2009年10月31日
予報大外れ…また雨だ<房総400キロ・その1>
柴田カメラおやじに負けじと、でんめおやじも房総半島を走ってきた。今年最後のブルベが10月24日、埼玉と千葉で行われた。おやじが参加したのは千葉で、距離は400キロ。これを制限時間27時間(グロス時速15キロ)で走り抜く。だが、千葉とあって厳しい山岳地帯もなく、今回のコースでのヤマ場は標高300メートルのマザー牧場への6キロの上りと、標高250メートルの三石山への3キロほどの上り。ほぼ1本道で「行って来い」のコースなので上り返しがあり、これ以外にも小さな峠やアップダウンはあるのだが、これまでに比べれば楽な部類に入る。おまけに前日夕方の天気予報は「秋晴れ!」。最高のサイクリングが楽しめそうだった。だが、世の中、そんなに甘くないことを、おやじはやがて思い知らされることになるのだった。
コースは袖ケ浦海浜公園を正午にスタートして南下し、まずマザー牧場のお山を越える。その後はもみじロードを志駒渓谷に沿って走り、館山から白浜・野島崎へ。そこからは海岸通り~フラワーラインと平たん区間を走り、鴨川から北上を開始し、鴨川有料道路を上り、道の駅ふれあいぱーく・きみつの先から三石山を上り、養老渓谷からうぐいすラインのアップダウンをこなして市原市瀬又へ。ここで折り返し、一部異なる区間があるがほぼ同じコースを戻るというもの。

昨年も秋にこの千葉400を走った。そのときはスタートから雨。途中でやんだが、帰路の海岸通りからまた降り出し、ゴール手前は土砂降りとなった。時間も25時間27分と、初めてのコースだったこともあって苦労した末のゴールだった。
ところが、今年はうれしいことに前日夕方の予報では、お天気お姉さんが口をそろえて「明日は秋晴れですよ~」と言っている。今年最後のブルベを晴れで楽しめそうだ。
ただ、昼が暖かい分、夜や早朝との気温差が激しくなることが予想された。何を着ていこうか。悩みに悩み、昼は半袖ジャージにアームウオーマー、下はレーパンで走ることにし、夜はウインドブレーカーとレッグウオーマーでしのぐことにした。できるだけ荷物を減らそうと、試行錯誤した結果だった。
当日起きると、空はどんよりと曇っている。だが、そのうちきっと晴れるだろう−−おやじ、まったくもって呑気な性格だ。天気予報を確認することもせず、「ちょっと寒いかな」とレーパンをタイツタイプに替え、上は長袖ジャージーを着ることにして、神奈川の自宅からアクアラインを経由してスタート地点の袖ケ浦へ向かった。

スタート地点の袖ケ浦海浜公園からは、はるか彼方にアクアラインが臨める(千葉・袖ケ浦市)
ところが、スタート地点で知り合いと話しているときに、衝撃の事実を知った。あろうことか、朝、天気予報が変わり、「夜から雨」となっていたのだ。幸い、ウインドブレーカーはレインウエア兼用だったので、帰りに少し降られるくらいなら何とかなるだろうと、まだ楽観的だった。予報が外れるかもしれないし…。それに、自信たっぷりだったお天気お姉さんを信じて、雨装備は何も持ってきていなかったのだ。
最初の1滴が落ちてきたのは、受付が始まろうとしているときだった。おやじ、気が付かないふりをした。海岸べりだし、風で海から飛んできたに違いないと納得させた。
やがて、2滴目、3滴目…。雨だ。どう考えても雨だ。それにしても、早すぎないか? もう降るか? あ~、また雨のブルベだ。一気にモチベーションが下がってきた。

ブリーフィング中(千葉・袖ケ浦市)
ブリーフィングが始まっても雨はポツポツと落ちてくる。「早く降り出した分、早くやむかも?」「2キロ先はきっとやんでいる」-さまざまな憶測が飛ぶ。誰だって雨の中を走りたくない。

小雨の中をスタートするおやじ(中央)。雨のせいか、浮かぬ顔だ(千葉・袖ケ浦市)
参加人数は約60人。それが20人の集団に分かれ、午前11時50分から5分おきにスタートした。おやじは第2集団の後方。レインウエア兼用のウインドブレーカーを長袖ジャージーのバックポケットに押し込み、サドルバッグにレインカバーを付け、雨が一刻も早くやむことを祈りながら同55分に走り出した。

スタート直後の気持ちのいい直線道路。路面はまだ濡れていない(千葉・袖ケ浦市)
集団の少し前に出て、巡航速度時速30キロを少し超えるスピードで走る。路面はまだ濡れていない。だが、小雨とはいえ雨粒は大きい。路面がウエットになるのも時間の問題だ。レインウエアを着るかどうか悩むが、マザー牧場の上りで大汗をかくことは分かっているので、最初のコントロールポイント(PC)まではこの状態で行くことにした。
だが、雨は徐々に強さを増してきた。木更津へ入り国道16号に出るころには路面に水たまりができるほどになった。前のライダーの水しぶきがおやじの顔まで飛ぶようになり、やや離れ気味で走る。
君津へ入り内房線の鉄橋を越え、小糸川沿いの道を行く。雨は降り続いている。シューズは10キロを走ったところでもうびしょ濡れになり、靴下もしっかりと水を含んで気持ち悪いこと、この上ない。ジャージーも少し濡れてきた。たまらなくなってスタートから約24キロ付近の鹿野山へ向かう分岐でストップし、レインウエアを羽織った。空を見る限り、もう雨はやみそうもなかった。最悪の展開だ。昨年のVTRを見ているような感じだった。
はぁ~……。ため息をつきながらこぎ出す。こんな調子で完走できるのだろうか? 気持ちはかなり落ち込んでいた。

マザー牧場への上りに入る。路面は完ぺきなウエット状態(千葉・君津市)
わだちの部分は水たまり状態。それを避けながら走る。これはもうサイクリングではない。修行だ。

紅葉はまだまだ先の様子だった(千葉・君津市)
マザー牧場への上りが緩やかに続く。土曜というのに車の数は少ない。雨で外出を控えたのだろう。これだけはありがたかった。

工事中で片側通行(千葉・君津市)
上っていると、工事中で片側通行の区間があった。信号の間隔は3分ほどあっただろうか。対向車はほとんど来ないのだが、それでも待つしかない。
やっと青になったので上りを再開するが、間の悪いことに大型バスが後方からやってきた。工事区間は長く、自転車がノロノロ上っていく後ろをバスもノロノロついてくる。何だか居心地悪い。
おやじは先行するライダーからやや遅れ気味となり、2つ目の工事区間の信号でもまた引っかかってしまった。ここも3分。まいった。待っている間に後続のライダーが続々集まってきてちょっとした集団になったので、バスを先行させてスタートする。バスが抜き去った後、後続のライダーがすごいスピードで上っていった。女性もいたかな? おやじは、雨でモチベーションも上がらないし、のんびりマイペースのままだ。

マザー牧場・まきばゲートへショートカットで上る道への分岐(千葉・君津市)
県道163号からマザー牧場への最短距離となる市道に入る。日曜は上りの一方通行となるらしいが、最短距離ということは、上りがきついということだ。数回のワインディングの後、道はまきばゲートへ続く直線の上りとなる。
まきばゲートを右折した後は少し平たんが続くが、この時点ですでにピークの山の上ゲートへと続く直線の上りが目に飛び込んでくる。こう配は6・6%だ。

ピークの山の上ゲートに続く壁のような傾斜が目の前に現れる(千葉・君津市)

マザー牧場・山の上ゲート(千葉・君津市)
6・6%をヨロヨロと上った先が山の上ゲート。東京湾が見渡せるビューポイントだが、雨じゃねぇ。何も見えない。ピークでストップすることもなくそのままダウンヒルへと向かう。
路面がウエットであるため、最初のコントロールポイント(PC)までの約6キロのダウンヒルもスピードが出せず、慎重に下っていく。しばらくすると、おやじの横をシャーを駆け抜けていくライダーがいる。こんな状態で普段と変わらないダウンヒルのスピードが出せるなんて、何て命知らずなんだろう。いや、おやじが小心者なだけなのだろうか? と、自問自答していると、女性にも抜かれた。…ちょっと自己嫌悪に陥るが、下りで転倒の経験があるだけに、勝負する気はおきないおやじであった。
◆午後1時50分ごろ、PC1(富津市更和=39・6キロ地点)到着
PC1に指定されているコンビニエンスストアは大混雑で、自転車をとめるところもないほどだった。小雨が降り続いているため、軒下でみんな補給している。これが雨のブルベのつらいところだ。当然、トイレも大渋滞。仕方ないので、おやじはトマトジュースを一気飲みして、到着から5分ほどで走り出したが、この時点で完走している自分が想像できなくなっていた。果たして、ここにもう一度戻ってこれるのだろうか? 心はかなり後ろ向きになっていた。(この項続く)
【電子メディア局 石井政己】
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- 石井政己(いしい・まさみ)
- 1958年10月30日、岡山県生まれ。慶大卒。82年日刊スポーツ入社。広告局、編集局整理部などを経て08年11月より電子メディア局勤務。04年45歳のとき、減量のためMTB「UGO 片山右京モデル」を購入。休日サイクリングを始める。翌05年に小径車「BD−1」、さらに06年にはロードバイク「FELT F5C」購入と自転車熱はエスカレートした。レース初参加となった「日産スタジアムサイクルパークフェスティバル」(06年12月)で3位入賞(といっても9チーム中)。07年からヒルクライム、ブルベなどに参加。体重は自転車をやる前からは約15キロ減。
- 柴田隆二(しばた・りゅうじ)
- 福島県出身の56歳。明大卒。編集局写真部。自転車はスペシャライズド(約13万円)で、自転車歴は6年ぐらい。写真部デスク時代、社内でエアロバイクで運動不足の解消をしている最中に、外に出て自転車をやろうと決意した。いい加減な練習のため(月10日から15日の練習。1日、時速25キロから27キロで休憩をはさみ40キロ)、現在も趣味として続行中。シマノの鈴鹿大会に2年連続参加(20キロ)、「ツール・ド・ちば」には3年連続出場し昨年、初めて3日間389キロを完走し「オヤジでもまだまだやれることを実感」した。3日目には自分の前を走る元F1ドライバー片山右京さんの背中を見つめて約20キロを走る。「千葉ツインレイクエコサイクリング2008」の130キロ佐原コースの手賀沼、印旛沼、利根川サイクリングロードは最高のコースだと走るたびに感動している。
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