2009年1月07日
売り上げをアイスホッケー援助に
日本のスポーツ界にとって、2009年は本当に大切な年になる。野球ではWBC(ワールドベースボールクラシック)があり、サッカーではW杯本戦に出場できるかどうかが決まる。何より、10月には東京が立候補している16年の夏季五輪開催都市が決まる。この五輪招致での戦いが、金融危機を発端にした不況、不景気という負の連鎖への確かなくさびになると信じている。
暗い世相に国民の気力はなえかけている。しかし、私たちにはスポーツ、そして芸術がある。人を励まし、奮い立たせるのがスポーツだ。こういう時こそ、私たちスポーツ界の担い手が底力を発揮しなければ。02年日韓W杯開催が決まった時、スタジアム建設などインフラ整備に莫大(ばくだい)な費用がかかると批判を浴びた。それが、いったん始まれば、有形無形の財産が日本国民の心にもたらされた。
こんな話もある。各国サポーターがバスの乗り方にとまどっていると、地元の人がさりげなく自分の小銭を運賃箱に入れてやったり、コインランドリーで列をつくっていると「私がうちでやってあげるから」と声をかけたり。そういうのがいっぱいあった。
各国代表チームも地元の人々と心の交流をした。平塚ではナイジェリアの選手が知的障害者の施設を慰問している。中でも心に残るのは、パラグアイのGKチラベルトが、長野の松本で小児がんの子どもたちへ衷心からの祈りをささげ、子どもの両親が感激のあまり涙したことだ。カメルーンと中津江村(05年3月に日田市に編入)の交流は有名になったが、表には出なくても、そんな話が日本中にあふれていた。
各国サポーターは母国チームの敗戦にもすさんだ気持ちにならず、フーリガン予備軍の暴走は未然に防がれたわけだが、これまでこうしたケースは非常に珍しかった。サッカー関係者、各国要人も、そうした独特のムードを醸し出す日本の国民性に深く驚き、それぞれの国で日本の良さを広めてくれた。
スタジアム建設、道路整備など、経済効果の側面もあるが、一番の恩恵は開催国の人々の心が豊かになることだ。自国の素晴らしさを、他国とのふれあいによって再認識できる。何十億、何百億という費用をかけてもできないことだ。それが、スポーツがもたらす最大のパワーであって、そのチャンスに挑まないでどうすると、そういう気概で年初を迎えた。
昨年末、アイスホッケー界を長年にわたってけん引してきた西武が廃部を決断し、大きな波紋を呼んだ。私にとってもショックな出来事だった。これはアイスホッケー界だけではなく、スポーツ全体の危機としてとらえるべき問題だ。今の高校生、中学生が抱く冬季五輪への夢を絶対に消してはならない。この状況をただ憂えるだけでは何の解決にもならない。皆の問題として救うことを考えなければ。
私はひとつの打開策として、totoの売り上げからの財政援助出動を提案したい。
アイスホッケー界の苦境は、財政援助によって打開できる可能性がある。そういうtotoのあり方も、初めてやってみる値打ちはあるのではないか。真剣に議論、検討すべきと考えている。
サッカーに目を向けても、円高不況の波を浴びている。中村俊輔だ。横浜マリノスが復帰へ向けて動いているが、親会社の日産は円高で苦しんでいる。だから、マリノスとしても思い切った手が打てないでいるが、この苦境にリスクを冒してこそ、真のクラブ経営者になれるんだと、私は強く言いたい。
今が旬の、日本を代表するスーパースターだ。彼がマリノスに戻ってくれば、間違いなく観客動員は増える。私だって俊輔を見たい。確かに今の彼を復帰させるには資金が必要になる。まず先に投資をすることになり、経営者としてはこのご時世に大きな決断が必要になるだろう。だからこそ、この機を逃さないでもらいたい。英知を振り絞り、何とか少しでも早く、彼のワールドクラスのプレーを、Jリーグのサポーターに見せてやってもらいたい。
嵐に遭遇した時、静かにじっとやり過ごす。それは生き抜く上で大切なことだが、もっと大切なのは嵐の最中にあって次への準備をできるかどうかにある。先を読み、嵐で被った打撃の何を優先して回復させ、どうリカバリーしていくか。その道を指し示すことが、これからのトップには求められていく。先見性と決断力だ。
我々はもう不況という嵐のさなかにある。苦しい、確かにつらいことばかりだ。それでも、勝算を見極め、次の一手への心構えを持たなければいけない。決断と飛躍。09年は、素晴らしい未来への大切な365日になると信じ、みんなで進んでいきたい。
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