ヘルシー温泉桜川
ジミー画伯も通った「普通の銭湯」
浪速区の地下鉄桜川駅4番出口を上がって、あみだ池筋を南に進むと左側の電光掲示板に「ヘルシー温泉」の名前が浮かび上がった。右に曲がると、派手な銭湯かと思いきや、建物自体は昔ながらのシンプルな外観が見えた。
のれんをくぐると、白亜のビーナス像が迎えてくれた。扉の向こう側には果たして…。勢いよく左側の男湯扉をスライドさせる。「いらっしゃい」。いたって普通の脱衣所に普通の番台。初めて来たのに、いつも来ていたような錯覚に陥った。優しいかけ声のせいなのだろう。
この地に銭湯を開いてはや55年。ご主人の西田豊さん(51)は「昔に比べてお客さんは減った」と説明するが、訪れた火曜朝9時半には脱衣所に人があふれていた。
「大阪場所の期間中は相撲取りが通うし、吉本の若手も入りに来てる」。いまや有名画伯となったジミー大西も、デビュー当時は、ここの湯船につかった。銭湯は、角界や、お笑い界で出世していく若者を、50年以上見守ってきた。
「30年前に火事があって、そのときは大変やったなあ」。苦い歴史も経験した。しかし、先代・実さん(80)の努力で復興、いまや近くに姉妹店となるスーパー銭湯「ヘルシー温泉タテバ店」も開いた。それでも近年の家庭用風呂の充実、路駐取り締まり強化など「なかなか大変ですわ」。
美人奥さん祥美さんは「駐禁対策でパーキングも用意してます。サービス券があるので車で来られるお客さんにも安心してお風呂入ってもらえます。これ書いといてな」と笑顔でアピール。奥さんのファンも多いだろう。
風呂はロイヤルサウナとスチームサウナの両方を完備。ロイヤルサウナは有料だが、扉を出るとそのまま右側に「氷風呂」に飛び込めて刺激的だ。「氷風呂」は水中に伸びたホースを通じ、自動製氷器からコロコロと氷が転がる仕組みで、水風呂の冷たさを変わらず保っている。サウナからはもちろん「氷風呂」からもテレビが見えるので、寒暖の限界まで番組を楽しめそうだ。
さて、銭湯は年中無休で、正月三ガ日を除いて毎朝6時から翌1時まで営業、いつでもお客さんを待っていてくれる。そして傘寿の先代も変わらず番台に入っている。
時代は変わっても、変わらない普通の銭湯「ヘルシー温泉桜川」。風呂上がりのラムネで、のどの渇きをうるおすと「普通っていいよな」。何だかすがすがしい気分になった。
