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2008年5月06日

天国の大先輩へ捧げる九州の快進撃

 福岡工の初優勝で幕を閉じた九州地区高校野球。春と秋に開催される九州地区高校野球では、ほかの地区にはない会合が開かれる。大会前に出場校と開催地区の指導者が集まり、食事や酒を取りながら指導法や意見交換を行うのだ。

 若手の監督からベテランの監督までが一堂に会して隔てなく親交を深める。全国どの地区でも行われているのだろうと思い、この話をすると「ライバル校の監督と大会前に食事をするなんて、とんでもないよ」とほかの地区の指導者からびっくりされたものだ。

 この「監督会」は昨年亡くなった沖縄水産の栽弘義前監督(享年65)らが音頭を取り、沖縄で九州地区大会が行われたときに始まったものだと聞いている。他県の指導者と触れ合う機会が少ない沖縄の指導者にとって、九州地区の強豪校の監督と話をするのは貴重な機会だっただろう。「自分のチームだけでなく、九州全体で強くなろう」という発想が栽さんらしい。

 ゴールデンウイークには毎年恒例の「クロスロード in 鳥栖」が行われた。甲子園常連校から無名校まで九州を中心に西日本から高校が集まり、大交流戦が行われるのだ。今年は名古屋以西の120チームが集結したという。これもまた栽さんらの提案で、鳥栖の平野国隆監督が発起人となって始まったものだ。

 栽さんが亡くなって今月8日でちょうど1年になる。この1年、九州の高校野球はレベルの高さを全国に見せつけた。昨夏は佐賀北が公立校ながら私立強豪校を次々に破って全国の頂点に立ち、センバツでは沖縄尚学が9年ぶりに優勝。選手の身体能力の高さと、レベルの高いプレーや戦術を全国に見せつけての優勝だった。夏春連続で九州地区から優勝校が出るなんて、めったにあることではない。

 沖縄尚学の比嘉公也監督は栽さんの教え子である金城孝夫監督(現長崎日大監督)の教え子。いわば栽さんの「孫弟子」だ。「栽先生とは直接の接点はなかったです」と比嘉監督は言っていたが、金城監督を通してその教えは心の中に根付いているに違いない。

 「九州全体のレベルアップを」と願っていた栽さん。この1年の九州地区の「優勝ラッシュ」を栽さんは天国でどのように見つめているだろうか。

(前田泰子)

スポーツ担当日記
村田義治(むらた・よしはる)
 92年(平成4)入社。レース部、整理部を経て報道部。00年夏からアマチュア野球、ラグビーなど一般スポーツ担当。J2福岡、鳥栖中心にサッカー取材にも当たる。36歳。
前田泰子(まえだ・やすこ)
 92年(平4)入社。野球、柔道、陸上などアマチュアスポーツ全般を担当。98年から福岡を担当した。03年から販売部など他部署を経て、06年から再び記者に復帰。現在は野球を中心にアマチュアスポーツ全般を取材している。2児の母。
佐藤千晶(さとう・ちあき)
 94年(平6)入社。報道部で約2年間、アマチュアスポーツ、レジャーを取材。96~05年は整理部で紙面レイアウトを担当。06年、報道部に復帰し、07年から福岡担当。1969年、北九州市生まれ。

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