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2009年4月27日

56歳町議の超露骨な迫り方に29歳女性の怒り

 4月20日に、最高裁が面白い報告書を公表しましたね。それは、裁判員を務めるのに差し支える事例の聞き取り調査。
 最終的には裁判官の判断で辞退が認められるんだけど、事例がなかなか興味深いです。

 ・金融業(トレーダー)--相場が乱高下した場合など、市場動向を見守る必要があるため。
 ・マージャン店のプロ雀師--店や地方の大会が年に20回程あるため。
 ・アマチュアビーチバレー選手--国内で年間8大会程あり、代わりのペアを探すのが困難なため。

 こんな事言い出したら、どんな職業でも辞退出来そうな気が…。
 もっと気になる事例を3つ。
 ・派遣労働者(一般事務)--出勤日数が少ない月の収入が減少するため。
 ・派遣労働者(製造業)--契約期間満了後、新たな就職活動の必要があるため。
 ・6才未満の子どもがいる共働き夫婦--入園式などの行事に、子どもが両親の参加を望んでいるため。

 派遣はお得ですね。最後に至っては、子どもをダシに断ろうとしているような…。こうなってくると、抽選で選ばれた中から、希望者を裁判員に選出するようなもんですね。4~5年は、ほぼ強制って強気だったのに、ルールは変わらずに骨抜き化してるって、面白いな。

 今回は、4月24日に行われた、田上原一被告人の裁判傍聴記。罪名は、強姦未遂。事件は現役の町議によるわいせつ事件ということで大々的に報じられましたね。
 報道によると、熊本県和水町の町議だった田上原一(逮捕当時56)は08年10月、東京都内で開かれた監査委員の全国研修会に出席。ホテルで同行した団体職員の女性の部屋を訪れ、抱きついたり、胸を触ったりしたとして、強制わいせつの疑いで逮捕された。田上はその月の中旬に議員辞職している。

 逮捕時は強制わいせつ事件ってことで報じられたんだけど、起訴は強姦未遂になってました。検察としては、強姦の意思があったと判断したんでしょう。
 まずは、3月13日に行われた初公判。
 この裁判は、被害者参加制度が採用されていました。しかし、事件の性質上、つい立てありなので、検察官側に大きなつい立てが置かれて被害者はもちろん、検察官の姿すら見えないという珍しい法廷です。

 起訴されたのは、去年の10月7日午後9時から10分間、港区内のホテル客室内で、被告人が被害女性(29)の左肩を強くつかみ寄せ、乳房を揉んで馬乗りになり、服を脱がせて姦淫しようとしたが、抵抗された為に未遂に終わったという内容。
 これに対し、被告人は罪状認否で

 被告人 「(事実は)言われた通りです。ただ、強姦しようとは思っておりませんでした。」

 と、一部否認です。

 検察官の冒頭陳述によると、被告人は平成11年から町議会議員をしていたという。犯行当日。被告人と被害女性を含めた7人は、監査委員の研修の為、上京。仕事が終わり、全員で焼肉屋へ行った後、被告人は嫌がる被告女性を誘って、2人で居酒屋へ。
 その後、皆が泊まってるホテルのロビーに戻り、被告人は「話があるけん、部屋に行っていいかい?」と被害女性に迫り、断ると立場が悪くなりクビになるかも…と考えた被害女性は、しぶしぶ了解。

 部屋に入ると、被告人は被害女性の肩をつかみ寄せて「よかたい」「抱きたか」と性交をせまった。しかし、被害女性が激しく抵抗。すると、被告人は馬乗りになり起訴状に書かれた行為をしたとのこと。性交することを諦めた被告人は、自分の股間を指差し「こなんなっとる。自分の部屋でさなん程むなしいものはない、触ってくれ」と言って、股間を触らせて部屋を出て行ったという。

 その2日後。被害女性は恥ずかしく被害を黙っていたが、被告人から「今、新宿アルタ前にいるんだ。また会おうね」と職場に電話があったため、逃げられないと思い、被害届を出した。…というのが事件の詳細です。
 新聞によっては、セクハラみたいな記事だったんだけど、パワハラを利用した強姦未遂事件といった方が正しいかもしれませんね。
 法廷には、被告人の幼なじみの男性が情状証人として出廷です。まずは、弁護人から。
 弁護人 「被告人の人柄は?」
 証人 「声も大きく、ざっくばらんです。」
 弁護人 「性格はどうですか?」
 証人 「あけっぴろげな性格だと思います。思ったことはすぐ言う人で…。」

 と、およそプラス材料とは思えない証言が続きました。
 次は、検察官から。

 検察官 「どうやって事件を知りました?」
 証人 「テレビに出てたと家内に言われて、翌日新聞に載ってたので。」
 検察官 「どういう報道でした?」
 証人 「議員さんが出張中にセクハラ…」
 検察官 「セクハラって書いてました?」
 証人 「思ったことをすぐ言うんでねぇ。セクハラととられても仕方ないと思います」
 検察官 「仕方ないという認識なんですか?」
 証人 「そうですねぇ…」

 報道だけで判断するなら分かるけど、検察官の冒頭陳述聞いて、その答えはないでしょ。今後監督していく人がこれでは、ちょっと不安だ。
 この日は、これで閉廷。
 そして4月24日の第2回公判。被告人質問が行われました。まずは、弁護人から。

 弁護人 「当日、どの位飲んでました?」
 被告人 「ビールをジョッキで5~6杯、その後(の二次会で)2杯、日本酒2~3合」
 弁護人 「酔ってました?」
 被告人 「酔っ払ってたと思います」
 弁護人 「調書では細かく覚えているようですが」
 被告人 「覚えてない事は“覚えてない”と言ったんですが、警察の方が“被害者はこう言っとるよ”とおっしゃるので“それならそうでしょう”と答えていました」

 取調官の言うことにうなずいていたので、ハッキリと記憶があるような調書になっている、という主張です。だから、姦淫する意思があったのかなかったのか、意見が割れてるんでしょう。

 弁護人 「では、被害女性の部屋に入ってから、覚えていることを教えて下さい」
 被告人 「3階の部屋に入ると、小さなテーブルとイスがありました。その上に灰皿があって2~3本の吸いがらがありました。あと、ペットボトルが置いてあって、水だと思いますが、3分の1ほど残ってました。それでイスに座らせて頂きまして、水を飲んでから、被害者さんに対して、行為をしてしまいました」
 弁護人 「その後、覚えてるのは?」
 被告人 「覚えておりません。気付くと(自分の部屋のベッドで)そのままの格好で、朝、目が覚めました」

 細かい点は覚えているのに、争点となる重要な部分は全く覚えてないようです。それなのに、強姦の点を否認してるのは、なぜなんだ?

 弁護人 「被害者とセックスしようという気持ちは?」
 被告人 「あったと思います」
 弁護人 「意思に反してでも、と考えてました?」
 被告人 「それはありません」

 酔って記憶がないので、ほとんどの質問を「思います」で答えてたのに、ここは断言なんですね。

 弁護人 「何度も“よかたい”と言っていたようですが、熊本弁ですね? どういう意味ですか?」
 被告人 「いいでしょ、という意味です」
 弁護人 「セックスについて承諾してほしい、と?」
 被告人 「はい」
 弁護人 「その後、自分の部屋に帰ったのは?」
 被告人 「無理だ、と。それで帰ったと思います」

 う~む。やっぱり、一部否認の根拠がないんだよなぁ。今まで生きてきた常識から強姦なんてするはずがないってことなんでしょうか。
 次は検察官からの質問なんだけど、調書の確認が軸になってたので、省略。
 その後が、被害者参加弁護人からの質問です。

 被害者参加弁護人 「多数の取材受けたようですけど、包み隠さずホントのこと話しました?」
 被告人 「はい。話しました」
 被害者参加弁護人 「報道では服の上から、と。いわゆるセクハラ、と。内容は確認してますよね? 事件を軽くしようとしてませんか?」
 被告人 「そういう意思は全くありません」 
 と、メディアを使って、罪を軽くみせようとしてたんじゃないかと言及してました。続いて裁判官からの質問。

 裁判官 「なぜ、セックスの承諾が無理だと思ったんですか?」
 被告人 「抵抗も酷かったんだろうな、と」

 裁判が始まってから「だろう」「思う」を繰り返す被告人に対し、

 裁判官 「なんでそんなに覚えてないんですか?」
 被告人 「酒のせいにはしたくないんですけど、ある程度飲んでたから忘れたのではないかと、今は考えてます」
 裁判官 「親しくない女性とセックスしようとしたことはあるんですか?」
 被告人 「全くなかったとは言いません」
 裁判官 「それは、いつですか?」
 被告人 「ずい分前になりますけど、お金で買った、と」
 裁判官 「それは商売の方?」
 被告人 「はい」

 と裁判官が似たようなことを他にもやってるんじゃないかと疑ったところで、質問終了。
 最後は、被告人の妻が情状証人として出廷です。弁護人が初公判の時の証人だけじゃ頼りないと思ったのか、被告人質問の後に、追加する形で証人尋問が行われました。

 弁護人からの質問は情状として成立してたんだけど、検察官からの質問では、被告人の過去の不倫の話を聞かれ、女癖の悪さが際立つ結果に…。
 この後、被害者参加人がつい立て越しに「今日、被告人の話を聞いて、反省してないと思いました」などの意見陳述があり、検察官が懲役4年を求刑して、閉廷でした。

 文字で伝わらないのが残念なんだけど、被告人の言葉の端々に反省してない感じがにじみ出てるんだよなぁ。罪に問われてる部分を覚えてないからなのか、悪いと思ってないのか。

 被告人は被害女性に送った謝罪文の中に「今回のことは忘れて下さい」とか「もう一度、私に(立ち直る? 出馬する?)チャンスを下さい」なんてことを書いてたらしい。ふてぶてしいと言うか、自分本位と言うか。デリカシーのない人なんでしょう。全文は読み上げられなかったけど、謝罪文の文言としては聞いたことがないですね。
 事件も中途半端に伝えるだけで終わらせる新聞もよくないよなぁ。続報がないと、世間も被告人も、セクハラ程度の事件だと思って終わりだからねぇ。

注目の裁判

11月24日(火)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。

11月24日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。

11月24日(火)被告人・板垣宏 十亀弘史 須賀武敏:爆発物取締罰則違反
<迎賓館などにロケット弾が発射された事件> 1986年に迎賓館などにロケット弾が発射したとして、中核派の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏が逮捕された。1審では証拠不十分で全員が無罪とされたが、2審では無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。上告審も2審判決を支持し、1審に差し戻された。

11月24日(火)被告人・松田真知:銃刀法違反など(控訴審初公判)
<大量の拳銃や実弾を密輸した事件> 06年1月、指定暴力団稲川会系松田組組長、松田真知は幹部の後藤広一らと共謀して拳銃11丁、実弾220発などを密輸したとして逮捕された。1審で無期懲役、罰金400万円(求刑無期懲役、罰金500万円)を言い渡された。

11月25日(水)被告人・寺岡誠吉:殺人
<運送会社役員を殺害した事件> 08年12月、運送会社社長の寺岡誠吉(当時71)は、元暴力団組員に依頼して06年9月に同社役員の栩野雅晴さん(当時66)を殺害させたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・竹田慶介:公然わいせつ(初公判)
<路上で下半身を露出した事件> 09年10月、東京都豊島区の学習塾経営、竹田慶介(当時27)は同年9月に同区内の路上でズボンを降ろして下半身を露出し男子中学生3人に見せたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・小川俊之:爆発物取締罰則違反(控訴審判決)
<皇居に向かって火薬を詰めた消火器を発射した事件> 08年9月、神奈川県相模原市の元陸上自衛隊員の小川俊之(当時34)が、火薬を詰めた消火器を皇居に向けて発射したとして、逮捕された。

11月26日(木)被告人・原田久:威力業務妨害(初公判)
<サラ金の業務を妨害した事件> 09年10月、愛知県岡崎市の無職、原田久(当時38)は、消費者金融「レイク」のコールセンターに約500回電話をかけ、女性オペレーターにひわいな言葉をかけたとして逮捕された。女性の体の一部を表す言葉などをかけて業務を妨害したという。

11月26日(木)被告人・小川美津子、他2人:昏睡(こんすい)強盗と保護責任者遺棄(初公判)
<スナック経営者による昏睡強盗事件> 09年2月、東京都渋谷区のスナック経営、小川美津子(当時73)ら男女4人は、スナックで男性客に酒を飲ませて泥酔させ、キャッシュカードを盗んで路上に放置したなどとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・松原弘樹:強盗(初公判)
<自衛隊員による強盗事件> 09年9月、陸上自衛隊第1空挺団(千葉県船橋市)の陸士長松原弘樹(当時21)らは、東京・六本木のビル敷地内で飲食店従業員男性(当時22)を倒し、顔を殴るなどして現金約13万円入りの財布を奪ったとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・植本勝也、井福一郎、他1人:児童買春・ポルノ処罰法違反(初公判)
<暴力団員らによる児童ポルノ販売事件> 09年9月、大阪府守口市の指定暴力団山口組系暴力団組長井福一郎(当時61)と大阪市西淀川区の無職植本勝也(当時43)は、インターネットで児童ポルノのDVDを販売したとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。

11月27日(金)被告人・高相祐一:覚せい剤取締法違反(所持、使用)(判決)
<酒井法子の夫の覚せい剤事件> 09年8月、自称プロサーファーで、女優酒井法子の夫、高相祐一(当時41)は、東京都渋谷区の路上で覚せい剤を所持していたとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(初公判)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。


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阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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