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アジア杯2007特集

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海島健「アラーの国のフットボール」

湾岸の名将マチャラが波乱を呼ぶ

2007年4月20日

04年オマーン代表監督として来日時のマチャラ監督(撮影・栗山尚久)
04年オマーン代表監督として来日時のマチャラ監督(撮影・栗山尚久)

 アジア杯開幕を3カ月後に控えた4月8日、バーレーン代表監督に日本にもなじみの深いミラン・マチャラ氏(チェコ)の就任が決まった。日本ではほとんど伝えられていないであろうこの人事が、7月に行われるアジア杯で波乱を呼ぶ要因となるかもしれない。

 マチャラ氏は96年のアジア杯ではクウェートを率いて準々決勝で加茂ジャパンに2-0で快勝。日本代表にとって92年の日本大会から04年中国大会までアジア杯4大会で唯一の敗戦がこの試合だから、マチャラ恐るべし、である。

 クウェート代表監督として96年、98年のガルフ杯を制した後、オマーン代表監督となり、2004年にW杯予選などで当時のジーコジャパンと3度対戦。いずれも0-1で敗れたが、どれも惜敗と言っていい内容だった。特に中国でのアジア杯1次リーグでの対戦は格下と思われていたオマーンが攻勢に出る時間が多く、印象に残ったファンも多いだろう。抜群の実績を誇る同氏は、まさに「湾岸の名将」と呼ぶにふさわしい存在だ。

 そのマチャラ氏は今年のガルフ杯でオマーンを準優勝に導いたのだが、その後、解任された。解任の理由は簡単で、オマーン協会から「おまえじゃなかったらオレたちオマーンは優勝していたんだ」というメッセージ含みで契約を打ち切られた。

 しかし、このオマーン協会の決断は、五輪代表のサナド監督を暫定的にA代表監督としていたバーレーン協会にとっては渡りに船の状況で、即座に獲得に乗り出すことになった。湾岸の名将を迎え入れるにあたっては協会史上最高のお金が動いたのでは、というのが現地サッカーファンの大方の見方だ。マチャラ氏のような「湾岸渡り歩き組」の監督は少なくはなく、彼らは一般的に湾岸という土地に愛着があるのではなく、お金のためだけに動き回っているといった批判も根強い。

 マチャラ氏はそういった批判を知ってか就任会見で「今回4つほどのオファーがあったがバーレーンを選んだ。バーレーンより高額のオファーをするところもあったので、お金のためだけではない。今までの湾岸での経験をバーレーンにささげるためにきた」と就任にいたった事情を説明した。

 マチャラ氏が率いることになるバーレーン代表は昨年のアジア杯予選の大一番のクウェート戦(06年11月15日、2-1で勝利)から4バックを採用し、その流れが今でも続いている。今までのように3バック、強豪相手だと両サイドも下がって5バックに近いシステムで堅守速攻、秒殺弾といったイメージではなくなりつつあり、ガルフ杯でもサウジアラビアやイラクといった大国相手に4バックで正面からぶつかっていった。そうでないと今後も大事な一戦を勝ちきれない(W杯ドイツ大会予選でのプレーオフ、トリニダードトバゴ戦のように)という協会の危機感が背後にあるのかもしれない。

 カウンターサッカーでクウェートに栄光をもたらしたマチャラ氏がバーレーンを再びカウンターサッカーに戻すのか、それともカウンター一辺倒のサッカーから完全な脱皮を図るのか。あるいは両者をうまく融合させて新しいバーレーンサッカーをつくるのか。はっきりとした方向性はまだ示されていないが、いずれにせよメディアの期待は大きく、アラビア語紙「アルワクト」は、同氏がバーレーンの空港に到着した翌日、「歓迎!!マチャラがついに上陸」という見出しを掲げ、記事で「バーレーン協会がマチャラのやり方(選手起用のことを特に指している思われる)に、あれこれ口出ししなければうまくいく」と触れた。

 マチャラ氏が最初に迎える大一番は7月7日開幕のアジア杯で、1次リーグはサウジアラビア、韓国と同組という厳しい組み合わせとなっている。だが、湾岸での監督経験が長いだけにサウジアラビアに関しては手の内を知りつくしているだろう。また、韓国とはオマーン代表監督時代にアジア杯予選で対戦し、アウエーでは0-1と敗れたものの、ホームで行われた試合は3-1で快勝している。大方の予想はサウジと韓国の決勝トーナメント進出なのだろうが、マチャラ・バーレーンがその一角を崩す可能性は十分にあると筆者は思っている。しかも前にも書いたように結束が強い湾岸協力会議(GCC=Gulf Cooperation Council)諸国のサウジとバーレーンが最終戦で当たるから、状況によっては両チームによる韓国落としの暗黙の了解は成立する可能性がある。

 かつて日本を苦しめた湾岸の名将が、今度は韓国を苦しめることになるかもしれない。韓国を倒してバーレーンが決勝トーナメントに進出するようなことがあれば、96年大会で日本を破ったのに続きマチャラ氏にとって大きな勲章の1つとなるだろう。

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