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アジア杯2007特集

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西村幸祐「アジア杯透視図」

アジア杯から何が見えるか?

2007年7月 2日

2004年アジア杯、1次リーグのイラン戦のハーフタイムで「日本必敗」のメッセージを出す中国サポーター(撮影・たえ見朱実)
2004年アジア杯、1次リーグのイラン戦のハーフタイムで「日本必敗」のメッセージを出す中国サポーター(撮影・たえ見朱実)

 7月7日に開幕するアジア杯が重要な大会であることは間違いないが、サッカーファンの多くは6月30日(日本時間7月1日)に開幕したU-20W杯にも関心は高いはずだ。まだ「ワールドユース世界選手権」と呼ばれていた8年前のナイジェリア大会で、小野伸二、稲本潤一、遠藤保仁、本山雅志、永井雄一郎ら、日本の黄金世代が活躍して優勝を逃したものの2位に輝いた記憶は新しい。ユース世代がその後の代表チームを担うのは、昨年のW杯ドイツ大会で各国が証明してくれた通りだ。
 では、今回のアジア杯からいったい何が見えるのであろうか?
「ブラジルとアルゼンチンがいないW杯」である欧州選手権の高密度な試合に比べ、物足りなさを感じるサッカーファンも多いのではないだろうか。ユーロのレベルの高さと比するまでもないのだが、アジア杯ではサッカーそのものの面白さとともに、サッカーを通じて見えてくる各国のナショナリズムや、それが引き起こす国際関係なども実に興味深い。そういった観点もまじえて、主にピッチ外の話題を本連載でお伝えしようと思う。

 今大会の1つの見所が、アジア内のパワーバランスの変化だ。オーストラリアがAFC(アジアサッカー連盟)に加盟したことにより、今大会から参加する。これまでは東アジアの韓国、日本、西アジアのイラン、サウジアラビアが上位を争ってきた。最近6回の大会は日本とサウジアラビアが優勝を3回づつ分け合っており、見事なまでに東西アジアの均衡が成り立っていた(もっとも日本がアジアレベルでも戦えるようになったのはハンス・オフト氏が代表監督に就任し、Jリーグ開幕を翌年に控えた92年からだったが)。その東西アジアの力関係にW杯ドイツ大会16強のオーストラリアが大きなインパクトを与えるのは間違いない。
 米国のブックメーカー「Pinnacle Sports」 http://www.pinnaclesports.com/default.asp では、すでにオーストラリアが1番人気(約3倍)になっていて、次に日本(3・5倍)、3番手の韓国が約5倍、そしてイラン、サウジが続いている。つまり米国の人々は東西アジアのパワーバランスを新規参入のオーストラリアがぶち壊す可能性が大と見ているわけだ。

 さて、もう1つの注目点は中国の動向だろう。ホスト国として迎えた前回大会では狂気じみた反日騒乱が発生。当時の川口順子外相が遺憾の意を表明するに至り、アジア杯を前例のない政治の大会にしてしまった。中国政府が小泉首相の靖国参拝に対して強硬な姿勢を取り続けたことが、民衆の反日ナショナリズムを煽り、結果としてそれがコントロール不能の反日騒乱につながって、08年北京五輪を前に世界に大会の運営能力の欠如をさらしてしまった。反日政策がブーメランのように自国に跳ね返るという、笑い話のような結末となった。小泉首相退陣後、中国政府は安倍政権と日中関係の修復を図り、一応の関係改善がなされたが、それは2004年のアジア杯と翌2005年の反日騒乱が大きな原因となったのは疑う余地がない。
 あれから3年。中国が現在、置かれている立場は微妙だ。北京五輪を翌年に控え、平和国家であり、経済的にも発展し、民度も高い国であることを世界に向けてアピールしなければならない(経済以外、すべてないものねだりのような気がするが)。その一方で、欧米諸国の間で北京五輪への疑問の声はますます強くなっている。

 わが国で報道されていないが、アフリカのスーダンのダルフール民族紛争で、スーダン政府に対して中国から石油利権の代償として武器が供与されており、これが大量虐殺につながっていると国際的な批判が起きている。実際に米国ではこの問題を重視して北京五輪をボイコットすべきという下院決議が出ているし、6月26日には、デンマークでも社会民主党(DF)と社会主義人民党 (SF)が、中国の人権状況が改善されない限り北京五輪をボイコットするように王室と政府に要請を行ったばかりだ。
 さらに、中国政府は台湾を北京五輪の聖火リレーのルートに加えようとして、「台湾は中国の一部ではない」という台湾サイドの反発を受けるなど、スポーツの露骨な政治利用は基本的に2004年当時と何ら変わっていない。
 今回のアジア杯は、歴史的には「中国の裏庭」とも言える東南アジアでの共同開催となる。そこで中国がおとなしく1参加国の枠の中にとどまっているかどうか。五輪サッカーはU-23で構成され、A代表で争われるアジア杯とは競技の部分ではオーバーエージ選出の選手を除き直結しないが、それでも1次リーグで敗退するようなことがあれば、中国のメンツは丸つぶれとなる。できれば前回、苦杯をなめさせられた日本に雪辱して、国内的には民衆のガス抜きをするとともに、対外的にはその存在感を、特に東南アジアで強くしたいと考えるのは当然だろう。そのためにも、このアジア王者のタイトルは喉から手が出るほどほしいはずだ。

 こういった視点から見るとアジア杯は実に興味深い大会と言える。次回は、そんな前中国大会が与えた影響を詳細に振り返り、今大会にどのようにつながっているかを述べてみたい。

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アジアカップ優勝国 ブックメーカー予想

AFC Asian Cup Winner: 2007 AFC Asian Cup Winner Thu 7/12 AFC Asian Cup Win...

送信元:Here There and Everywhere|2007年7月 3日

コメント

 西村さんがニッカンに登場とは驚きです。鋭い分析を期待してます。

投稿者:暇人|2007年7月 2日 19:35

アジアカップ2004中国の異常性を再確認できる大会になるのでは。

投稿者:フリスト|2007年7月 2日 21:43

>>西村さんがニッカンに登場とは驚きです。鋭い分析を期待してます。
前も登場してただろ 暇ならチェックしろよ やらせ書き込みか?


西村さんには期待しています。

投稿者:やらせは許さない|2007年7月 2日 22:26

さっそく、コメントありがとうございます。U-20日本代表が幸先いいスタートを切ったので、
フル代表にも頑張ってもらいたいものです。

暇人さん
そんなに珍しくもないですよ。去年、W杯ドイツ大会でもコラムを連載しました。

フリスト様
そういう大会になって欲しくないのですが、目を離せませんね。

投稿者:西村幸祐|2007年7月 2日 23:18

2002のワールドカップで韓国の実態を再認識し、日本の報道機関の言論統制に愕然とし、2004年のアジアカップでは中国共産党の支配実態を思い知りました。
サッカーは青年を大人にし、大人を紳士にするそうですが、平和ボケした日本人に国際政治を認識させてくれる場でもあるようです。

投稿者:中年サポ|2007年7月 3日 16:26

>>西村さんがニッカンに登場とは驚きです。鋭い分析を期待してます。
>前も登場してただろ 暇ならチェックしろよ やらせ書き込みか?

そういう意味じゃないでしょう。酔夢ing Voiceでの分析とは違った側面をまたスポーツ紙のブログでは見せてくれるという期待が込められているのでしょう。それとも,ここを見ている人たちは西村さんをスポーツの取材しかしない人だと思ってるのかな。

投稿者:正成|2007年7月 3日 21:47

 韓国選手が日本選手より劣るなんていうレベルの低い議論はまったくないが、質の高い技術をもっている選手は韓国選手は韓国国内にはたくさんいるし、現に欧米で活躍している韓国選手もいるわけだが、残念ながら政治力を使って強くしようとすることをやめない限り、また日本のように欧米のスポーツのいいところを徹底して研究して取り入る、学ぶ姿勢を謙虚に受け止めない限り、なんでもかんでも日本のせいにしてばかりいては韓国国内サッカーの底辺拡大の未来はいまのとこみえてこないと思わざるを得ない。

投稿者:ソクラテス|2007年7月18日 14:06

同意。なんでもかんでも日本のせいにしてばかりいては
韓国国内サッカーの底辺拡大の未来が見えてこないばかりか、
韓国という国そのものの未来も全く見えてこない。
反省も後悔もしないのなら、日本と日本人に、さんざん侮蔑と嫌がらせを尽くしておきながら、自分が困った時に日本に泣きつくのだけはやめてほしいし、もし、日本に学習能力があるのなら、韓国が泣きついてきた時に、日本が手を差し延べるのも絶対にやめてほしい。同様の事は中国にも言える。
日本を含めて、どうしてアジアには馬鹿か野蛮な国しかないのだろう。欧米と対等に渡り合うなど何百年先の話なのか。

投稿者:シードル|2007年7月24日 02:49

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プロフィル

 1952年(昭和27年)東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科中退。在学中に第6次『三田文学』の編集を担当、80年代後半から主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始した。93年のW杯予選からサッカーの取材も開始。02年W杯日韓大会取材後は、拉致問題、歴史問題などスポーツ以外の分野にも活動を広げている。
 著書は「ホンダ・イン・ザ・レース」(93年・講談社)、「八咫烏(ヤタガラス)の軌跡」(02年・出版芸術社)など多数。新著は「反日の超克」(PHP研究所)。
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