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データマン野口の陸上記録のアレコレのイメージ画像

野口純正(のぐち・よしまさ) 兵庫県淡路島生まれ。小学校5年生の時から陸上競技やその記録に興味を持ち始め、以来、陸上競技ひと筋の人生を送る。陸上競技マガジン元編集長。国際陸上競技統計者協会(ATFS)会員。日本オリンピック委員会・専任情報・科学スタッフ(陸上競技担当)。日本陸連では競技運営委員会競技部委員(記録担当)と長距離・ロード特別対策委員会委員を務めるほか、大阪世界選手権・国際グランプリ大阪大会・日本選手権・スーパー陸上では競技場内ミニFM放送の解説を担当。世界的にも高く評価されている記録に関する知識や分析能力だけでなく、陸上競技全般に豊富な見識をもつ。現在、東京学芸大学中長距離ブロックコーチ。当人いわく「10年ほど前までヘッポコ長距離選手」でもあった。

日本の女子400mリレーは世界選手権でどこまで戦えるか?

11年5月10日 [19:22]

 8日に行われた「ゴールデングランプリ川崎」で日本の女子400mリレーチーム(北風沙織、高橋萌木子、福島千里、市川華菜)は、43秒39の日本新記録(従来は43秒58)をマーク。世界選手権参加標準記録の44秒00を見事に突破しました。8月に韓国のテグで行われる世界選手権で、決勝進出は可能なのでしょうか?

 そこで、過去の世界選手権とオリンピックのデータを調べてみました。下の表がそれです。このデータは、第1回世界選手権が行われた1983年以降の世界大会(世界選手権とオリンピック)での女子400mリレーの決勝進出のための条件をまとめたものです。「決勝進出最低記録」は、文字通り決勝に出場できたチームの中で最も低かった記録。「落選最高記録」は、決勝に進出できなかったチームで最もいい記録だったものです。このところの女子400mリレーでは、準決勝が行われることはまれで、「予選2組で各組3着までと4着以下の記録のいい上位2チームが決勝進出」あるいは「予選3組で各組2着までと3着以下の記録のいい上位2チームが決勝進出」ということが多いようです。「決勝進出最低記録」と「落選最高記録」のあたりが"ボーダーライン"ということになります。88年ソウル五輪と91年東京世界選手権では、「決勝進出最低記録」を「落選最高記録」が上回っていますが、これは予選の組分けの「運」「不運」によるものです。

 表のデータと日本記録43秒39を比較してみましょう。わかりやすいように、日本記録との比較を「○」と「×」で示しました。1983年から96年のアトランタオリンピックまでの9大会では、43秒39で走ればすべて「決勝進出」ができたことになります。97年以降の10大会では、3大会が「決勝進出最低記録」をクリアし、「落選最高記録」に及ばなかったのが2大会。つまり、予選の組分けの「運」に恵まれれば、3割くらいの確率で決勝進出が可能なわけです。

 表の一番下に示した過去19大会での「決勝進出最低記録」の最高値は「43秒00」で、「落選最高記録」の最高値は「43秒12」です。今夏の世界選手権での日本チームのターゲットは43秒0台か43秒1台あたりになりそうです。このくらいのタイムをマークできれば、かなり高い確率で決勝進出ができそうです。「42秒台」ならば、これまでのデータからすれば、ほぼ「100%確実」ということになます。

 過去の世界選手権で日本の女子400mリレーチームが決勝に進んだことはなく、オリンピックでは32年ロサンゼルス大会で5位になったのが唯一です。"世界大会79年ぶりの快挙!"を是非とも実現してもらいたいところです。

表.1983年以降の世界選手権と五輪の女子400mリレーの決勝進出の条件
※「○」「×」は日本記録(43秒39)との比較。「○」は日本記録の方が上回るもの。「△」は同記録。

大会名 決勝進出最低記録 落選最高記録
83年世界選手権 44・19=○ 44・20=○
84年オリンピック 44・78=○ 45・20=○
87年世界選手権 43・59=○ 43・95=○
88年オリンピック 43・66=○ 43・48=○
91年世界選手権 43・71=○ 43・43=○
92年オリンピック 43・51=○ 43・60=○
93年世界選手権 43・65=○ 44・36=○
95年世界選手権 43・71=○ 43・90=○
96年オリンピック 43・88=○ 44・16=○
97年世界選手権 43・00=× 43・15=×
99年世界選手権 43・73=○ 43・80=○
00年オリンピック 43・04=× 44・08=○
01年世界選手権 43・58=○ 43・89=○
03年世界選手権 43・36=× 43・64=○
04年オリンピック 43・08=× 43・12=×
05年世界選手権 43・37=× 43・40=○
07年世界選手権 43・25=× 43・39=△
08年オリンピック 43・59=○ 43・69=○
09年世界選手権 43・34=× 43・63=○
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世界選手権最高  43・00       43・15
オリンピック最高  43・04       43・12
世界選&五輪最高  43・00       43・12

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