八丁温泉
注目の薬草電気風呂
ご主人で3代目の池川伸芳さん(35)は、業界では珍しい娘婿だと笑う。中学の同級生だった奥さんの実家が銭湯で、当時は客として通ったと言う。今では立派に銭湯をさばき、府の銭湯組合の青年部会「ユネップ」で代表も務める。お客さんからは愛情を持って「若旦那」と呼ばれる。会った瞬間、仕切れる男の空気を感じた。 八丁温泉は工業地帯の印象が強かった西淀川・御幣島にある。昔は銭湯前の緑道は川で、ここに架かる橋は「八丁橋」と呼ばれた。時代は移り、JR東西線が開通、御幣島駅からも近い同地は緑道沿いにマンションが増えた。そんな変わり行く風景の中で八丁温泉は昭和30年代半ばから、デーンと構える。
「おすすめは電気風呂やな」。伸芳さんは自信満々で胸を張る。「普通の電気風呂は入れるの、だいたい2人くらいやろ。後に待っている人もおるし、ゆっくり入浴できへんやん。うちはゆっくり入浴してもらいたいから、広い電気風呂を作ってん」。約35年前、大阪で初の電気風呂導入だった。「当時は京都に1件だけやったと聞いてる。珍しくて、ぎょうさん人来たらしい」。今日ではそこに薬草を配合し、薬草電気風呂となっている。
「銭湯は5年サイクルで設備変えなあかんって言われるけど、うちは満弁なくお客さん来てくれてるから、まあぼちぼちやな」。自信と男気あふれる「若旦那」と雑談するだけでも十分楽しい。人柄の銭湯に出会った。

