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データマン野口の陸上記録のアレコレのイメージ画像

野口純正(のぐち・よしまさ) 兵庫県淡路島生まれ。小学校5年生の時から陸上競技やその記録に興味を持ち始め、以来、陸上競技ひと筋の人生を送る。陸上競技マガジン元編集長。国際陸上競技統計者協会(ATFS)会員。日本オリンピック委員会・専任情報・科学スタッフ(陸上競技担当)。日本陸連では競技運営委員会競技部委員(記録担当)と長距離・ロード特別対策委員会委員を務めるほか、大阪世界選手権・国際グランプリ大阪大会・日本選手権・スーパー陸上では競技場内ミニFM放送の解説を担当。世界的にも高く評価されている記録に関する知識や分析能力だけでなく、陸上競技全般に豊富な見識をもつ。現在、東京学芸大学中長距離ブロックコーチ。当人いわく「10年ほど前までヘッポコ長距離選手」でもあった。

電車1両分を3歩で跳ぶ

11年7月26日 [19:11]

 テグ世界選手権のテレビCMに「電車1両分を3歩で跳ぶ」というのが流れていました。世界トップクラスの三段跳び選手のすごさを紹介したものです。このCMを見て私は、「電車の長さは三段跳びの世界記録(18メートル29センチ)くらいなんだ」と思いました。が、小学生の頃から細かな数字(や記録)にこだわってきましたので、電車の長さの詳細な数字を知りたくてネットで調べてみました。CMに登場しているJR山手線は「E231系」という車両のようで、その長さは「20メートルちょうど」でした。

 「三段跳びの世界記録よりも2メートル近くも長いじゃないか!」と思いましたが、「まあ、テレビを観ている陸上競技にあまり関心のない世間一般の人にとっては18メートルも20メートルも、『あまり変わらない』という認識なんだろうなあ」と、目くじらを立てることはありませんでした。

 そういえば、十年くらい前だったかの千葉か横浜での国際女子駅伝のテレビ中継で、10キロ区間の中間点の様子を実況していた陸上競技のことをあまり知らなさそうな女性リポーターが、「トップの○○は、5キロを大体16分か17分くらいで通過していきました」とリポートし、「2位の△△も大体16分か17分くらいで通過していきました」と伝えていました。それを聞いて私は、「『大体16分か17分くらい』じゃなくて、具体的な秒数まで伝えてくれ!!」と、テレビ画面の中のレポーターに向かってひとりで怒っていました(笑)。先の三段跳びのCMと同様に陸上競技の記録にそれほど興味のない多くの人にとっての感覚はそんなところなのでしょうね。

 駅伝での「大体16分か17分くらい」の実況はさておき、「電車1両分を3歩で跳ぶ」という三段跳びのCMは、駅のホームに入ってくる電車を見て、「へぇ~、この長さを3歩で跳ぶのか、スゴイなあ......」と、まったく陸上競技に関心のなかった人が少しでも興味を持ってくれたら、それは陸上関係者にとっては嬉しいことですので、このCMは「成功」といえるでしょう。

 なお、実際に三段跳びで、電車1両分の「20メートル00」という記録が生まれたら、ボルトの100メートル9秒58をはるかに超える"驚異的世界新記録"ということで、私は腰を抜かしてしまうでしょうが...。

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