日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムの社会ページです。

  • 日刊スポーツIDについて


ここからこのサイトのナビゲーションです

共通メニュー

企画特集


2009年9月14日

バス内でわいせつの大人の遠足、捜査員2人も同乗

 9月8日、さいたま地裁で行われた裁判員裁判で、大型モニターに被告人の共犯とされる13歳の少年の顔写真が映されたらしい。どうやら、検察が13歳少年の供述調書を朗読する直前、大型モニターをオフにするよう書記官に依頼したが、画面が消える前に顔写真が一瞬映ったとのこと。

 未成年者の顔写真をわざと映したわけじゃなく、うっかりミスだったみたいですね。っていうか、電源のオン・オフは書記官がやってたなんて知らなかった。
 東京地裁だと、検察官がモニターに向けてリモコンを操作して(るように見え)たから、てっきり検察官がやってるかと。これは裁判所によって違うんでょうか。
 単純なミスだけど、やり方を変えないと今後も起こりそうな失敗ですね。

 さて、今回は9月11日に行われた武田康嗣被告人(逮捕当時47)と武田佐織被告人(逮捕当時33)の裁判の話。罪名は、公然わいせつ幇助。
 「大人の遠足」と称して、大型観光バスを貸し切り、高速道路を走行中の車内で客らにわいせつ行為をさせた東京・新宿区のハプニングバー「MASK」の経営者が逮捕されたという事件ですね。

 報道によると6月7日午前10時半頃から約15分間、関越道下り線高坂サービスエリアから赤城パーキングエリアを走行中の大型観光バス内で全裸になり、わいせつな行為をしたという。
 武田康嗣らが自らのホームページで客を募集し、観光バスを借り切っていたという。参加費は男性が1万5000円、女性が3000円で、バス内には運転手以外に武田康嗣を含め、男女12人がいた。

 貸切バスの車内が公然なのかは疑問だけど、マンションの一室で同様の行為をしていた5月11日分の国弘周被告人の裁判ですら有罪判決が出ているので、公然になるんでしょうね。
 起訴されたのは報道の通り。
 検察官の冒頭陳述によると、康嗣被告人は大学卒業後、職を転々とし、平成18年に築地のマンションでハプニングバー「MASK」を経営。
 一方、佐織被告人は高校卒業後、声優を目指して上京し、平成19年に客として「MASK」を訪れて、康嗣被告人と知りあい、平成20年に結婚したという。
 被告人らは、HP上で“混浴、ハプニングバー状態”とうたい、バス旅行を募集し、本件までにバス旅行を3回開催していたらしい。

 そして、犯行当日。MASKの会員であるバス運転手に運転を頼み、被告人を含め男女12人を載せ、貸切バスは午前9時30分に出発。車が動き出すと、被告人は参加者にカーテンを閉めさせたという。10時32分、客の2人が後部座席で性交を始めたというのが、事件の詳細です。

 このニュースを知ったときに疑問だったのが「どうして発覚したのか?」ということ。カーテンのすき間から見た人が通報したのか、参加者が自責の念にかられて通報したのか。

 正解は、参加者の中に捜査員2人が紛れ込んでいただけでした。詳しくは明かされなかったけど、現行犯逮捕だと思われます…ってことは、バスが出発してから1時間、参加者が性交するのをじっと待っていたんでしょうね。しかも、セックスが始まって、15分間、じっと。この間、女性参加者に誘われたら犯行に及ぶことになるし、誘いを断れば怪しまれるし、捜査員もドキドキしてたんじゃないかな、と。
 そして、被告人質問。まずは、康嗣被告人から、

 弁護人 「MASKの経営を始めたのはなぜですか?」
 康嗣被告人 「付き合ってた女性が1度に多数の男性と性交する性癖があり、その手のお店を探しまわってました。どのお店もお酒を飲んだり、煙草を吸ったり、という場所で。しかし、私はタバコを吸わないので、食事を楽しみながらという店を始めました」

 今や、居酒屋もパチンコ屋も新幹線もライブハウスも、禁煙、分煙が当たり前になっているのに、ハプニングバーはそうじゃなかったようです。そこに目を付け、被告人が望むような店を作ったというのが、経営のきっかけであると。どの業界も喫煙者は嫌われているんですね。

 弁護人 「では、今回のバス旅行を企画したのは、なぜですか?」
 康嗣被告人 「取り締まりが厳しくなり(MASKに)客足が遠のいていました。それで新しい出会いもほしいということで、企画しました」
 弁護人 「旅行に関しての役割はどうなってました?」
 康嗣被告人 「運営、企画、立案など、ほとんど僕がやってました。観光バスが入ることができて、混浴もできる場所などを(佐織被告人に)探させていました」

 佐織被告人は、手伝いのような感じだったようです。

 弁護人 「“大人の遠足”は本件も含めて4回やってますが、赤字だったんですよね?」
 康嗣被告人 「初回は30名ほど集まって8万円の利益がありましたが、2回目以降は1~2万円程の赤字で」
 弁護人 「やめようと思ったことはないんですか?」
 康嗣被告人 「何度かあります。利益が上がらないのを続けることはないだろうと。あと、取り締まりが厳しくなって、続けていくことに疑問を感じていました」
 弁護人 「でも、やめなかったのはなぜですか?」
 康嗣被告人 「MASKの会員、女性会員の方が店に相談に来ていて、その時に“やめようと思う”と言ったら“続けてほしい”と言われて」

 儲けはないけど、女性会員らの要望に応えるために続けていたという主張です。

 弁護人 「今後、仕事は?」
 康嗣被告人 「グラフィックデザインをやっているので、そちらに力を入れたいと思います」

 と、ハプニングバー廃業宣言をして、質問終了。
 次は、検察官から。

 検察官 「MASKの宣伝をやめたのは、いつ?」
 康嗣被告人 「2年前からだと思います」
 検察官 「会員になるためにどうすればいいんですか?」
 康嗣被告人 「会員の紹介…」
 検察官 「で、本件ですが、会員じゃない人も参加できたんですよね? そこから会員になることも可能なんですか?」
 康嗣被告人 「なれますけど、4回やって会員になった人は1人もいません」

 検察官としては、“大人の遠足”は儲けよりも、会員獲得の意味合いが強かったんじゃなかと言いたいようなんだけど、会員数は増えなかったようですね。

 検察官 「バスから車外に向けて(裸を)見せた人もいた、と。止めなかったのはなぜですか?」
 康嗣被告人 「始まってすぐにお酒を飲んでるのもありましたし、そういう空間というのもあって、軽率でした」
 検察官 「でも、止めるべきでしたよね?」
 康嗣被告人 「最初にカーテンを閉めるようには言ってましたが、僕が止めるのは興ざめの行為だろうというのもありました」

 と、正直な思いを語ったところで質問は終了。ま、止めるべきなのは同乗していた捜査員にも言えることなんだけどね。十分にそれだけで逮捕できたわけだし。
 最後は、裁判官からの質問。

 裁判官 「どうやって会員を選んだんですか?」
 康嗣被告人 「紳士的な人を、僕の基準で」
 裁判官 「でも、今回のはあなたの思う人じゃない方が参加するかもしれませんよね」
 康嗣被告人 「はい」

 実際、紳士的うんぬんじゃなく、警察官が入り込んでたわけだし。

 裁判官 「(選んでたら)ビジネスモデルとして成立しませんよね?」
 康嗣被告人 「だから(MASKも)赤字だったんだと思います?」

 儲からず、逮捕されて、起訴とは踏んだり蹴ったりの結末ですな。
 続いては、佐織被告人への質問。

 弁護人 「本件の“大人の遠足”での役割は?」
 佐織被告人 「言われたことをやる、と。集合した人の誘導とかですね」
 弁護人 「MASKではどんなことをしてました?」
 佐織被告人 「インターホンの対応をしたり、お客様に飲み物を出したり」

 康嗣被告人が述べた通り、サポート的な役割だったようです。

 弁護人 「辞めたいと思ってたようですが、そのように考えだしたきっかけはなんですか?」
 佐織被告人 「人と話すのが元々苦手で、康嗣さんと話しているうちに人と話すのが怖くなくなったんですけど、(この仕事に)係わるのが最近、しんどいな、と」

 罪意識からではないようなんだけど、ハプニングバーの仕事は辞めようとしてたようです。この後、反省の弁を述べて、検察官からの質問もあっさりと終了。
 検察官が、康嗣被告人に懲役3月、佐織被告人に懲役2月を求刑して、閉廷でした。
 この手のハプニングバーの裁判はたまーーにあるんだけど、公然わいせつ幇助罪に問われるのがしっくりこないんだよなぁ。風営法で取り締まれないもんなのかね。
 子供の遠足は「バナナがおやつに含まれるのか?」が疑問になるけど、大人の遠足は「風営法違反に含まれないのか?」が疑問だな。

注目の裁判

11月16日(月)被告人・原口悦郎:著作権法違反(初公判)
原口悦郎:著作権法違反(初公判) <映画などを無断で配布した事件> 09年9月、元東京消防庁滝野川消防署員、原口悦郎(当時58)は、08年11月から09年2月にかけ、自宅のパソコンでウィニーを使い映画4タイトルを不特定多数の利用者がダウンロードできるようにしたとして逮捕された。

11月16日(月)被告人・山田利生:強盗(判決)
<元タクシー運転手によるタクシー強盗> 09年9月、元タクシー運転手の山田利生(当時66)は、東京都江東区の路上で、乗っていたタクシーの運転手(当時61)に模造刀を突き付け「金を出せ」と脅し、運賃2150円の支払いを逃れたとして逮捕された。

11月17日(火)被告人・桜井勝己:脅迫(初公判)
<松本人志さんに対する殺害予告事件> 09年9月、埼玉県春日部市の無職桜井勝己(当時35)は、インターネット上の掲示板に「ダウンタウン」の松本人志に対する殺害予告を書き込んだとして逮捕された。

11月18日(水)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。

11月18日(水)被告人・有馬龍之介:恐喝未遂(初公判)
<小6女児から金を脅しとろうとした事件> 09年9月、東京都台東区の文教大学2年、有馬龍之介(当時20)は、8月に書店の書棚に1000円札を置き、それを拾った女児に因縁をつけて現金を脅し取ろうとしたとして逮捕された。

11月18、19、20日(水、木、金)被告人・潮忍:昏睡(こんすい)強盗と準強姦(ごうかん)致傷(初公判)
<女子中学生に睡眠薬を飲ませて暴行した事件> 09年6月、埼玉県和光市のタクシー運転手潮忍(当時36)は、中学1年の女子生徒に睡眠薬を飲ませて暴行し、財布を奪ったとして逮捕された。

11月19日(木)被告人・阪中彰夫:旧証券取引法違反(偽計)
<ペイントハウスの架空増資事件> 09年6月、投資コンサルタント会社ソブリンアセットマネジメントジャパン社長・阪中彰夫(当時58)は、住宅リフォーム会社「ペイントハウス」の株価のつり上げを狙って架空増資を行い、同株を売却して3億円の利益を得たとして逮捕された。

11月20日(金)被告人・中田静子 ほか1名:昏睡強盗、窃盗(判決)
<スナック客に対する昏睡強盗> 09年3月、バー経営の中田静子(当時62)はスナック経営の細江敏光(当時39)と共謀、スナックで男性客に強い酒を飲ませて昏睡状態にさせ、キャッシュカードを奪って現金自動預払機から金を引き出したとして逮捕された。


この記事には全0件の日記があります。


ソーシャルブックマークへ投稿

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • はてなブックマークに追加
  • Buzzurlにブックマーク
  • livedoorクリップに投稿

ソーシャルブックマークとは

阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

最近のエントリー


社会ニュース

記事バックナンバー


政治ニュース

記事バックナンバー


経済ニュース

記事バックナンバー


国際ニュース

記事バックナンバー



社会ニュースランキング



日刊スポーツの購読申し込みはこちら

  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 社会
  3. コラム
  4. 阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」

データ提供

日本プロ野球(NPB):
日刊編集センター(編集著作)/NPB BIS(公式記録)
国内サッカー:
(株)日刊編集センター
欧州サッカー:
(株)日刊編集センター/InfostradaSports
MLB:
(株)日刊編集センター/(株)共同通信/PA SportsTicker Inc

ここからフッターナビゲーションです