浪華温泉
此花で愛すべき「ジャブラン」
地域の人から「ジャブラン」と呼ばれて親しまれている。正式名称は「ジャブジャブランド浪華温泉」。浪華の「華」は字画で決めた。此花区は春日出地区。昔から住友電気、化学や機械、造船を含め工場が多く、大阪の湾岸工業地帯の中核を担った。高度経済成長期には社宅も建ち並び、人工が増え続けたエリアだ。
初代嘉子さんが都島の2号店として開店させたのは昭和40年だった。同じ春日出地区でも、この西地区は区画整理がきっちりされて、道路も広く、典型的な住宅街だ。2代目のご主人・石丸眞さん(60)が引き継ぎ、95年8月に思い切ってリニューアルした。社宅も減り、風呂は家に当たり前にある住宅街で「これから銭湯をやっていくのに、若い世代を取り込むのが大事ですから」。
眞さんは引き継ぐまでは建設会社に勤務。ホテル建設の設計などに携わり、現場も見てきた。そんな経験を生かし、リラックスできる空間設計を心がけた。銭湯は家族連れが多いので、ロビーでゆっくり待ち合わせできるように。「入浴って男性は早い、女性は遅いでしょ。男性も待てるように、ソファーを置いた。子どもが喜ぶのでじゅうたんを敷いた。一方で老人が使いやすいようにと、バリアフリーにもこだわり、段差をなくした。快適なロビー空間だ。そして、オールガスを採用、全自動で最適な環境を管理する。
売りは湯だ。炭酸温泉で湯上がりもホカホカ感が続く。「ジャブジャブランド」は大人も子どもも楽しく入ってもらいたかったから。「此花のジャブランって言えばこの辺の人で知らない人はいない。なんでも普通じゃつまらへんから」と眞さんは胸を張る。露天風呂の竹飾りも京都で作ってもらったこだわりの品だ。
近所にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン、通称USJがオープン。「それでも人の流れは変わらへんわ」。一方で「でもこの辺りは昔からのお客さんに加えて、キャンプの帰りに寄ってくれるお客さんもいるから」と笑顔。なるほど舞洲からの帰り道にはちょうどいい場所。最近は遠方から立ち寄って行く人も「ジャブラン」と呼んでくれる。その愛称は少しずつ、それでも確かに浸透している。

