船岡温泉
天井に天狗、露天に鍾馗
船岡山の麓に来た。「応仁永正戦跡」の石碑をみつけた。そうだ、ここは京都だった。汗が吹き出る。古都の夏は蒸し暑い。
堂々たる外観だった。大正12年、料理旅館として建てられた。京都は戦災を免れ、昭和22年から銭湯になった。豪華な装飾が目をひく。御所に出入りする宮大工が命を吹き込んだ。天井に天狗、露天には石の鍾馗が入浴者を、にらみつける。
番台を守る大野照子さんは、気さくなお母さん。「年齢はええわ」。年中無休で元気にお客さんを迎え入れる。この大正の名建築を誇りに過ごしてきた。「有名人? スポーツ選手、役者さん、来てくれはる有名な人多すぎて数えあげられへん」。野暮な質問だった。
それでも昔の客が遠方から入りに来てくれると、その思い出の1つ1つを鮮明に浮かべる。「夏におばちゃ-んって来てくれる。学生やった子が立派になって」。その眼差しは母のそれだ。 銭湯逆風は京都にも吹き荒れる。「苦しんだところで、しゃーない。お客さん来てくれるから開けなしゃーないやろ」。母はたくましい。
脱衣所の正面にお稲荷さんを掲げる。ボイラー室には火の神様「愛宕山」のお札を貼る。生活の中に歴史が香る。はんなり。ここは極上京都の湯だ。

【住所】京都市北区紫野南舟岡町82-1
【営業時間】午後3:00~翌日1:00、日曜・祝日は午前8:00~翌日1:00
【定休日】年中無休
【入浴料】大人340円、中人(中学生以上)130円、小人(乳幼児)60円
【設備】内湯深、浅、電気風呂、寝風呂、座り風呂、ジェットバス、サウナ、水風呂、露天風呂
【最寄り駅】JR京都駅から市バス206系で千本鞍馬口バス停下車、徒歩約5分。地下鉄鞍馬口駅から西へ徒歩20分。
【駐車場】9台
