか３戦のレース内容にもハッキリと現れており「デビューイヤーでの優勝」への期待はもちろん、今季のチャンピオン候補の１人に挙げる声も少なくない。「Ｆ１界のタイガーウッズ」登場に注目と期待は高まるばかりだ。</p>

<p><strong>３・王者ルノーの失速、ＢＭＷ急上昇中</strong><br />
　昨年、一昨年と２年連続でタイトルを獲得した王者ルノーが明らかに失速し、表彰台にも届かない…。今年はベテランのフィジケラと新人、ヘイキ・コバライネンのコンビで戦うルノーだが、昨年までのエース、フェルナンド・アロンソの移籍がダメージとして効いているのか？　それともルノーの失速を事前に予感したアロンソが移籍したのか？　ハミルトンと共に注目の大きかったフィンランドの新人、ヘイキ・コバライネンも、今のところはや期待はずれの内容に終わっている。一方、そのルノーに代わって急上昇中なのが２年目を迎えたＢＭＷザウバー、手堅いマシンづくりながら、２強以外ではスピード、安定感ともに飛びぬけており、バーレーンではニック・ハイドフェルドがコース上でアロンソを追い抜くシーンも！　２年目のロベルト・クビサも着実に成長し、前半戦のダークホース的存在に！</p>

<p><strong>４・ピンチから明暗分けたトヨタとホンダ</strong><br />
　開幕前のテストでは共に「苦戦」が報じられたトヨタとホンダ。しかし、実際にシーズンが始ってみると、両日本メーカーの状況はハッキリと明暗を分けた。トヨタが開幕からの３戦連続で予選トップ１０に進出し、レースでも着実にポイントを獲得したのに対して、一方のホンダは第３期Ｆ１活動が始って以来「最悪」といってもいい悲惨な状況。ジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロの両ドライバーも入賞はおろか、予選第１セッション通過すらおぼつかないＧＰもあり、チームはブレーキング時の安定性に致命的な問題を抱えたニューマシン、ＲＡ１０７の大幅な改良を迫られている。ただし、ホンダがあまりに「真っ黒」な状況なので、それと比較して「明」に見えるトヨタも、予選トップ１０から８位、７位入賞という現在の状況が「目いっぱい」で、そこから上を目指す勢いが現時点では感じられないというのも事実。ホンダは当面、大幅改良したマシンが出てくるカナダＧＰあたりまで、大幅な改善は期待薄？</p>

<p><strong>５・スーパーアグリが見せた大変身と課題</strong><br />
　メルボルンでは佐藤琢磨が予選トップ１０に進出！　去年、最下位争いの常連だっだスーパーアグリＦ１が、たった１年で見せた大きな進歩は開幕戦のパドックでも大きな注目を集めたが、その後の２戦でも今年のスーパーアグリが「そこそこ戦える」パッケージを持っていることが証明されたと言えるだろう。昨年のハンガリーＧＰで優勝したホンダＦ１（ＲＡ１０６）をベースに開発されたと言われるニューマシンのＳＡ０７が、本家であるワークスホンダのマシンを上回るスピードを見せることも多く、佐藤琢磨、アンソニー・デービッドソンのコンビが昨年とは全く異なる「まともにレースできる状況」で戦う環境が整ったと言えそうだ。ただし、期待された大手スポンサーの獲得もなく、技術面を含めて多くをホンダに依存するスーパーアグリの現状は、一部チームが問題視している「カスタマーカー問題」との絡みも含めて潜在的な不安要素となっており、ここから将来に向けていかに安定したチームの基盤を作れるかが、今シーズンの大きな課題に。</p>

<p>　…この他、ウイリアムズのテストドライバーとして開幕２戦で金曜日フリー走行に出場、チームから高い評価を受けた中嶋悟の長男、中嶋一貴の快走や、思いのほか振るわない、巨匠、エイドリアン・ニューイのデザインによるレッドブル＆トロ・ロッソ、今後もひと悶着ありそうな「カスタマーカー」問題など、様々な話題があった開幕３戦だが、ヨーロッパからの長距離遠征となる序盤の一幕目はこれでとりあえず一区切り、バルセロナ、モナコと続くヨーロッパラウンドでは、一体どんな展開が待っているのだろう？　少なくとも、新時代の幕開けに相応しい変化に富んだ今シーズンのＦ１が僕たちを退屈させることはなさそうだ。</p>]]>
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<title>今、改めて問う！　ホンダはＦ１で何がしたいのか？</title>
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<![CDATA[<p>＜Ｆ１：マレーシアＧＰ＞◇決勝◇８日◇セパン・サーキット◇１周５・５４３キロ×５６周</p>

<p>　第３期Ｆ１活動でホンダは何をしたいのか？　ウェブサイトに載せるコラムにしては、かなり長くなりそうだが、今回はこの８年間ずーっと抱いてきた疑問と怒りについて、ここで考え直してみたい。今シーズンのホンダの悲惨な状況を云々する以前に、最も大切な「何のためにＦ１を戦うのか」という部分があまりにも曖昧に思えてならないからだ。</p>]]>
<![CDATA[<p>　今回のマレーシアでもまた惨めな成績に終わったホンダＦ１チーム。予選ではメルボルンに続いてバリチェロが第１ステージで脱落し、辛うじて第２ステージに進んだバトンも１５番手が精一杯。決勝レースではバリチェロ１１位、バトン１２位と、順位だけならまだマシに見えるが、上位陣との差は余りにも大きく、直接のライバルはホンダ自身が支援する「弟分」であるはずのスーパーアグリ……という状況。もちろん、昨年のチャンピオンチームであるルノーですら、ちょっと油断すると今年のように苦戦することもあるのが厳しいＦ１ＧＰの現実だし、今年のマシンがある意味「失敗作」であることは、開幕戦の時点である程度判っていたのだから、それがたった３週間で大きく改善されるとは思えないのだが、いわゆるメーカー系「ワークスチーム」の中で今年のホンダが際立ってダメなチームであることは紛れも無い事実であり、これはもう一種の非常事態。ちなみにホンダは現在、大幅な改造を加えたマシンを準備中で、これが６月のカナダＧＰ前後には投入されるようだが、少なくともそれまでは多くを期待しないほうがいいだろう。</p>

<p>　ここで、誤解しないで欲しいのだが、僕は今年のホンダの「惨状」そのものに怒りや不満を感じているわけではない。いや、もちろん、個人的にもすごくガッカリはしているし、見るに耐えないほど酷い内容だという点にも異論はない。しかし、開幕前のテストの時点から厳しいシーズンになることはある程度分かっていたので、気持ちでは受け入れがたくても、アタマの中では「想定内」ギリギリの状況（正直に言うと、それより酷いが……）だと言えなくも無いのである。さらに踏み込んだ言い方をすれば「ダメでも当然で、厳しくても通るべき道を通っているだけ」とすら考えている。なぜなら、僕は今年こそがホンダ第３期Ｆ１活動の「本当の意味での１年目」だと思っているからだ。</p>

<p>　９９年にＢＡＲホンダとして参戦を開始して以来、今年で８年目を迎えるホンダ第３期Ｆ１だが、最初に掲げた「車体とエンジンの両方をホンダが手がける形で頂点を狙う」という目標とは裏腹に、新たな挑戦の中核であるべきＦ１の車体開発については、なかなかホンダ側が主体的に開発をリードする体制が作り上げられずに中途半端な状態が続いてきた。その根本的な原因としては、ホンダが当初の「１００％ホンダによるワークスチームでの参戦」という計画を変更し、ＢＡＲという経験も実績も無い新興チームとの共同開発という曖昧かつ中途半端な形で参戦したことが何よりも大きいが。それ以外にも第２期Ｆ１でエンジンサプライヤーとして数々のタイトルを獲得したホンダの、自分たちの力に対する「過信」や「おごり」、時代の流れから取り残されていたエンジン開発技術や、Ｆ１車体開発に関する明らかな経験や認識の不足が、状況を更に難しくしていたことも事実だ。</p>

<p>　もっと率直に言えばホンダはＦ１をナメていたのであり、自分たちの力不足を認識するのにすら少なからぬ時間を要したので、何かといえば「パートナー」であるはずのＢＡＲを批判し、そんなホンダに対してＢＡＲ側も不満を募らせていた。当然、こうした状況では「共同開発」など順調に進むはずもなく、ＢＡＲホンダから現在に至る歩みは、そんな「不幸な生まれ」によって生じた、それこそ数え切れないほどの問題を少しづつ修正してきた道程あり、その結果、ようやくたどり着いたのが、「ホンダがホンダのやり方でＦ１マシンを開発して戦う」という現在の体制なのだと僕は思っている。だからこそ、今年のマシンであるＲＡ１０７は元ウイリアムズのテクニカル・ディレクター、ジェフ・ウィリス主導で進んできた過去数年間の流れから大きく踏み出し「失敗を恐れずにチャレンジする」ホンダスピリットを前面に押し出した攻めデザインを採用したのだ……と。</p>

<p>　残念ながら、こうして「失敗を恐れずに攻めた」マシンであるＲＡ１０７は結果的に失敗作だったと言わざるを得ないだろう。しかもジェフ・ウィリスがデザインした昨年型のマシン、ホンダＲＡ１０６の流れをくむ（というより、ほとんど“そのもの”に近い）スーパーアグリＳＡ０７が予選でワークスホンダを上回る速さを見せて、その「失敗」を更に目立たせてしまうという皮肉な事態となっている。だが、僕はこうして言い訳の聞かない状況で手痛い失敗を経験することが、今のホンダにとっては何よりも大切であり、だかこそがこれは「本来通るべき道」なのだと考えているのだ。シビアな言い方だが、これだけダメだということは、少なくとも現時点でホンダには「実力が無い」ということであり、その厳しい現実を誰かのせいにするのではなく、まずはホンダ全体が正面から受け止めない限り、絶対に次のステップには進めないだろう。そして、これだけ惨めな姿を晒しながらも、そこから泥臭く這い上がろうと全力を尽くすのが、本当の意味での「ホンダスピリット」なのだと信じている。</p>

<p>　しかし、そんな僕が心配を通り越して「怒り」すら感じるのは、肝心のホンダがそうした挑戦の意味を理解しているのか大いに疑わしく、何よりもホンダ自体に一貫したＦ１挑戦への姿勢が感じられないことだ。分かりやすく言うなら、冒頭に挙げた「何のためにＦ１を戦うのか」という根本的な部分がホンダ自身の中ですら明確になっていない気がするのだ。　実際のところ、僕のように「Ｆ１参戦の形」や「意味」「目的」なんかを気にしているのは日本のＦ１ファンの中でもごく一部に過ぎないのだろう。多くのファンはそんな細かい事よりも「日本人ドライバー」や「日本のチーム」（その実体がどうであれ）がＦ１で活躍してくれさえすれば、それで満足なのであって、まずは「ニッポン・チャチャチャ」の一体感と「結果」が命。その意味で結果がいまひとつ盛り上がらない現状は当然、「不満」以外のナニモノでもなく、何よりも「結果を出して欲しい」すなわち「ともかく勝ってくれ！」いうのが本音なのだ。では、ホンダ自身が今回の第３期Ｆ１に求めるものは何なのか？　それが多くのファンと同じように単なる「結果」なのだとしたら、今のアプローチは明らかに間違っていると言わざるを得ない。</p>

<p>　フェラーリやマクラーレンと同じように年間５００億円近い予算を投じるのなら「ホンダの技術」「ホンダのやり方」などにこだわらず、フェラーリからロス・ブラウンでも引き抜き、他チームからも経験豊富なＦ１スペシャリストをかき集めればいい。Ｆ１界の裏も表も知り尽くした人物をチームのボスに据えて、人、金、モノをキチンと揃えれば、それこそが成功への最短距離。国際化、無国籍化が進む中での総力戦が現代Ｆ１の姿なのだから、むしろこのほうがチームとしては自然な姿だし「日本人主体のチーム運営」とか「ホンダ独自のやり方で……」などという考え方自体がむしろアナクロ的だと言えるぐらいだ。</p>

<p>　第２戦のマレーシアＧＰが終わった翌日には早くもイギリスのウエブサイトで「ホンダが休職中のロス・ブラウンに接触か？」というウワサが報じられていたが、その真偽はともかくとして「参戦の形」や「意味」よりも結果を重要視するのならば、それは自然な流れであり、むしろチームとしてやらなければならない事なのだと思う。</p>

<p>　だが、本当にそれでいいのか？　第３期ホンダＦ１が目指したものは単なる結果だけなのか？　今や少数派なのかもしれないが、少なくとも僕はそうではなかったと信じている。なぜなら僕は、基本的にヨーロッパ人の文化であるＦ１に、日本のメーカーであるホンダが自分たちの技術で正面から立ち向かい、結果として頂点に立つ事でその力を証明する姿が見たいと思い続けてきたからだ。マクラーレンやウイリアムズで活躍した第２期ホンダＦ１で、エンジンサプライヤーとして文字通り「Ｆ１を席巻した」ホンダだが、今でも「日本人にＦ１の車体は作れないだろう！」というのがヨーロッパ人たちの本音であり、そうした空気は長年、Ｆ１の取材をしていても身をもって感じることができる。</p>

<p>　だからこそ、たとえアナクロと言われようと、僕は日本のメーカーが自分たちの技術と力で、自らイニシアチブを取った形でＦ１マシンを造り上げ、戦い、勝利する日を夢見てきたのだし、６０年代の第１期Ｆ１でも、そしてエンジンサプライヤーとして参戦した第２期のＦ１でも、そうした「ホンダ独自のアプローチ」で無謀ともいえる挑戦をしてきた。そしてヨーロッパという「アウエー」での戦いででニッポンの力を証明してきたからこそ、ホンダというメーカーはこの世界で尊敬を集め、僕たちに感動と夢を与えてくれたのではなかったか？</p>

<p>　残念なことに、そうやって我々に夢を与えてくれた「ホンダスピリット」は今やホンダ自身の中でも絶滅寸前の危機にあるようだ。悲しい事だが、第３期Ｆ１活動が始まってからこれまで、いろいろな場面で、それを実感せずにはいられなかった。明確な目的や戦略を持たないまま、場当たり的な対応を繰り返したり、問題の責任を押し付けあったり、くだらない派閥間の争いやメンツにこだわり続け、本当に「やらなければならないこと」を放置するホンダの人たちを数多く見てきた。ホンダスピリットを口にしながら、やっていることは正反対の「サラリーマン思考」だったり、素人目に見ても重要な課題がそのまま置き去りになっていたりして、正直、その実情に幻滅したことも少なくない。</p>

<p>　そしてそのたびに僕は「ホンダは一体Ｆ１で何がしたいんだろう？」と疑問に思ってきた。もちろん、そんな状況の中でも多くのエンジニアたちは全力で努力を続けてきたことは疑いようがないが、他ならぬホンダ自身が「Ｆ１で何をしたいのか」「そのために何をしなければならないのか？」という根本的な部分で明確な方向性を持っていなければ、そうしたひとりひとちの努力も実を結ぶことなく、浪費されてしまうだけだ……。</p>

<p>　ホンダ第３期Ｆ１活動でも過去最悪ともいえる、悲惨なシーズン序盤戦を戦う今だからこそ、改めてホンダに問いたい。「ホンダは何のためにＦ１を戦っているのか？」と。なりふり構わず純粋に「結果」だけを求めるのならば、今のアプローチとは他にやり方があるはずだ。一方、それよりも「ホンダのやり方」という「過程」に拘るのなら、たとえどんなに惨めな姿を晒しても、泥臭く、ここから這い上がる道を求めて全力を尽くすしかない。</p>

<p>　また、単に日本人ドライバーの人気にあやかりたいなら、バリチェロなどすぐにクビにして琢磨をもういちどホンダに乗せればいいし、いっそのことワークスホンダでの参戦をやめて、スーパーアグリの支援に専念したほうが「一般ウケ」という意味ではイイかもしれない。マジメに地球環境の問題に取り組みたいのなら、今すぐＦ１から撤退して、その予算を別の研究につぎ込むべきだ。そもそも「本家」のホンダワークスがこの有り様なのに、スーパーアグリの支援をする余裕があるのが不思議ではないか？　やっていることにあまりに一貫性が無く、しまいには「スーパーアグリは将来のホンダＦ１撤退に向けたカクレミノか？」という、かなり“うがった見方”すらしたくなってくる。</p>

<p><br />
　多分、同じような問いはホンダだけでなく、我々メディアに関わる人間や「ファン」に向けても向けられているのだと思う。あなたはホンダＦ１に、いや、もっと大きな意味で「日本のＦ１」に何を期待し、何が見たくて声援を送るのか？　良くも悪くも無批判な「ニッポン・チャチャチャ」が、Ｆ１を見る本当の楽しさなのか？　初めて鈴鹿で日本ＧＰが行われてから２０年過ぎた今、我々ももう見つめなおす時期が来ている気がするのだ。もちろん、最悪の序盤戦を戦うホンダに対する評価も、ホンダに何を求めるかによって大きく変わってくるだろう。<br />
　ある人にとっては許しがたい「ゼロ以下」かもしれないし、一方でこれを「避けられない試練」と受け止める人もいるかもしれない。僕自身はと問われれば、この惨めな状況から自分の力で、必死に這い上がるホンダを見たいと、今でも思っている。この挑戦を通じてもう一度日本人としてのプライドや誇りを僕たちに呼び起こして欲しいと。もちろん、他ならぬホンダ自身にその覚悟