2009年3月04日
日本人らしい「クラブ愛」とは
私たちスポーツを愛するものにとって、胸躍る季節が来る。Jリーグが17年目のシーズンを迎え、野球ではサムライジャパンがWBCの第1ラウンドに臨む。どちらも、日本中が熱狂する大きなスポーツイベントだ。
中でも、J1初昇格のモンテディオ山形のサポーターにとっては、夢の晴れ舞台がすぐそこに迫った。山形の皆さんがどれだけこの時を待っていたか。想像するとこちらの胸も熱くなる。
先日、モンテディオ山形の海保宣生理事長と話したが、地域の関心度の高さはものすごい。モンテディオのワッペンを購入しマイカーに張る。売り上げをクラブに還元する活動を自治体が引っ張り、複数の自治体から地元企業へと波及したと聞いた。おらが町のクラブを支えるんだとの機運がある。どうか、その気持ちをシーズン終盤まで保ち続けてほしい。
そういったあとに、冷や水を浴びせるようだが、現状の戦力では山形がJ1に居続けることは難しいだろう。1年で躍進できるほどJ1は甘くない。それでもあきらめずに見守れるかにかかっている。
J1初昇格のクラブを有する地域が、クラブ支援を通じ活気づく風景は、スポーツのすばらしさを具現している。一方で、不振になると、一部のサポーターから監督交代やクラブ幹部の更迭を求める声が上がる。クラブへの強い愛情の裏返しとして、抗議活動に発展する。
確かに、欧州や南米の強豪クラブでは、サポーターの抗議活動でクラブ人事が左右される面があった。しかし、それは彼らの風土で築かれた歴史であり、民族固有の気質があってのことだ。サッカー先進国がそうだからと、我々Jリーグがそれに倣う必要は全くない。それが、あたかも「クラブ愛」かのような風潮は間違っている。
思い起こしてもらいたい。金融危機の直前、資産運用ばかりが、すばらしい成功のような錯覚に日本は浸っていた。地道な物作りへの尊敬の念は隅へ押しやられ、金利だ、株価だと、いかに短期で大きく稼ぐかにみんなが熱狂した。だが、それは欧米の時流に乗らされただけのことだ。
スポーツ観戦にしても、全く同じだ。負けたイライラを暴力に転化するのはもってのほかで、すぐに抗議活動をする姿に、欧州、南米を安易にまねする空気を感じる。そうではないだろう。私たち日本人固有の応援があっていい。独自の価値観は我々の中にまだまだある。「武士の情け」という言葉もあるではないか。
勝負の世界は非情で、必ず敗者がいる。その敗者の側にたった時、ヒステリックに犯人捜しをする風習からもう脱皮してはどうか。「負けること」を前提に言っているのではない。より高く、より豊かな精神でスポーツに接し、日本らしいスポーツ文化をはぐくむ私たちでありたい。
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