メイショウサムソン半年遅れ3冠/天皇賞(春)
<天皇賞(春)>◇29日=京都◇G1◇芝3200メートル◇4歳上◇出走16頭
メイショウサムソン(牡4、栗東・高橋成)が世界へ羽ばたく! ゴール前でエリモエクスパイアを差し返し、皐月賞、ダービーに続くG1・3勝目を奪取。松本好雄オーナー(69)は凱旋門賞(仏G1、芝2400メートル、10月7日=ロンシャン)挑戦プランを明らかにした。石橋守騎手(40)は、このレース初挑戦で勝利。1番人気アイポッパーは4着に敗れ、3連単配当は30万円台の波乱となった。 戦国盾も、終わってみればメイショウサムソンが格の違いを見せつけていた。距離を不安視した外野の声も完全に封じ込んだ。過去に2度しか演じられていなかった鼻差の勝負。石橋守の執念と馬の根性が、勝者と敗者を分けた。
いったんはエリモエクスパイアに前に出られた。ジョッキーは鬼の形相で歯を食いしばった。馬は本能をむき出しにした。最後の一滴まで力を振り絞った人馬は、わずかに先にゴール板を通過していた。「際どい勝負だったから僕も一生懸命追った。ホントに偉い馬ですよ」。昨秋、菊花賞、ジャパンC、有馬記念と負け続け、色あせかけていた皐月賞、ダービーの2冠馬は、存在感を取り戻した。
「折り合いだけに気を付けた」。1周目の3角下りを掛からずに無事クリア。スタンド前は中団9番手で通過した。これまでの定位置よりも後ろだったが、慌てなかった。「位置はこれでいいと思っていた」。2周目3角で馬が行く気になった。まだ800メートルある。まだ早い。しかし、あん上は無理に抑えず馬の行く気に任せた。「思ったよりも早くハミを取ったけれど、競馬だから仕方ない。あとは自信を持って仕掛けた。いい脚を長く使ってくれるから」。3角から豪快にまくって4角3番手。定番の先行抜け出しではなく、新手を繰り出した。
「馬を信じてました」。馬に対する信頼は、ライブリマウントで学んだ。重賞6連勝してドバイにも遠征した名ダートホースは、大レース独特の雰囲気にまったく動じなかった。その強い精神力は、サムソンと共通していた。春の天皇賞はデビュー23年目で初めて経験したが、強いきずなが不安を取り除いていた。
「名馬に巡り合えて幸せ。今度、馬に僕を信じてもらえるか聞いてみます。そうでもない、と言われそうですけどね」。信じることは愛すること。恋人以上の関係を築いた「3冠馬」と石橋守は、さらにきずなを深めて進化する。【岡山俊明】
メイショウサムソン ▽父 オペラハウス▽母 マイヴィヴィアン(ダンシングブレーヴ)▽牡4▽馬主 松本好雄▽調教師 高橋成忠(栗東)▽生産者 林孝輝(北海道浦河町)▽戦績 17戦8勝▽総収得賞金 7億501万3000円▽主な勝ちクラ 06年スプリングS(G2)、皐月賞(G1)、ダービー(G1)、07年大阪杯(G2)。
★異なる調教師でのG1(級)制覇 ミハルオー(上村大治郎=48年ダービー、久保田金造=49年天皇賞・春)、スピードシンボリ(野平富久=67年天皇賞・春、野平省三=69年有馬記念など)、ウイングアロー(工藤嘉見=00年フェブラリーS、南井克巳=00年ジャパンCダート)に続き4度目。
★ダブル制覇 高橋成師は騎手時代にもヒカルポーラ(64年)、リキエイカン(70年)で制している。騎手と調教師の両方で優勝したケースは史上6人目。秋を含めると13人目。
★大阪杯→天皇賞(春)連勝 90年スーパークリーク以来2頭目。
★オペラハウス産駒の優勝 テイエムオペラオー(00、01年)以来2頭目。
★好タイム 勝ち時計3分14秒1は、昨年のディープインパクトが出したレコード(3分13秒4)に次ぐ2番目の記録。
◆売り上げ 天皇賞(春)の売り上げは236億9626万8600円で、前年比90・2%にとどまった。京都競馬場の入場人員も8万5414人(同90・9%)と減少した。
2月までメイショウサムソンを管理していた元調教師の瀬戸口勉氏も競馬場で万感の思いに浸った。「これで3冠? うん、こんなにうれしいことはない」。同氏が3冠を狙った菊花賞は4着だったが、この日は距離の壁と高速決着を克服した。「うちにいた時よりも馬が柔らかくなって、とてもいい雰囲気になっている。(2歳時に)入厩した時は、天皇賞まで取れるなんて思わなかった」と、充実一途のサムソンを頼もしそうに見つめていた。
高橋成師にとっては開業30年目にして初のG1勝利となった。「やれやれという感じやな」と、まずはホッとした表情。握手攻めにあうと、目には涙があふれた。鼻差の接戦に、直線では声を張り上げっぱなし。「皐月賞とダービーを勝っている馬だし、年度代表馬を目指さなければと思っている。もうひと皮むけて欲しい」と、愛馬のさらなる成長を願っていた。
瀬戸口厩舎から転厩した2冠馬を任され、自身初のG1勝利となった厩舎最年長の中田征男厩務員(62)は「信じられない。すごい根性。良かったというよりホッとした」と胸をなで下ろした。3着トウカイトリックを担当する大平助手は娘婿。「もし負けるなら娘婿の馬に、と思っていた。栗東に帰ったら1着、3着祝いや」と笑顔で話した。
[2007年4月29日 紙面から]
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