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2008年7月01日

雑草たちのリベンジの夏

 「自分が東京ドームに行くなんて、誰も思ってなかったっすよ。アイツがってびっくりされますよ」。2度目の都市対抗出場を決めた熊本ゴールデンラークスの井口貴文はそう言って笑った。第2代表決定戦の日産自動車九州戦に指名打者でスタメン出場した。

 人生なんてどう転ぶかわからない。佐賀の龍谷から明大に進んだ。高校時代には九州大会まで経験したが、大学でのリーグ戦出場は代打の1打席だけ。「特に3年になってからはまったくやる気もなくて、ほとんど練習もしてなかったですね」と話す。それが熊本ゴールデンラークスに入部して「もう1度野球をやるチャンスを与えられた」と気持ちをリセットして真剣に野球と向き合った。チームは創部2年目で都市対抗初出場。今年、2年連続の出場切符を得た。井口も2年連続で東京ドームに立つチャンスをつかんだ。

 井口に限らず、このチームには変わった経歴を持った選手も多い。大学を中退して入部した選手など、決して「エリート」とは呼べない選手が集まり野球の夢を追っている。だからか、チーム全体にスマートではないが、たくましく泥くさいムードが漂う。選手からは「野球をやる喜び」がプレーにあふれている。「野球をやらせてもらって恩返ししたい」という選手の言葉を何度か聞いた。

 選手はほとんどが、チームの母体であるスーパーの売り場に立つ。鮮魚売り場で魚をさばいたり、青果売り場で野菜を売ったりしている。接客の相手は百戦錬磨の主婦のおばちゃんたち。「野球よりもお客さんの方が怖いです」なんて言う選手もいる。大会に出場している時も、日程的に数日間空きがあれば職場に戻ることもあるそうだ。昨年はそんな話題と目新しさから話題になったが、今年はしっかり実力を備えたチームとして周囲から認識されてきた。

 2度目の今年はどんな戦いを見せてくれるだろう。「昨年は訳がわからないまま終わってしまった。今年はしっかり勝利を狙いたい」。エース香月良仁は言った。雑草たちが全国をアッと言わせるような快進撃を見せてほしいと、ひそかに期待している。

(前田泰子)


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村田義治(むらた・よしはる)
 92年(平成4)入社。レース部、整理部を経て報道部。00年夏からアマチュア野球、ラグビーなど一般スポーツ担当。J2福岡、鳥栖中心にサッカー取材にも当たる。36歳。
前田泰子(まえだ・やすこ)
 92年(平4)入社。野球、柔道、陸上などアマチュアスポーツ全般を担当。98年から福岡を担当した。03年から販売部など他部署を経て、06年から再び記者に復帰。現在は野球を中心にアマチュアスポーツ全般を取材している。2児の母。
佐藤千晶(さとう・ちあき)
 94年(平6)入社。報道部で約2年間、アマチュアスポーツ、レジャーを取材。96~05年は整理部で紙面レイアウトを担当。06年、報道部に復帰し、07年から福岡担当。1969年、北九州市生まれ。

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