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2008年8月20日

個の力があってこそ…

 北京五輪もいよいよ終盤戦に突入。普段担当しているサッカー以外にも、様々な競技をテレビで見る機会が増えるこの時期、日本の球技のスケールの小ささを痛感しています。

 初の金メダルを目指しているソフトボール。ガッチリとした体格のバッターが中軸に座る米国、豪州などに対し、日本は判を押したように1番から左打者が並んでます。巧打者ぞろいの左打線なんでしょうが、準決勝では、米国が誇る長身サウスポー2人の前に凡打の山を築き、守っては米国の巨漢4番に豪快な本塁打をたたきこまれてました。

 その試合を見て、先日、我が家で起こった珍事を思い出しました。家族4人でバッティングセンターに行くと、高校時代にはソフトボール部に所属していた妻が左打席で悪戦苦闘。左腕に力が入ったスイングは波を打ち、なかなか打球が前に飛びませんでした。高校時代に変更した左打ちだが、あまりにバラバラなスイングに「そんなに左腕に力が入るなら、右打ちの方がいいよ」。そう声をかけると、素振りをしないままでも1球目から快音を連発。20年近く無理矢理? 左打ちしていた指導は「なんだったんだろう」と、思わずに考え込んでしまった。

 妻によると、入部した直後から強制的に左打ちを練習させられたとのこと。塁間が短いソフトボールは、一塁に近い左打席が有利だと言われる。確かにそうかもしれないが、人それぞれに腕力や脚力などは違うもの。そのバランスを考慮して左打ちになるのは分かるが、妻の件からしても、ソフトボールは左打ちが有利だからというイメージからくる指導が、あまりにも先行してしまっているようだ。

 北京五輪の代表を見ても、米国のサウスポーと力勝負できるような豪快な右打者は不在なようだ。あまりにもメンバー構成が「左打ちの巧打者」に偏りすぎているように感じた。選手の個性を伸ばして「すごい打者」にするのでなく、「いい打者」というイメージにあてはまる選手ばかりを育ててきた弊害のように思えてならなかった。

 3戦全敗で敗退したサッカー男子の選手の多くは「通じたところもあった」と、日本の組織力には手応えを見せていたが、それだけでは世界で勝てないこともはっきりした。大分DF森重は「個人のところで世界との差がはっきり分かった」と、1人1人の力量がベースになることを痛感していた。日本の組織力は魅力だが、あまりにも偏った指導で選手の個性を消してはいないか。そんなことを思い知らされた北京五輪だった。

(村田義治)


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村田義治(むらた・よしはる)
 92年(平成4)入社。レース部、整理部を経て報道部。00年夏からアマチュア野球、ラグビーなど一般スポーツ担当。J2福岡、鳥栖中心にサッカー取材にも当たる。36歳。
前田泰子(まえだ・やすこ)
 92年(平4)入社。野球、柔道、陸上などアマチュアスポーツ全般を担当。98年から福岡を担当した。03年から販売部など他部署を経て、06年から再び記者に復帰。現在は野球を中心にアマチュアスポーツ全般を取材している。2児の母。
佐藤千晶(さとう・ちあき)
 94年(平6)入社。報道部で約2年間、アマチュアスポーツ、レジャーを取材。96~05年は整理部で紙面レイアウトを担当。06年、報道部に復帰し、07年から福岡担当。1969年、北九州市生まれ。

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