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2010年4月07日

本田は日本の起爆剤

 CSKAモスクワ本田の活躍がめざましい。世界トップクラスのFKで、世界最高峰の欧州CLにおいて名をとどろかせている。勝ち気な本田のプレーは、日本人からすれば違和感を覚えるかもしれないが、今の活躍は誰しもが認めるところだ。

 その本田の活躍によって、日本代表は大きな岐路に立った。どちらに踏み出すかによって、厳然たる違いに直面する。一方はチームの急成長に直結し、残りの片方はチーム崩壊へと行き着く。

 目を向けるべきは、代表選手の気持ちだ。あのFKで、本田は周囲から一目置かれる存在になった。誰もその実績を否定できない。中村俊も含め例外なく全員が本田に一目置く。いや、そうでなくてはいけない。スポーツの世界では、力に対する評価は絶対だ。そこには年下も年上もない。実力でつかんだもの、結果を残し実績を挙げたものへの敬意は普遍だ。

 我々には過去の大会を教訓に、未来に役立てる使命がある。06年、ドイツ大会での中田英寿は確かに一目置かれていた。しかし、一方で、プレミアリーグ・ボルトンでレギュラーを獲得できないでいた彼に、リーダーとして不満を持っていた選手もいた。要は「所属クラブのレギュラーで活躍しているか、そうでないか」にある。これは選手でなくては分からない繊細で感覚的な思いだ。国のトップ選手が集まる代表チームでも、この原理が大きく作用する。

 中村俊がどう本田とかかわり、本田がどう中村俊に接するか。ここに、岡田ジャパンが国民の夢を乗せて戦うに足るチームか、いとも簡単に散っていくチームかの分岐点がある。

 私は3月3日のバーレーン戦で、まだ発展途上にある2人の信頼関係を見た。ゴール前でフリーでいる本田に、中村俊はパスを通さなかった。異なるパスコースを見いだしていた。

 中村俊もまた、誰もが一目置く選手だ。それは今も変わらない。しかし、スペイン・エスパニョールでレギュラーを取れず、30歳をすぎてJリーグに復帰した。現時点では、欧州CLで度肝を抜いた本田のインパクトは大きい。

 今後、パスを通すべきところで中村俊が本田に出せば、本田は「オレを見てくれている」と思う。いったん、信頼関係が生まれれば、今度は中村俊が本田を探すようになる。FKを取れば、その角度や距離で自然と本田が蹴るのか、俊輔が狙うのか、以心伝心で分かるようになる。

 そうなれば、このチームは我々の想像以上の速度で強くなっていく。なるか、ならないか。それは本田の振るまい、中村俊ら主力陣の受け入れ方によって決まってしまう。

 我々は本田圭佑という起爆剤を手に入れた。W杯本戦を直前に控えて、起爆剤があるということに値打ちがある。この起爆剤を、推進力を生むために使うのか、積み上げてきたものを破壊することに使うのか。ドイツの惨敗から学んだ我々は、この貴重なピースを見事に開花させるため、どんなリスクにも敢然と立ち向かわなければならない。


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川淵三郎「キャプテントーク」
川淵三郎(かわぶち・さぶろう)
 1936年(昭11)12月3日、大阪・高石市生まれ。早大時代の58年に日本代表に初選出。卒業後に古河電工に入社し、64年の東京五輪に出場、72年に現役引退した(国際Aマッチ26試合8得点)。古河電工、日本代表監督を歴任し、91年にはJリーグ初代チェアマンに就任。02年には日本協会会長となり3期6年務めた。7月から同協会名誉会長。現在、日本サッカーミュージアム館長も兼務している。

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