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石橋守22年目初G1「騎手になって良かった」/皐月賞

石橋守22年目初G1「騎手になって良かった」/皐月賞写真

1着5番メイショウサムソン石橋守騎手 [06年4月16日]

<皐月賞>◇16日=中山◇G1◇芝2000メートル◇3歳◇出走18頭

 誠実な人柄で親しまれている石橋守騎手(39)が6番人気メイショウサムソン(牡、栗東・瀬戸口)で勝ち、22年目で悲願のG1を獲得した。小倉デビューから10戦すべて騎乗して長所を知り尽くした苦労人が、来年2月で引退する瀬戸口勉師(69)に恩返しを果たした。2着には直前で騎乗が決定した高田潤騎手(25)のドリームパスポート(牡、栗東・松田博)が入り波乱。1番人気アドマイヤムーン(牡、同)は4着に終わった。

 並み居るG1ジョッキーを抑えて、いぶし銀の石橋守が真っ先にゴールに飛び込んだ。派手なガッツポーズはない。ゆっくりとメイショウサムソンを検量室前に誘導すると、笑顔で迎えた瀬戸口師に倒れ込むように抱き合った。「幸せな気持ちでいっぱいです」。大きな今年4勝目に目を潤ませた39歳は、ゴール直後に沸き上がった気持ちを「幸せ」の2文字に凝縮した。

 85年のデビューから22年目、42度目の挑戦で果たした頂点到達は、史上3番目の遅咲き。初の皐月賞挑戦が瀬戸口厩舎のオグリワンだったから格別の思いがあった。「若い時からいろいろお世話になったので、恩返しができました。先生やオーナーの喜ぶ姿を見て、あらためて騎手になって良かったと思う」と声を震わせた。口をつくのは厩舎スタッフやオーナーに対する感謝の言葉ばかり。誠実な人柄がにじみ出る。「人に恵まれて、ここまで来られた。周りの方すべてに(喜びを)伝えていきたい」。人を自然に思いやれるから、ジョッキー仲間からも信頼される。

 昨年7月の小倉の新馬戦から、付きっきりで調教をつけてきた。トレーナーの信頼も厚く、レースもすべて任された。メイショウサムソンは非常に気が強く、先行しても簡単にばてない。並んだらしぶとい。濃密な10カ月間の付き合いで、性格は知り尽くしていた。作戦はスプリングS同様、早仕掛けからの抜け出し。後続の目標になるリスクも負うが、持ち味を引き出すにはベストの方法と判断した。これが見事に的中した。道中5番手、4コーナーで早めに3番手に上がり、フサイチリシャールを射程にとらえると、坂上で一気に抜け出した。「力を信じて追いました」。ドリームパスポートに半馬身差まで迫られたが、内容は完勝だった。2年後輩の武豊からは「おめでとう」と声を掛けられた。「うれしかった。普段はいじめられてばかりですけどね」と顔をほころばせた。

 次はダービーで2冠に挑む。ヒーローインタビューを終えた石橋は、尊敬する河内洋師から譲り受けたクラを大事そうにしまった。【岡山俊明】

 メイショウサムソン ▽父 オペラハウス▽母 マイヴィヴィアン(ダンシングブレーヴ)▽牡4▽調教師 瀬戸口勉(栗東)▽ 馬主 松本好雄▽生産者 林孝輝(北海道浦河町)▽戦績 10戦5勝▽総収得賞金 2億6003万1000円▽主な勝ちクラ 06年スプリングS(G2)

 スプリングSが初の重賞勝ちだった23年目の加藤繁雄厩務員(39)も、G1勝利に酔った。新調したスーツは、馬の動きに対応できるように緩めに作った。「石橋さんが手塩にかけて鍛えてくれたおかげ。ダービーがあるので、次もしっかり仕上げます」と表情を引き締めていた。

 ★桜は小型馬、皐月は大型馬 先週の桜花賞ではキストゥヘヴンが418キロで勝ち、今回は504キロのメイショウサムソンが勝った。500キロ以上の大型馬の皐月賞勝利は05年ダイワメジャー(528キロ)以来。

 ★G1初勝利 石橋騎手はデビューから21年1カ月、42度目の挑戦でJRA・G1初制覇。通算42度目、皐月賞は5度目の挑戦だった。グレード制導入以後では22年8カ月の佐藤正雄(91年阪神牝馬S=ニシノフラワー)、21年8カ月の楠孝志(90年マイルCS=パッシングショット)に次ぐ記録。

 ★皐月賞2勝目 瀬戸口師は03年ネオユニヴァースに続いて皐月賞2勝目。JRA・G1通算11勝目となり、5年連続のG1制覇を果たした。来年の2月末で定年となるため、皐月賞はラストチャンスだった。

 ★小倉デビュー馬のV 54年ダイナナホウシュウ、90年ハクタイセイ以来。

 ★関西馬が独占 関西馬が1〜6着を独占した。関東の最先着はジャリスコライトの7着。関西馬の皐月賞勝利は2年連続。これで関西馬30勝、関東馬36勝となった。

 ★1クラ騎乗のワンツー 2着に高田潤騎手のドリームパスポートが入り、石橋騎手とともに中山で1クラのみの騎乗だった騎手がワンツーを決めた。

 生産者の林孝輝氏(43)は、サムソンが抜け出してゴールに飛び込む瞬間、声をからして叫んだ。「初めてのクラシックですからね。もう、ノドがかれてしまいましたよ」。繁殖牝馬10頭前後の家族牧場は、初のクラシックの美酒に酔いしれた。平成になってから浦河産馬が皐月賞を制したのは97年サニーブライアン、99年テイエムオペラオー以来に続き3頭目。

 ライバルたちを力でねじ伏せたメイショウサムソンが頭1つ抜け出した。父オペラハウス×母父ダンシングブレーヴという血統は十分に成長の余地があり、2400メートルへの距離延長も大歓迎。マークされる立場になって強気の競馬を貫けるかがポイントとなるが、優位は動かない。

 皐月賞敗戦組からはフサイチジャンクが逆転の一番手。エンジンの掛かりが遅いタイプだけに、広い東京へのコース替わりはプラス材料だ。渋った馬場で伸びを欠いたサクラメガワンダーの巻き返しも怖い。一方で1番人気を裏切ったアドマイヤムーンは、これ以上の上積みは微妙だろう。

 別路線組では、故障から復帰してくるマルカシェンクが面白い。潜在能力は世代トップの声も高く、復帰戦の走りに注目したい。【堀内泰夫】

[2006年4月16日 紙面から]

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