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データマン野口の陸上記録のアレコレのイメージ画像

野口純正(のぐち・よしまさ) 兵庫県淡路島生まれ。小学校5年生の時から陸上競技やその記録に興味を持ち始め、以来、陸上競技ひと筋の人生を送る。陸上競技マガジン元編集長。国際陸上競技統計者協会(ATFS)会員。日本オリンピック委員会・専任情報・科学スタッフ(陸上競技担当)。日本陸連では競技運営委員会競技部委員(記録担当)と長距離・ロード特別対策委員会委員を務めるほか、大阪世界選手権・国際グランプリ大阪大会・日本選手権・スーパー陸上では競技場内ミニFM放送の解説を担当。世界的にも高く評価されている記録に関する知識や分析能力だけでなく、陸上競技全般に豊富な見識をもつ。現在、東京学芸大学中長距離ブロックコーチ。当人いわく「10年ほど前までヘッポコ長距離選手」でもあった。

51歳の女性が100メートル11秒77!!

11年8月10日 [11:09]

 1960年5月10日生まれ、51歳のマリーン・オッティー(スロベニア)が7月31日に100メートルを11秒77(追い風0・3メートル)で走りました。オッティーといっても若い読者の方はご存じないかもしれませんが、80年代から世界のトップクラスで活躍してきたスプリンターです。

 100メートル11秒77というと、8月8日現在の2011年日本リストの10位相当。スロベニアでは今季5位の記録です。51歳の「おばさん」がこんなタイムで走るとは何とも驚きです。なお、7月31日の同じ試合の第2レースでは、追い風3・4メートルの参考記録ながら11秒69もマークしています。

 51歳の男子100メートルの日本歴代の最高記録は11秒68(小堀拓也さん=栃木県、2010年)ですから、「いい勝負」です。ということは、オッティーに勝てる同年齢の日本人男性は「いないかもしれない」のです。

 オッティーは、もともとはジャマイカの国籍でしたが、2002年にスロベニアに国籍変更しました。陸上競技と取り組み始めたのは15歳の75年からで、その競技歴は今年で37年目になります。身長183センチ、体重64キロの大柄で100メートルの自己ベストは10秒74(世界歴代6位)、200メートルは21秒64(同3位)です。

 表は、オッティーの年次別ベスト記録とオリンピックと世界選手権での成績をまとめたものです。

 年次ベストを見ると25歳の時から何と40歳まで「100メートル10秒台」で走っています。40歳の男子日本最高記録は11秒06(貝原幸三さん=長崎県、86年)ですから、オッティーにはかないません。

 オリンピックもしくは世界選手権で獲得したメダルは、金3個、銀6個、銅13個の計22個。何といっても銅メダルの数が多いのが特徴で、「ブロンズ・コレクター」ともささやかれたほどです。念願の金メダルを初めて手にしたのは、91年東京世界選手権のリレーでした。個人種目での初金メダルは93年シュツットガルト世界選手権の200メートルで33歳の時でした。世界選手権では金3、銀4、銅7の計14個。この14個は、世界選手権で獲得したメダルの数としては男子を含めても史上最多です。オリンピックでは銀2、銅6で、五輪の金メダルは残念ながら手にすることはできませんでした。

 インカレやインターハイと同様に「1位8点」「2位7点」~「8位1点」という採点法で世界選手権の個人別得点を計算してみると、オッティーの得点は74点となり女子の歴代トップ。2位のゲイル・ディバース(米国)の52点を大きく引き離しています。ちなみに男子のトップは、カール・ルイス(米国)の58点ですので男女を含めてオッティーがナンバーワンです。

 今回のテグ世界選手権にオッティーが個人種目で出場するのはさすがに厳しそうですが、スロベニアの400メートルリレーチームが参加標準記録の有効期限である8月15日までに44秒00以内で走れれば、リレーでの出場のチャンスがあります。参加標準記録有効期間内(10年10月1日から)のスロベニアの最高記録はつい先日の5日にオッティーがアンカーを走ったレースでの44秒40です。テグで51歳のオッティーが走る姿を是非とも見たいものです。もしもそれが実現すればオッティーにとっては9回目の世界選手権で、史上最年長出場者の新記録(これまでは、09年の女子円盤投げに出場したベラルーシのエレナ・ズベレワの「48歳276日」)となります。

表.マリーン・オッティーの年次別最高記録と五輪・世界選手権での成績
・記録の後ろの「*」印は自己新記録、「=」は自己タイ記録を示す
西暦年(年齢)    年次別最高記録        五輪・世界選手権での成績

        100m  200m  100m 200m 400mリレー
75年(15歳)  -   25・9                   
76年(16歳) 12・0 24.7 *                   
77年(17歳) 12・2 25・1                   
78年(18歳) 12・6 24・5 *                  
79年(19歳) 11・59* 23・10*                  
80年(20歳) 11・36* 22・20         3位   6位  
81年(21歳) 11・07* 22・35*                 
82年(22歳) 11・03* 22・17*                 
83年(23歳) 11・07  22・19   4位    2位   3位  
84年(24歳) 11・01* 22・09*  3位    3位   8位  
85年(25歳) 10・92* 21・93*                 
86年(26歳) 11・06  22・43                  
87年(27歳) 10・87* 22・06   3位    3位       
88年(28歳) 11・00  21・99  準決勝欠場  4位   準決勝落選
89年(29歳) 10・95  22・21                  
90年(30歳) 10・78* 21・66*                 
91年(31歳) 10・79  21・64*  3位    3位   1位  
92年(32歳) 10・80  21・94   5位    3位   決勝途中棄権
93年(33歳) 10・82  21・77   2位    1位   3位  
94年(34歳) 10・78= 22・07                  
95年(35歳) 10・85  21・93   2位    1位   2位  
96年(36歳) 10・74* 22・07  2位    2位   3位
97年(37歳) 10・83  22・06  7位    3位
98年(38歳) 11・01  22・53                  
99年(39歳) 11・01  22・49                  
00年(40歳) 10・99    -     3位             
01年(41歳) 11・31    -                    
02年(42歳) 11・28  23・93                  
03年(43歳) 11・25  22・89  準決勝落選 二次予選落選     
04年(44歳) 11・09  22・72  準決勝落選 準決勝途中棄権    
05年(45歳)   -     -                      
06年(46歳) 11・34  23・82                   
07年(47歳) 11・56    -    一次予選落選            
08年(48歳) 11・60    -                     
09年(49歳)   -      -                     
10年(50歳) 11・67  24・33                   
11年(51歳) 11・77  24・64                   

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