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2009年6月30日

折り返し点を過ぎたWPSの順位争い

 今回は、シーズンも折り返し点を過ぎたWPSの順位争いについて触れたい。

 現在首位を独走するのは宮間あや(元岡山湯郷)の所属するロサンゼルス・ソルだ。スケジュールの関係で他チームより2~3試合消化数が多いこともあるが、現在2位に勝ち点16の差をつけている。世界NO・1選手のマルタやアメリカ代表の不動のボランチ、ボックス、そして宮間ら個のレベルが高い上に、リーグでも数少ない「戦術」の存在するチームでもある。レギュラーシーズン4位以内というプレーオフ出場権に当確マークがついているのは、現時点ではこのロサンゼルスだけだと言える。

 2位~4位グループは、毎節ごとに順位が入れ替わる激戦が繰り広げられている。現在は2位ボストン・ブレーカーズ(勝ち点18)、3位セントルイス・アスレティカ(同17)、4位ワシントン・フリーダム(同16)の3チームが勝ち点2差の中にひしめいている状態だ。

 この中で比較的安定したパフォーマンスを見せているのが、ボストン。攻守のバランスが取れていて、どこと対戦しても大崩れすることがない。ただし攻撃はイングランドのエース、スミスにかかる比重が大きすぎるのが気懸かりだ。スピードに乗った突破からのシュートだけでなく、味方も使える彼女が負傷欠場したりすると、得点チャンスが激減してしまう。またWPSのプレーオフ期間がちょうど女子欧州選手権と重なっていて、イングランドチームに合流するスミスが途中離脱する可能性もあるという。

 これといった特徴のない小粒なチームなのが、セントルイスだ。アメリカ代表正GKソロの驚くべき守備範囲で何とか粘り、接戦をものにするのが勝ちパターン。だがこのスタイルでは何とか4位以内に滑り込めたとしても、プレーオフを勝ち上がっていくのは困難ではないか。

 ワシントンは、本来ならロサンゼルスと熾烈な首位争いをしていなければならないチームだ。アメリカ代表の点取り屋ワンバック、オーストラリア代表の快速FWデバンナ、フランス代表の優れたチャンスメーカー・ボンパストール、そして日本のエース沢穂希(元日テレ)など、豪華な顔ぶれを誇る。だが以前触れたように、まだチームとしての体をなしていない。攻撃陣が何の法則性もなく前がかりになるので、敵にしばしば空いたスペースを使われる。またボストンのスミスと違って、ワシントンの攻撃の中心であるワンバックは、周囲の味方と協力して相手を崩すことをめったにしない。だから守備力のあるチームとの対戦では為す術がなく、前線で孤立するばかりになる。

 とはいえ全体の地力があるのは間違いなく、プレーオフの一発勝負では思いもよらぬ結果を出すかもしれない。

 5位~7位グループも、実は上位とさして差がない。5位スカイブルーFCと6位FCゴールドプライドが勝ち点12、最下位シカゴ・レッドスターズが同11だから、ちょっとした連勝、連敗で2位~4位グループと順位が入れ替わる。

 ただこの3チームが下位に沈んでいるのにはそれなりの理由がある。安定感がないのだ。突出した個人能力を持った選手がおらず、かといってそれを補う高度な戦術を駆使するわけでもない。いざ試合を始めてみなければ、どのようなサッカーになるかわからない。だから連勝が難しい。

o-sc-090630-0301.jpgリーグ開幕戦の試合前、並んでカメラに収まるロサンゼルスとワシントンの選手たち

 いずれもどんぐりの背比べながら、プレーオフ圏内に食い込めそうな可能性のあるチームとしては、期待を込めて荒川恵理子(元日テレ)のいるゴールドプライドを挙げておこう。決定力のあるカナダ代表FWシンクレアがこのところ好調を維持しているし、アメリカ代表の第2GKバーンハートの好セーブはチームのピンチを度々救っている。99年女子W杯での世界一経験があるベテランのチャスティン、ミルブレットの存在も見逃せない。あとは眠れる大器、荒川の爆発を待つだけだ。

 8月6日のレギュラーシーズン終了まで、各チームは全20試合を戦ってプレーオフ進出を目指す。


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WPS
 Women‘s Professional Soccer、03年に休止したWUSA(Women‘s United Soccer Association)の後を受ける形で、運営組織を新たにして09年から再開された米女子プロサッカーリーグ。初年度の参加チームはボストン、シカゴ、ベイエリア、ロサンゼルス、ニューヨーク/ニュージャージー、セントルイス、ワシントンの7つ。10年にはフィラデルフィアとアトランタの2チームが加わることになっている。08年秋に行われた海外選手対象のドラフトでは日本から沢穂希、宮間あや、大野忍、荒川恵理子の4人が指名され、沢はワシントン、宮間はロサンゼルス、荒川はベイエリアへ入団したが、大野は日テレに残留した。WPSにはほかに、北京五輪優勝の米国代表全選手や世界NO・1女子選手とされるブラジルのマルタらが在籍している。
河崎三行「なでしこ in USA」
河崎三行(かわさき・さんぎょう)
 1965年(昭40)8月13日、高松市生まれ。港湾労働者、建設作業員、スポーツ新聞社勤務等を経てフリーランスライターに。時に自動車産業、ミシュランガイド東京版、チェ・ゲバラ、環境問題などについての記事を執筆することもあるが、主な取材対象はサッカーをはじめとするスポーツ。近年は日本の女子サッカーとオーストラリアのサッカーを継続的に追いかけている。著書に『チュックダン!』(双葉社)。

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