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2009年6月15日

裸の写真と執行猶予をお願いします

 司法記者クラブが6月12日、裁判員の記者会見実施方法について東京地裁と合意しました。判決の後に、地裁側が裁判員に対し、会見に参加するか、氏名を公表するか、会見の冒頭2分間のカメラ撮影に応じるかなど確認するそうな。

 で、気になるのが、裁判員法の101条。
 「何人も、裁判員(中略)であった者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報についても、本人がこれを公にすることに同意している場合を除き」公にしちゃいけないって書いてあるんですよね。傍聴してて、裁判員が誰か分かったとしても、本人のOKがなければしゃべっちゃいけないわけ。

 で、会見に参加した裁判員って、公にすることに同意したって扱いになるのかね? やっぱり、個人的に連絡をして同意してもらわないとダメなのかね? 記者会見で氏名も公表してる裁判員がニュースや新聞に出てるのに、合意してもらった人しか公表しちゃいけないのかなあ。傍聴した人やニュースを見た人にまで規制がかるルールって変な話だね。開かれた司法を掲げてる制度なのにねぇ…。

 今回は、6月10日に行われた鈴木顕二郎被告人(逮捕時33)の裁判傍聴記。罪名は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反。女子中学生に裸の写真をメールで送らせたとして、会社員が逮捕されたという事件ですね。
 報道によると昨年12月8日から18日の間、当時中学2年の女子生徒(14)に、自分の裸の画像を携帯電話のメールに送らせて保存した疑い。出会い系サイトを通じて女子生徒と知り合い、数十枚の画像を送らせたとか。
 最近増えてきている、ケータイを利用した児童ポルノの事件です。
 起訴されたのは、去年12月17~18日の間、17回に渡り、被告人は女子児童に全裸や乳房を露出させた姿で、携帯電話を使って静止画・動画を撮影させ、データを送信させて児童ポルノを作成した、という内容。

 報道されたよりは、期間が短くなってますね。起訴以前の画像は児童ポルノに該当しないソフトな内容だったのかも知れませんね。検察官の冒頭陳述によると、被告人は罰金前科が2犯あるという。そして、去年の12月にケータイサイトのGREEで本件の女子児童と知り合い、メールアドレスを教えあった後、何度かメールのやり取りをしていたらしい。

asozan090615.jpg

 それで被告人は、児童が中学生であることが分かったが、裸体を撮影して画像を送るよう伝えると、児童は承諾して撮影し、画像を送信。本件を知った児童の母親が被害届を提出して、被告人が逮捕された、というのが事件の詳細です。

 取り調べに対し被告人は「乳房や陰部が写った画像データは50枚以上保存していた。児童とは12月25日に会ってセックスする約束をしていたが、急に連絡が取れなくなった」と、述べているらしい。連絡がつかなくなったのは、児童の母親が気付いたからなんだけど、会う予定があったようですね。

 法廷には、被告人の母親が情状証人として出廷し、今後の監督を約束していました。
 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。いきなり、前科が明かされました。

 弁護人 「2年前、未成年と性交したとして、(青少年の健全な育成に関する)条例違反で罰金刑を受けましたよね? そして、またもや若い女の子と接触した、と。なぜ、いけないのか分かってますか?」

 どうやら2年前は、本件では実現しなかった未成年者との性交で有罪判決を受けてたようです。この質問に対して、

 被告人 「未成年…の…守って…」

 と、前刑のことを言われたのが恥ずかしかったのか小さな声で返答。すると、裁判官が

 裁判官 「もっと大きな声で言ってくださいね!」

 と、注意して、被告人のボリュームがアップです。

 弁護人 「児童ポルノをつくったことが罪に問われてますけど、法に触れてると思ってました?」
 被告人 「薄々は分かってました」
 弁護人 「何故、悪いと知っててやったんですか?」
 被告人 「自分の欲望を満たすために、送らせました…」
 弁護人 「あなたのほうが年上で社会人でもあるんだから“14歳でこんなサイト利用しちゃダメだ”って注意すべきでしょう」
 被告人 「深く考えずにやっていました」

 事件の性質上バレにくいってこともあって、こんな大事になるとは思ってなかったんでしょう。

 弁護人 「そそのかして、ホントに画像送ってくると思ってました?」
 被告人 「思ってませんでしたが、届いたので(次々)送らせてしまいました」
 弁護人 「規範意識が欠けてるんじゃないですか?」
 被告人 「社会人として自覚を持たなきゃいけない年齢なのに、自分が許せないです」
 弁護人 「今後、女の子に悪影響があると思いますよ」
 被告人 「ホントに酷いことをしたと思ってます」

 と、反省の弁を述べたところで、新事実が発覚です。

 弁護人 「本件が発覚して、離婚しましたね?」
 被告人 「私のような犯罪を犯した人間と一緒にいるのは辛いだろうし、(向こうの)親にも迷惑かけましたので、(離婚を)決意しました」

 奥さんに逃げられてしまったようです。送られてきたメール添付のデータの代償は大きいですね。
 次は、検察官からの質問。

 検察官 「2年前の事件ですけど、相手とはどうやって知り合ったんですか?」
 被告人 「ケータイサイトです」

 検察官は、今回の事件より、前刑の方が気になってるようです。似たようなきっかけだから、再犯の可能性が高い、懲りてない、と言いたいんでしょう。

 検察官 「悪いとは思ってたって答えてましたけど、性交の約束までしてるのは、おかしくないですか?」
 被告人 「メールでやり取りしているうちに、常軌を逸した欲望でこうなってしまいました」

 と、弁護人からの質問同様、欲望を抑えきれなかったと述べていました。
 最後は、裁判官から。

 裁判官 「相手が14歳、と。う~ん、どういう意味があるんですか?」
 被告人 「最初は年齢が分からなくて、メールのやり取りで分かったんです」

 14歳の意味を聞くという変な質問に、年齢を知った経緯を語る被告人。全く噛み合ってないような…。

 裁判官 「14歳の人を選んだ訳ではない、と?」
 被告人 「ではないです」
 裁判官 「前科も相手が18歳未満ですけど、たまたまなんですか?」
 被告人 「そうです!」

 たまたまって認識では、同じことを繰り返しかねない気が…。

 裁判官 「会社は解雇されてないんですね?」
 被告人 「はい」
 裁判官 「判決によって処分が変わってきたりするんですか?」
 被告人 「刑務所に入らないでいいのなら、働かせて頂ける、と」

 と、逮捕で妻には逃げられたものの、執行猶予付きの判決なら仕事はなくならない、と懇願していました。会社にそう言われたんだろうけど、そんなお願いって…。
 この後、検察官が懲役1年6月を求刑して、閉廷でした。
 女子児童にお願いして画像が届いたように、判決も被告人の望み通りの判決が出ますかどうか…。

※携帯電話の出会い系サイトでは売春と思われる書き込みが今日も…(写真は本文とは関係ありません)

注目の裁判

2月8日(月)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。

2月8日(月)被告人・桑原武:殺人
<妻の悪口を言われ交際女性を殺害した事件> 09年4月、東京都江東区の無職、桑原武(当時30)は、中野区のマンション室内で、交際していた女性(当時32)の首を絞めて殺害したとして逮捕された。交際女性に妻の悪口を言われて腹を立てたのが原因と供述した。

2月8日(月)被告人・広田悠祐、広田駿祐:集団準強姦(ごうかん)未遂
<女子大生を集団で暴行しようとした事件> 09年11月、東京都大田区の青学大2年の広田悠祐(当時21)、双子の兄で日本大1年駿祐(当時21)、日本大1年の男子学生(当時19)は、トランプゲームを悪用して女子大生を泥酔させ、集団で暴行しようとしたとして、逮捕された。

2月8日(月)被告人・塚本健一:児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)、強要未遂(初公判)
<女子中学生にわいせつ画像を送らせた事件> 09年10月、東京都足立区の会社員、塚本健一(当時40)は同年9月に女子中学生に上半身裸の写真を撮影させて、自分の携帯電話に送らせた容疑で逮捕された。

2月9日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布容疑
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。

2月9日(火)被告人・別府信哉:強姦
<痴漢行為の後に暴行した事件> 09年10月、東京都町田市の会社員・別府信哉(当時49)は、私鉄電車内で乗り合わせた高校1年生の女子生徒の体を触るなどの痴漢行為をした。その後、新宿駅ホームで腹部を1回殴り、脅迫して改札をともに出た後、約200メートル離れた公衆トイレに連れ込んだ上で、乱暴したとして逮捕された。(「チカンの後に強姦は…してません」参照)

2月9日(火)被告人・森雅登、ほか1人:公然わいせつ
<チャットサイトでわいせつ動画を閲覧させた事件> 09年10月、アダルトサイト運営会社「マッシュアップ」(東京都新宿区)の社長森雅登(当時48)は、インターネットのチャットサイトで不特定の利用客に、女性のわいせつな姿の動画を閲覧させたとして逮捕された。

2月10日(水)被告人・大矢泰宏:著作権法違反
<歌謡曲をネット上に流出させた事件> 09年11月、長野市の建材会社社員、大矢泰宏(当時47)は匿名性を保ったままファイルの交換が行えるソフトを使い、歌謡曲をインターネット上に流出させた容疑で逮捕された。

2月10日(水)被告人・菅野昭一:殺人など(控訴審初公判)
<八王子駅ビルの無差別殺傷事件> 08年7月、元会社員菅野昭一被告(当時33)は、京王八王子駅ビルの書店内でアルバイト店員ら女性2人が刃物で殺傷した。1審で無期懲役の判決を受けた。

2月12日(金)被告人・牧野昌哉:法人税法違反
<芸能事務所による脱税事件> 09年8月、芸能事務所の「アバンギャルド」の牧野昌哉(当時41)は、架空請求で法人税約3億4500万円を免れた疑いで逮捕された。同事務所は真鍋かをり、小倉優子らが所属している。


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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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