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2009年8月10日

中学教師が16歳女子生徒と下半身だけの絆

 初の裁判員裁判が終わった途端、最高裁が作った広報映画「審理」のDVDの配布と貸し出しが中止ですよ。

 裁判員制度のHPで配信していたのに、それも中止。それどころか「審理」に関する情報はすべて削除という徹底ぶり。広報映画としては最新作だし、個人的にも一番見やすくしてあって面白かったから、残念ですね。
 「宣伝は十分に終わった」ってのが理由じゃなく、主演を務めた酒井法子に逮捕状が出されたのが理由なんだけど、まさか「審理」をなかったことにするなんて…。良い作品だから、多くの人に見てもらいたいんだけど。マンモス悲ピーです。

asozan090810.jpg

 さて、今回は8月7日に行われた栗原敏夫被告人(逮捕当時51)の裁判の話。罪名は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反。
 18歳未満と知りながら、現金を渡して少女にわいせつな行為をしたとして、中学校教諭が逮捕、起訴された事件ですね。
 2月19日午後7時頃、埼玉県八潮市の専門学校に通う女子生徒(16)に現金2万円を渡しわいせつな行為をした疑いと、4月4日午後5時頃には、茨城県坂東市のホテルで、この女子生徒と友人の同級生(16)にそれぞれ2万円を渡し、わいせつな行為をした疑いと報じられた。

 女子生徒2人は小遣い欲しさから、昨年10~11月ころ、インターネットの出会い系に「18歳、本番、3万円」を意味する「18本3」と書き込んだところ、栗原から連絡があった。栗原は今年4月まで、2人とそれぞれ15~16回、わいせつ行為に及んだという。
 今年4月、「女子生徒が援助交際をしている」という匿名の情報が寄せられ発覚した。

 現役の中学の先生による犯行と言うことで、大きく報じられた事件です。夏休みで公判が少なく、学生の傍聴人も多かったので、法廷内は満席。何とかキャンセル待ちで傍聴できたのは、証拠調べをやっていた時だったので、そこからの傍聴記です。
 検察官の証拠によると、被告人は報道された2件のほかに、今年の3月9日にも18歳未満の女子生徒に現金2万円を渡して、わいせつ行為をしたと起訴されているようです。
 被告人が所持していたケータイには、女子高生のわいせつな写真データが保存され、被告人の自宅からは女性の下着19枚、セーラー服のタイ9本などが押収されたという。

 被告人は取り調べに対し「平成12年に離婚してから、ソープランドを利用するようになった。女性は20代だと打算的な女性が多く、30代よりはピチピチした方がいいので、10代後半の女性が好き。体も発育し、言うことを聞いてくれるからです」と性癖について答え、「平成17年は学年主任をしていたが、平成18年からは担任もなくなり、責任のある仕事がなくなった。その喪失感から出会い系サイトを利用するようになった。事件になっている3人からは、15~16歳と聞かされて驚いたが、女子高生とセックスしたいという思いがあり、欲望に負けてしまった」と、事件の経緯について供述しているという。
 法廷には、被告人のおじが情状証人として出廷です。

 弁護人 「なぜ、こんなことを起こしたと思いますか?」
 証人 「独身で、性欲処理ができなかったと思います。そして、52歳で担任も持てずに草刈りばかりやらされたと言ってましたので」
 弁護人 「聞きにくい質問ですが、性欲処理については、どう監督していくつもりですか?」
 証人 「いろいろ、話し合っていきたいと思います」

 性欲処理の監督って言われても、聞かれた方も困るでしょうね。
 弁護人 「被告人は懲戒免職になって無職ですが、今後、仕事に関してはどうするんでしょう?」
 証人 「友人が農場をやっていまして、そこを紹介したいと思います」

 再就職のバックアップをしようとしてるんでしょう。ただ、被告人は草刈りばかりさせられたことをグチってたはずでは? ま、農業をやるかは被告人の意志だけど。
 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。

 弁護人 「今、何が悪いのかわかってますか?」
 被告人 「18歳以下の児童と性的関係を持ったということです」
 弁護人 「なぜ、法で規制されると思ってます?」
 被告人 「精神的にも自立していず、判断力がない児童にそういうことをするのは、悪影響を及ぼしますので」
 弁護人 「わかっててなぜやってしまったんですか?」
 被告人 「仕事の先が見えてきたというか、もうやめた方がいいのかなぁと。年下の人に使われるようになって、皆の邪魔になってるんじゃないかと思って」
 弁護人 「それが直接、犯行につながるんですか?」
 被告人 「メールをしているうちにいろんなことで相談を受けるようになって、どんなくだらないアドバイスでも“うん、やってみる”とか返信があって、絆(きずな)が芽生えてきて。それで、自分を止めることができませんでした」

 仕事でのストレスや悩みはあったんだろうけど、犯行自体には全く関係なさそうですね。

 弁護人 「今後、仕事はどうするんですか?」
 被告人 「全国的にも名前が知れ渡りましたし、農業でもやれたらと」

 証人の紹介で働く意志があるようです。

 弁護人 「性欲処理に関しては?」
 被告人 「自分で何とかやるしかないと思います」
 弁護人 「本件は出会い系サイトがきっかけになってますが、ケータイとネットに関しては?」
 被告人 「友達もいませんので、ケータイもネットも使わないようにしたいです」

 と、再犯しないように本件で使用した道具をすべて断つことを約束して、質問終了。
 次は、検察官から。

 検察官 「さっき、絆(きずな)が芽生えてと言ってましたけど、援助交際の目的でメールのやり取りをしていたんじゃないんですか?」
 被告人 「最初は援交目的ではなく、会うつもりで」
 検察官 「会った日に性交したのではないですか?」
 被告人 「それはあります…」

 そして、最後の質問。

 検察官 「この事件をあなたの娘2人が知って、どんな気持ちだと思いますか?」
 被告人 「相当、ショックだと思います」

 冒頭陳述を聞けなかったんで年齢はわからないんだけど、被告人の年齢から判断すると、被害児童と同世代の娘さんでしょうかね。
 次は裁判官からの質問。

 裁判官 「出会い系サイトは、平成18年から利用するようになったですか?」
 被告人 「そうだったと思います」
 裁判官 「別の人と売春はありました?」
 被告人 「何度かありました」
 裁判官 「その中で18歳未満は?」
 被告人 「この娘たちが初めてです」

 他に本件同様のことはしていないと主張です。

 裁判官 「自宅に女性用の下着があったようですけど、いつから集めてたんですか?」
 被告人 「2年くらい前から」
 裁判官 「どんな人から買うんですか?」
 被告人 「(出会い系サイトで)売ります、とか、買ってくださいって言う人から」
 裁判官 「買う時に会って性交するんですか?」
 被告人 「(会ったときに)そう言ってくる人もいましたが」
 裁判官 「セーラータイが自宅にあったってのも、そういう理由ですか?」

 この手の事件で、自宅に女性の下着があってというケースは少なくない。理由は被告人が答えた通りなんだけど。でも、セーラー服のタイを持ってるってのは、初耳ですね。裁判官も不思議に感じたんでしょう。最近は、タイを売る女子高生もいるのかなぁなんて思ってたら、

 被告人 「いや、それは雑貨屋さんで買いました」
 裁判官 「いつから買ってたんですか?」
 被告人 「1年か、半年前。特売してたんで」
 裁判官 「1つずつ?」
 被告人 「まとめて…」

 安かったので、衝動買いしたみたいですね。セーラータイ9本も買って、何をしようとしてたのかは謎だけど。
 そして、最後に、

 裁判官 「立場上、先生として、教え子のちょっと(年齢が)上の児童とこういうことをした、と。今、どう思ってます」
 被告人 「働いた人たちに迷惑かけてしまったと思ってます」
 裁判官 「…学校の子供たち対しては?」
 被告人 「信頼を裏切ってしまったというのはあります」

 元々、それだけ信頼されてたのはわからないけど、元職場である学校関係者への謝罪の言葉を述べて質問終了。検察官が懲役1年6月を求刑して、閉廷でした。
 仮に、この被告人が学年主任か担任の職務にあれば、犯行に至らなかったような…。どんな形であれ、10代の児童との絆(きずな)を求めてた気もするんだけど。それが下半身だけの絆になってしまったのは、残念としか言いようがありません。

※写真は酒井法子容疑者。まさかこの人のために「審理」が見られなくなるとは…(1988年撮影)

*今週はお盆で裁判が少ないため、17日の更新はお休みさせていただきます。次回の更新は24日です。

注目の裁判

11月24日(火)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。

11月24日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。

11月24日(火)被告人・板垣宏 十亀弘史 須賀武敏:爆発物取締罰則違反
<迎賓館などにロケット弾が発射された事件> 1986年に迎賓館などにロケット弾が発射したとして、中核派の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏が逮捕された。1審では証拠不十分で全員が無罪とされたが、2審では無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。上告審も2審判決を支持し、1審に差し戻された。

11月24日(火)被告人・松田真知:銃刀法違反など(控訴審初公判)
<大量の拳銃や実弾を密輸した事件> 06年1月、指定暴力団稲川会系松田組組長、松田真知は幹部の後藤広一らと共謀して拳銃11丁、実弾220発などを密輸したとして逮捕された。1審で無期懲役、罰金400万円(求刑無期懲役、罰金500万円)を言い渡された。

11月25日(水)被告人・寺岡誠吉:殺人
<運送会社役員を殺害した事件> 08年12月、運送会社社長の寺岡誠吉(当時71)は、元暴力団組員に依頼して06年9月に同社役員の栩野雅晴さん(当時66)を殺害させたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・竹田慶介:公然わいせつ(初公判)
<路上で下半身を露出した事件> 09年10月、東京都豊島区の学習塾経営、竹田慶介(当時27)は同年9月に同区内の路上でズボンを降ろして下半身を露出し男子中学生3人に見せたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・小川俊之:爆発物取締罰則違反(控訴審判決)
<皇居に向かって火薬を詰めた消火器を発射した事件> 08年9月、神奈川県相模原市の元陸上自衛隊員の小川俊之(当時34)が、火薬を詰めた消火器を皇居に向けて発射したとして、逮捕された。

11月26日(木)被告人・原田久:威力業務妨害(初公判)
<サラ金の業務を妨害した事件> 09年10月、愛知県岡崎市の無職、原田久(当時38)は、消費者金融「レイク」のコールセンターに約500回電話をかけ、女性オペレーターにひわいな言葉をかけたとして逮捕された。女性の体の一部を表す言葉などをかけて業務を妨害したという。

11月26日(木)被告人・小川美津子、他2人:昏睡(こんすい)強盗と保護責任者遺棄(初公判)
<スナック経営者による昏睡強盗事件> 09年2月、東京都渋谷区のスナック経営、小川美津子(当時73)ら男女4人は、スナックで男性客に酒を飲ませて泥酔させ、キャッシュカードを盗んで路上に放置したなどとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・松原弘樹:強盗(初公判)
<自衛隊員による強盗事件> 09年9月、陸上自衛隊第1空挺団(千葉県船橋市)の陸士長松原弘樹(当時21)らは、東京・六本木のビル敷地内で飲食店従業員男性(当時22)を倒し、顔を殴るなどして現金約13万円入りの財布を奪ったとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・植本勝也、井福一郎、他1人:児童買春・ポルノ処罰法違反(初公判)
<暴力団員らによる児童ポルノ販売事件> 09年9月、大阪府守口市の指定暴力団山口組系暴力団組長井福一郎(当時61)と大阪市西淀川区の無職植本勝也(当時43)は、インターネットで児童ポルノのDVDを販売したとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。

11月27日(金)被告人・高相祐一:覚せい剤取締法違反(所持、使用)(判決)
<酒井法子の夫の覚せい剤事件> 09年8月、自称プロサーファーで、女優酒井法子の夫、高相祐一(当時41)は、東京都渋谷区の路上で覚せい剤を所持していたとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(初公判)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。


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阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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