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2009年4月02日

11カ国から選手が集まるFCインディアナ

 西海岸のロサンゼルスから中西部のラファイエットに移動してきた。ここは阪口夢穂が所属するFCインディアナのホームタウンである。しかし当の阪口は、米国連邦政府からの就労ビザ発給に時間がかかっていてまだ渡米できていない。取材計画を立てた段階では新天地でのプレーを始めた彼女を追う予定だったのだが、本人の到着より先に事前調査をする形に。

kawasaki001.jpgインドアピッチでの練習風景。人工芝はゴムチップが埋め込まれた質の高いもの

 FCインディアナは米国の女子サッカーリーグ、Wリーグに属している。参加チームにはプロチームもあれば、プロアマ混合チームもある。しかし沢や宮間のいるWPSの下部リーグではなく、独立した全国リーグだ。Wリーグで優勝してもWPSに昇格することはなく、WPSで最下位になってもWリーグに落ちることはない。ややこしいことにアメリカにはもう1つWPSLという全国規模のセミプロ女子リーグがあって、こちらも独自の公式戦を行っている。以前Wリーグに所属していた数チームが袂(たもと)を分って立ち上げた経歴を持つので、当然Wリーグとの関係はよろしくない。というわけでアメリカには今回誕生したWPSを含め、3つの全米女子サッカーリーグが存在している。

 話を戻そう。FCインディアナはWリーグやUSオープントーナメントを制覇してきた強豪チームである。昨期のチームからはWPSチームに6人を送り込んだ。選手は全員プロ契約で、毎日2部練習を行っている。施設も充実していて自前の練習グラウンドや各種マシンの入ったフィットネスルームはもちろん、人工芝のインドアサッカーピッチもある。中西部は寒さの厳しいところで、冬になると雪で屋外ピッチが使えなくなるのだ。僕が訪れた日はまだ外気温が低いこともあり、練習はインドアピッチで行っていた。

 これらの施設はすべて自前。プロリーグであるWPSでもトレーニング施設を所有しているクラブはほとんどなく、宮間のロサンゼルスでさえ形式上は複合スポーツセンターのピッチを借りて練習している。FCインディアナはアメリカ女子サッカー界で例外的な存在なのだ。
 そのユニークさはチーム作りにも現れている。ポーランド出身のボルコウスキ監督は従来のアメリカ女子サッカーの主流だった体格、体力に任せたスタイルに否定的で、組織的なパスサッカーを標榜している。

 「北京五輪での日本の戦いぶりには非常に共感した。だからこそ中盤で質の高い働きを見せていた阪口の獲得を決断したんだ」

kawasaki002.jpg

※写真はFCインディアナでプレーするメキシコ代表のオカンポ(左)とレイバ。なでしことの対戦経験もある

監督は彼女のことを<日本のレドンド>だとまで言う。
 阪口以外にも外国籍選手選手は多い。11カ国から選手が集まっていて、その中にはスペイン、メキシコ、ニュージーランド、カメルーン、南アフリカなどの代表選手も含まれる。WPSの外国人選手(国内選手扱いになるカナダ人を除く)の出身国がリーグ全体でも9つであることを考えれば驚異的だ。ボルコウスキ監督は「結局のところ、WPSはアメリカ代表を強化するための場でしかないんだ。だが我々は違う。様々な国の選手の素晴らしさを融合させた魅力的なサッカースタイルを作りあげ、同時に各選手は自国の女子サッカーにFCインディナで得たものを還元するという双方向性がある」と胸を張る。WPSの存在意義の真偽はともかくとして、このクラブの取り組みが注目すべきものであることは間違いない。

 阪口がこのチームに1日でも早く合流できるよう、米国連邦政府には迅速な業務遂行をお願いしたい。


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WPS
 Women‘s Professional Soccer、03年に休止したWUSA(Women‘s United Soccer Association)の後を受ける形で、運営組織を新たにして09年から再開された米女子プロサッカーリーグ。初年度の参加チームはボストン、シカゴ、ベイエリア、ロサンゼルス、ニューヨーク/ニュージャージー、セントルイス、ワシントンの7つ。10年にはフィラデルフィアとアトランタの2チームが加わることになっている。08年秋に行われた海外選手対象のドラフトでは日本から沢穂希、宮間あや、大野忍、荒川恵理子の4人が指名され、沢はワシントン、宮間はロサンゼルス、荒川はベイエリアへ入団したが、大野は日テレに残留した。WPSにはほかに、北京五輪優勝の米国代表全選手や世界NO・1女子選手とされるブラジルのマルタらが在籍している。
河崎三行「なでしこ in USA」
河崎三行(かわさき・さんぎょう)
 1965年(昭40)8月13日、高松市生まれ。港湾労働者、建設作業員、スポーツ新聞社勤務等を経てフリーランスライターに。時に自動車産業、ミシュランガイド東京版、チェ・ゲバラ、環境問題などについての記事を執筆することもあるが、主な取材対象はサッカーをはじめとするスポーツ。近年は日本の女子サッカーとオーストラリアのサッカーを継続的に追いかけている。著書に『チュックダン!』(双葉社)。

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