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2008年10月06日

谷のすごさはメダルだけでない

 9月のおわり、柔道48キロ級で銅メダルを取った谷亮子が福岡市内で福岡市スポーツ栄誉賞の授賞式のために故郷福岡に帰ってきた。福岡には谷が一躍世界舞台に躍り出た中学時代から取材してきた昔なじみの記者もたくさんいる。私も高校時代、バルセロナ五輪に出場したころから取材していた。「わあ~、皆さん、なつかしいですねえ」と谷も懐かしい顔ぶれに笑みを見せた。

 五輪5度に出場して、すべてメダルを獲得していることはもちろんすごいことだが、私が谷がすごいと思うのは、柔道で常に世界のトップを極めながら、1人の女性としての道も着々と歩んでいることだ。柔道界のアイドル「YAWARAちゃん」だった谷は、結婚してママになった。「柔道だけの人生じゃなくて、女の子として普通に成長してほしい」。母の和代さんは谷が高校生だったころに話していたが、その願いどおりしっかりと女性としての人生を歩んでいる。
 北京五輪ではちょうど谷の試合の時、長男が熱を出し和代さんら家族は長男を病院に連れて行ったため谷の試合を見ることができなかったという。「大事なときに限って子どもは熱を出す」。これは子育ての「常識」。子どもを持つお母さんは大いに共感したに違いない。子どもを持ちながら女性が仕事に打ち込むのは半端じゃなく大変だ。
 「育児をしながらスポーツにうちこむ環境がない。環境が整わないと大会に向け集中して練習できない」と谷は訴えた。母親を恋しがる子どもを人にあずけ、主婦として家のことをおろそかにしてまで頑張る意義があるのか。自分が頑張れば頑張るほど、周囲にも迷惑をかける。悩みは働く母親も同じだ。
 ロンドン五輪を目指すのかどうか、谷は明言しなかった。それはかなり困難な挑戦だろう。個人的にはロンドン五輪へ挑んでほしいと思う。若手の挑戦を受けるベテランアスリートとして、そして女性としての挑戦を、働く母親の1人として心から応援したい。(前田泰子)

(前田泰子)


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村田義治(むらた・よしはる)
 92年(平成4)入社。レース部、整理部を経て報道部。00年夏からアマチュア野球、ラグビーなど一般スポーツ担当。J2福岡、鳥栖中心にサッカー取材にも当たる。36歳。
前田泰子(まえだ・やすこ)
 92年(平4)入社。野球、柔道、陸上などアマチュアスポーツ全般を担当。98年から福岡を担当した。03年から販売部など他部署を経て、06年から再び記者に復帰。現在は野球を中心にアマチュアスポーツ全般を取材している。2児の母。
佐藤千晶(さとう・ちあき)
 94年(平6)入社。報道部で約2年間、アマチュアスポーツ、レジャーを取材。96~05年は整理部で紙面レイアウトを担当。06年、報道部に復帰し、07年から福岡担当。1969年、北九州市生まれ。

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