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2009年8月28日

優勝チームの控え選手

 ある日、偶然つけたテレビで高校野球の試合風景が流れていた。暮れなずむ球場で、ナイター照明を浴びながら選手はプレーしていた。それは、控えの3年生の引退試合だった。夏のベンチに入れなかった控え選手が、その日だけ背番号をつけてグラウンドに立っていた。いつもはグラウンドにいるレギュラーはこの日はスタンドで応援。スタンドからの声援を受けて、選手たちは輝いていた。

 そして、一夜限りの夢はゲームセットと同時に終了。「これでお前たちの高校野球は終わりだ。あとはレギュラーのために力を尽くしてくれ」。コーチの言葉に全員が涙を流した。レギュラー選手が涙を流す控え選手に誓う。「必ず甲子園に連れて行ってやるからな」。翌日、控え選手はチームのために裏方に徹していた。下級生にトスを上げる選手、1年生のコーチをする者。みんな笑顔でチームを支えていた。

 甲子園決勝の取材を終えて新幹線で新大阪を後にしたとき、それが中京大中京だったことを思い出した。「あんな強豪校がこんなことをするんだなあ」と感心したものだった。それから2カ月後、中京大中京は甲子園を制した。「甲子園に連れて行ってやる」という約束は「甲子園で優勝」という最高の形で実現された。

 同校の大藤監督は言っていた。「今年の3年生は本当にチームワークがいい。下級生のユニホームを洗ってあげたり、2年生投手の練習にずっとつきあってあげたり、そんなヤツばかりなんですよ」。控え選手がチームをしっかり支えたからこその優勝なんだろう。まさに「全員で勝ち取った優勝」だ。あのとき涙を流していた控え選手はどんなに喜んだことだろう。

 菊池雄星投手を擁した花巻東もいいチームだった。敗れたとき、選手、監督、控え選手だけでなく取材する記者やインタビューするアナウンサーも泣いていた。それだけ、みんなに愛されていたチームだったのだろう。

 季節が秋に移り変わると、また甲子園を目指した戦いが始まる。中京大中京や花巻東のようなチームに出会えたらいいと思う。

(前田泰子)


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スポーツ担当日記
前田泰子(まえだ・やすこ)
 92年(平4)入社。野球、柔道、陸上などアマチュアスポーツ全般を担当。98年から福岡を担当した。03年から販売部など他部署を経て、06年から再び記者に復帰。現在は野球を中心にアマチュアスポーツ全般を取材している。2児の母。
菊川光一(きくかわ・こういち)
 93年(平5)入社。現在、Jリーグ(大分、福岡、鳥栖、熊本)担当。整理部、写真部、報道部、広告事業部を経て、今年3月、記者に復帰。1968年(昭43)4月、福岡市生まれ。

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