風呂上がりにゴクリ!下町フローライフ

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海老江新温泉

刻まれた銭湯の女神に出会った

銭湯写真  福島の下町が色濃く残る海老江エリアでも、淀川に程近いエリアに新海老江温泉はあった。2代目ご主人の大石昭和さん(63)は「ここら辺はマンションが建ち並ぶわけでもなく、平穏無事で昔のままや」と教えてくれた。梅田へも自転車圏内という便利さだが、いい意味で取り残された昭和の雰囲気漂う。「何の特徴もない風呂屋やで」。ご主人が笑った。

 隣に広がる敷地は凸版印刷の工場だった。現在は関西支社となり、工場機能は移ったという。創業当時の50年間前は、工場で働く労働者が汗を流しに立ち寄った。連日満員の入りだったと昭和さんも聞いている。前の営業者から父・正次さんが40年間に買い受けた。「工場の中に大風呂ができてから客は減ったらしい」と言うが、「客が減る理由はそんなもんじゃない。問題は習慣の欠如や。風呂屋に行ったことない子供が増えて、人前で裸にもなられへん。それが問題とちゃうか」。昭和さんの視点はもっと深いところへ向けられている。工場相手に栄えた飲食店も今ではわずかに2軒が残るのみだ。

 浴室内は30年前の改修工事で触って以来、そのままだ。脱衣所に据え付けられたサウナ室も当時から変わらないという。突然、昭和さんが「これ見てや!」と得意げに指をさした。浴槽に取り付けられた御影石の球体。「これだけが当時のままやなあ」と説明。「昔は浴室に円い湯船が1つ、あるだけやった。今はいろんな風呂が増えたけど、当時は当時でシンプルでよかったで」。その1つだけの浴槽の中心に、この球体は置かれていたのだろう。

 おすすめは漢方風呂だと言う。「延寿湯」と名づけられた茶色の湯だ。説明書きによると、9種の薬用植物が使われている。「これが病みつきになる。ホカホカ感が続くねん」。水も軟水だ。これは創業当時からこだわっている水だという。

 帰り道、もう1つ「創業当時から変わっていないもの」を見つけた。番台後ろの窓ガラスに透かして刻まれた女性の全身像だ。花と揺れながら銭湯に浮かぶようにも映る。言うなれば、「銭湯の女神」だろうか。「昔は2人が向き合っていてんけど、1枚割れてしもたから今は1人ぼっちや」。よく見ると目を閉じた女性は何かに思いをはせるようだ。そして割れて消えたペアを待ち続けているようだ。きっと創業当時の繁栄を懐かしんでいるのだろう。帰り道、ふと思った。

銭湯写真銭湯写真
【住所】大阪府大阪市福島区海老江3-13-10
【営業時間】14:30~24:00
【定休日】第1火曜
【入浴料】大人360円、中人130円、小人60円
【設備】内湯、寝風呂、薬湯、うたせ湯、スチーム
【最寄り駅】阪神野田駅、JR海老江駅から徒歩10分
【駐車場】なし
みっくちゅじゅーちゅ

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みっくちゅじゅーちゅ

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