東方ローマ温泉(中編)
ウミガメ泳ぐアーチを抜けて浴室へ
脱衣所入り口にはボーイと思われる男性が待っていた。脱衣スペースは広く、アンティーク調の美しい木製ロッカーが並んでいる。その数はかなりのもので、ロッカーに取り付けられたカギ番号も1000を超えていた。ボーイにカギ番号を示すと、笑顔で案内してくれた。そのまま笑顔で待機している。服を脱ぎたいので立ち去って欲しいが、どうも脱衣を手伝ってくれるようだ。背広をハンガーにかけてくれ、シャツもズボンも。さすがに下着はいいからと、ボディーランゲージで手を交差させると、1歩下がってくれた。それでも、お客から離れようとしない。これがサービスなんだろう。
素っ裸になると、白いタオルを渡してくれた。サンダルを履いて、カギをかけた。ボーイに案内されるまま、奥へ進むと、水槽のトンネルが現れた。「こちらへお進みください」と言わんばかりのボーイの笑顔。その向こうの水槽には銀鱗の魚に加え、ウミガメが遊泳している。八景島とか天保山で見た水族館の風景そのままだ。
約10m続く水槽のアーチをくぐり、いよいよ浴室へ。お客さんは少ないが、西洋人がシャワーを浴びていた。次はどんな仕掛けが待ち受けているのだろう、などと心落ち着かない。浴室の中央にローマ風の彫像が立っていた。今にも遠征に出発しそうな馬と戦士の像で、まったく落ち着かない。彫像を囲むように湯船が並ぶ。中央は深湯、両脇は水風呂とジェットバスで日本の銭湯でもスタンダードなものだ。湯船は温めでホッとした。見上げた天井は濃紺で、北斗七星など星座が象られている。ロマンチックな人は神話の世界に浸れるのかもしれない。
シャンプー、リンス、ボディソープに使い捨て歯ブラシ、使い捨てひげ剃りや、クリームまでそろう。歯ブラシは歯磨き粉のついていないタイプで、別に歯磨き粉チューブも据え置かれる。サウナは2段式の20人仕様でガラス張りで大きい。【続く】


