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アジア杯2007特集

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海島健「アラーの国のフットボール」

日本勝利にインドネシア大喜び?の理由

2007年7月23日

体格で劣る日本がオーストラリア相手に勝利し、インドネシア人も大喜び?(撮影・たえ見朱実)
体格で劣る日本がオーストラリア相手に勝利し、インドネシア人も大喜び?(撮影・たえ見朱実)

 ハノイで21日に行われたアジア杯準々決勝で日本がオーストラリアに勝ち、筆者が滞在するジャカルタの現地紙コンパスでも試合の翌22日にその内容が報道された。これが意外と言うべきか、日本びいきとも受け取れる見出しと内容で驚かされた。
 何しろ、主見出しが

 「日本、オーストラリアに勉強させる」

 となっていたのだ。
 これは原語通りの訳だが、まあ「思い知らせる」ぐらいの意味になるのだろう。「FWハリー・キューウェルは『この敗戦はサッカールーにとっていい戒めとなった。アジアのサッカーはわれわれが思っていた以上で、われわれは考えを改めるべきだ』とコメント。日本にとってはW杯ドイツ大会での敗戦のリベンジとなった」とリポートしている。記事の内容としては、AFCに加盟して、アジア杯に初参加のオーストラリアが敗れたことで、彼らがアジアのサッカーの強さを認識したということが主眼に置かれており、そのことを日本がオーストラリアに分からせた(=勉強させた)という構成になっている。

 もう1つの刺激的な見出し「アジアをなめるな」の記事はこうなっている。「豪州GKのシュワルツァーに、アジア杯デビューは鮮烈な印象を残した。この大会は彼にとってはアジアサッカーについて新たな視点を与えた。ベトナムやイランやウズベキスタンの試合を見た後、彼は目からうろこが落ちたような状態になり、何人かの選手はイングランドのプレミアリーグでも通用すると感じた。『アジアがいかに広大か、どれほどたくさんの人がサッカーをしているか、いかに盛大にサッカーのゲームが行われているか、まだまだ誤解している人は多いと思う。アジアの選手たちは素晴らしい。たとえばベトナムだが、信じられないほど素晴らしいプレーを見せてくれた』とコメント。そのシュワルツァーは日本とのPK戦で4つのゴールを許した。だから、アジアをなめるなよ」と手厳しい。

 記事の論調から、オーストラリアという白人国家vsアジアを代表する日本という図式で試合をとらえているのかもしれない。W杯で16強入り、思い切り上から目線でアジア杯にやってきたオーストラリアに、アジアの日本が痛烈な一撃を加えた。「思い知ったか、サッカールー!」といった感じだろうか。

 このようにかなりの日本びいきとも受け取れる内容であるが、背景にはインドネシアにあるちょっとした反豪州感情がある可能性は否定できない。反豪州感情を引き起こす原因としては、インドネシア側の言い分ではあるが、2つある。

(1)※東チモールの問題にオーストラリアが介入したこと
(2)現在のオーストラリアのジョン・ハワード首相は国内の人気取りのために、あえて反インドネシア的な姿勢を打ち出したこと。インドネシアからの豪州への移民等の制限も以前より強化されている。

 実際に一般のインドネシア人がこれらの感情をベースに反豪州感情から日本を応援していたかどうかは定かではない。こういった意識は新聞記者などの知識層に特有のものであるかもしれない。筆者はこの試合をジャカルタの、あるサッカーバーで見ていた。インドネシア人の客は少なく、店員は基本的に中立のマナーを守っていたものの、比較的サッカーに詳しい2~3人の店員は、ひそかにだが、熱烈に日本を応援してくれていたのは分かった。彼らが、この国で、どういう層に属するのかまでは分からないが。

 インドネシアでも欧州リーグ、中でもプレミアリーグとブンデスリーガの人気は高いということで、このリーグのスター選手を抱えるオーストラリアや韓国、日本を単純に応援するという図式もあるそうだ。日本のブンデスリーガでの活躍と言えばフランクフルトFW高原直泰だ。ただ、オーストラリアにもGKシュワルツァーなど、プレミアリーグで活躍する選手は多いから、これはどっちもどっちだろう。

 ここから先は推測になるのだが、日本vsオーストラリアの試合は、視覚的には体の比較的小さい日本人が、190センチ前後のオーストラリア人に堂々と立ち向かい勝利をものにしたことことが前出の要素に加え、こちらの人の心を打った可能性もありそうな気がする。というのも、インドネシアの新聞にはバーレーン戦やサウジ戦を前に体格の違いを論ずる記事がよく載っていたし、ベトナムのUAEに対する勝利の賞賛記事の中にも、そういったハンデを乗り越えたといった論調が目立ったからだ。
 「マレーシア惨敗に共催国が大喜び?」のコラムでも紹介したが、インドネシア代表のポナリオ主将はバーレーン戦を前に「バーレーンとわれわれの違いはまず体格。だが、同じ条件にあったベトナムも、そのハンデを乗り越えてアラブのUAEを倒したではないか」とコメントしていた。

 どこまで筆者の推測が正しいかは分からないが、どんな理由にせよ、日本びいきの報道があったり、サポーターが日本に敬意を示してくれるインドネシアに好意を感じないわけがない。
 今後、たとえばインドネシアで日本vsイラクなどといったカード(もちろん決勝で)が実現した場合、こちらのサポーターの様子やマスメディアの報道ぶりを見れば、筆者の推測が正しいかどうか、答えはおのずと出てくるだろう。

 ※東チモールへのオーストラリアの介入…06年4月、東チモールの軍人のストライキに端を発した内政の混乱で、治安維持軍の派遣要請を受けたオーストラリアが軍隊を派遣。要請を受けた他の3国とともに治安維持にあたった。

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コメント

デビ夫人でも分かるように、インドネシアはどちらかと言うと親日国です。
インドネシア独立に旧日本軍が少なからず貢献してますから。

投稿者:wilbury|2007年7月24日 00:54

こんばんは、興味深く読ませていただきました。

インドネシアでそう扱われていたのには驚きです。
でも、日本人には嫌なライバルと思っている人も多いんじゃないかなと思うイランが実はかなりの親日国だって話も聞いたことありますし、意外なところで親日国っているものなのかもしれません。

オーストラリアとしては、オセアニアよりもレベルの高いアジアの国と戦いたいって気持ちでAFCに加盟したのかもしれませんが、W杯出場枠が1枠圧迫される可能性も高く、アジアの国にとってはいい迷惑でしかないでしょうから、このインドネシアの扱い方もある意味納得できる扱いだと思いました。

まだ、オーストラリアはAFCの一員になったとまでは言えないのかも知れませんね。

投稿者:磯|2007年7月24日 01:42

デビ夫人を例に引いて親日だというなら
田中角栄首相がインドネシア訪問した時の暴動は、死者も出たくらいの
大規模で深刻なものだったことを例に、反日国だともいえるでしょう。
国民感情はそんなにたやすく一言で語れるものではないと思います。

投稿者:みみ|2007年7月24日 01:47

確かに第2次世界大戦後にインドネシアがオランダとの独立戦争をした時に、敗戦後も駐留していた日本軍1,000人あまりが引き上げずに一緒にオランダ軍相手に戦ったという史実がありますが、それよりもむしろインドネシア独立後に日本の援助が多額であり、国の再興に貢献したという部分のほうが大きいと思います。デビ夫人の夫であるスカルノ大統領が独立闘志だったころから昭和天皇と深い親交があったこともあるでしょう。長年の白人の支配から開放に貢献したという意味で日本人の好意があると聞いたことはあります。

まあ歴史問題のブログではないのでこのくらいにしますが、オーストラリアとインドネシアのここ30年くらいのギクシャクした関係が影響していると思います。ならば同じアジア人であり、サッカー界で世界に一目おかれる存在になった日本を応援することは自然の流れでしょう。基本的に彼らにとって見ればアジアを植民地支配してきたヨーロッパの白人とオーストラリア人は同じという認識なのではないでしょうか。さらに同じアジアとはいえ顔立ちも文化も違い、同じイスラム教国家ではあるけど異質のアラブ人よりも、宗教は違えども長年交流があり顔立ちも比較的にている日本人に好意を持っているのだと思います。この友好関係を大事にしたいものです。

投稿者:ジェームス|2007年7月24日 01:50

そりゃどこの国でも好き嫌いはありますよ
別にそこまで過激な記事とは思いませんし
インドネシアの人が日本を応援してくれてるのはありがたい事ですし
日本はもっと世界にアピールするべきです日本の良さを

投稿者:サッカーLOVE|2007年7月24日 06:12

インドネシアだけではありません。わたしは、以前に、とある国際的な討論会で、日本に落とされた原爆は、日本がアジアを侵略した当然のみせしめだとスウェーデンの人に言われ、居合わせた、他の欧米人も同意見だったようですが、ただ一人、パキスタン人の女性だけが擁護してくれたことがあります。対欧米という点では、日本を友邦と考えているアジアの人々は、日本人が想像している以上に多いと考えて間違いないでしょう。もちろん、その一方で、中国や韓国などを中心とする、被害者意識も忘れてはなりませんが。

投稿者:diamou|2007年7月24日 06:31

東南アジアではやはりどこでも日本は一目置かれた存在です。
先進国の中ではもっとも自分たちに近い存在ですし、サッカーではアジアの中ですでに様々な実績を残しているので敬意は払われているでしょう。タイでは十数年前までは対等のライバルという扱いだったのが、今では日本の実績が上がって、もはや格上という評価が完全に定着しています。オーストラリアは地理的に近くてもアジアという認識はありません。西洋人の国という意識でやはり見ています。西洋に志向がいきがちな日本に較べ、東南アジアの人はアジアという枠組みを非常に重く見ています。ですから当然日本をそのリーダー的な国の一つとして見ています。アジアとはずっと区切られてきたオーストラリアが突然アジアになっても、仲間的意識は芽生えません。今までサッカー後進国と西洋から扱われてきたアジアにとって、近年のレベルの飛躍的な向上は大きな自信となっており、それを世界の場で示している日本は憧れでもあります。今回のアジア杯では西洋のくせにアジアに飛び込んできたオーストラリアに一泡吹かせてやるという思いが無意識のうちに確実に存在しています。1次予選でイラクやオマーンが試合を終えてからWelcome to Asiaと皮肉っていたのも同じような気持ちからでしょう。オーストラリアが優勝すると思っていたと西洋人を黙らせた日本は当然アジアの国から賛美されることになります。いくらプレミアで活躍するよく知った選手がいても、西洋人であることに変わりはありません。アジア杯というアジアが問われる舞台では、アジアになりきれないオーストラリアはやはり異質分子なのです。

投稿者:Marvin|2007年7月24日 06:47

インドネシアにしろ、イランにしろ親日的な人の割合が増える(もちろん、どこの国にも反日家はいますが。この日本にさえ・・・)ことは、うれしいことです。田中角栄首相が訪問したときの反日暴動も史実ですが、そのときはタイのバンコクでも卵をぶつけられたりしました。でも現在、多くのタイ人は親日的です。北アジアの反日的諸国ともいずれは、お互いを尊重しあう良い関係が構築できることを願っています。
スポーツは、そうした政治的偏見を超えていく良いきっかけの一つではないでしょうか。ゲームで真剣にぶつかって喜んだり、悔しがったりする。そこに爽やかな風が流れることを期待したい。(甲子園の高校野球で、遺恨試合なんて言葉が似合わないように・・・)

投稿者:スポーツは国境を超えて世界をつないでほしい|2007年7月24日 08:39

興味深いテーマではありますが、「勉強させた」というのは試合後の監督のコメントからそのまま引用してきたんじゃないでしょうか。特有の気候等も含めてW杯予選に向けていい勉強になった、という様な事を言っていましたよね。
日本にとって問題なのは、逆に大して学べるものがない大会であること^-^; W杯本戦での戦いとは全く考え方を変えて戦わなくてはいけない事で、この辺が悩ましい。確かに、厳しい戦いで経験にはなるけれど、「勉強になった(いろんな意味で)」と言ったところでしょうか。
コパアメリカやユーロの様に、アジア杯もその経験がW杯に直結するようなレベルの高い大会にならないといけない。その為にはやはり中東に平和が訪れる事が必要かもしれませんね。

投稿者:hal*|2007年7月24日 08:44

  ジャカルタに住んでいると本当にこの国は多様だと感心します。海島さんのコラムにもそれに対する皆様のコメントにもこの国の多様さの幾つかの面が紹介されておりますが、それは或る一部を切取った物であってどれが正解かでは無く、その集合と積層が織り成すモザイク模様がこの国を彩っているのでしょうね。
  親日的である反面、未だに日本兵に暴力を振るわれたり家族を殺された事を恨む老人、慰安婦問題。その後同じアジアの日本を隠れ蓑として、反共防波堤に米国が間接的に介入した歴史。反共からエネルギー保障に切替った現在も、少なくなったとは言え、連綿と続く日本のODA。それと同時に宗教観を共有するアラブに対する憧れも確かに有り、当地では濃いアラブ顔が人気で芸能人も心なしかその傾向が強い様です。旧宗主国のオランダをはじめ欧米人に対する未だ変えられない劣等感も残ります。350年間も虐げられて、主食の米から胡椒やお茶の商品作物に無理矢理転作させられて餓死者を何万人も出しながら、現在でも主人にすり寄る使用人の様な奇異な関係(余談ですがジャカルタにはオランダ人のサッカー同好会が多数有ります)。一方で豪州とはお互い政治的な仮想敵国として、政府が悪いイメージを与え合って来た歴史が有り、豪州に留学した人も数多い富裕・知識層と大多数の貧困層ではまるで意識が違います。人口割合としては少ないのですが、住んでいると実感する最近の華僑系の影響力と露出度増大、これもこの国の紛れも無い一面でしょうね。
  この錯綜とした歴史と現実の中でインドネシアの人々はアジア、欧州、豪州のサッカーも色々な面から捉えているのでしょうね。ちなみに現地リーグを見ているとサッカーのタイプとしては細かく繋ぐ日本に近く、大きく蹴って体を張る豪州型はやはり異質に感じるのかもしれません。体格から来る必然なのでしょうが、インドネシア人はオランダ人に搾取されたので体が小さく、オランダ人が欧州でも1,2の体格を誇っているのはインドネシアからの富の搾取との説も有るらしいです。
  今でも良くこの国の人から聞かれるのが「中田英はどうしているのだ?」と言う質問で、やはり彼の欧州での過去の活躍はこの国の人々に強い印象と大きな感動をもたらしたのだなと実感します。あの98年のセリエAでのデビュー戦対ユベントスの2得点を偶々見ていたアジアの人は皆衝撃を受けた筈です。ちなみに中田英はジャカルタで行われた94年のアジア・ユースで初めて日本が予選を勝ち抜いて世界ユースに出場した記念すべき大会で大活躍、きっと目の肥えたインドネシアのフリークの中には当時から彼の高校生離れした柔らかいタッチと広い視野に注目していた人も居たのでは(ちょっと飛躍し過ぎでしょうか?)。 
  その後も欧州で活躍する日本人が多く、更に今年の浦和や川崎の様に、Jリーグチームが良く当地(しかも決まってど田舎)に遠征して来ます。この10数年のアジアでの地道な活動も今回のオシム・ジャパンに対する親近感の一助になっている気がします。

投稿者:リッチ・ボーモント|2007年7月24日 15:53

隣り合う国は中が悪いですからインドネシアとオーストラリアのギクシャクした関係は普通のことです。


投稿者:匿名|2007年7月25日 01:35

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