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2009年4月13日

モデル募集して乱暴の男の控訴理由

 先週、最高裁が08年の事件を対象にして、裁判員に選ばれる確率を発表しました。
 補充裁判員が2人選出されるとして、1事件につき8人が選ばれる前提で、裁判員に選ばれる確率が一番高いのが高知県。有権者の3119人に1人の確率らしい。次いで、福岡県、山梨県、大阪府、千葉県がトップ5となっています。

 逆に、一番選ばれにくいのは、山形県。有権者1万7426人に1人の確率。次いで、富山県、石川県、秋田県、岩手県の順。
 都道府県によって、差が大きく開いていますね。選ばれたくない人は、山形に引っ越しするのも手ですかね。
 ちなみに、件数が一番多いのは東京都で259件。次いで、大阪府、千葉県、福岡県、愛知県という順番になっています。これは人口に比例していますね。 
 これだけ多いと、数か月もしたら東京地裁では、裁判員裁判は珍しくもないって状況になるんでしょうね。なんか、不思議。

 さて、今回は4月8日に行われた中村春聴被告人(逮捕当時28)の控訴審初公判。罪名は、強姦、恐喝未遂。携帯電話サイトに「モデル募集」と偽の広告を出し、応募した女性に乱暴したとされる事件ですね。

 逮捕当時の報道によると、中村は08年7月22日午後、広告に応募した10代の女性をスタジオに誘い、モデル代として現金約6万円を渡して信用させた上で、撮影を装い手錠を掛けて乱暴。さらに女性から現金7万円を奪ったとして逮捕された。

 ニュースとしては続報がなかったので、ソースとしてはここまで。なので、他の起訴された事件は08年10月23日に行われた第1審の初公判から。

 08年の7月29日。報じられた事件と同様の手口で、応募してきた20歳代女性と性交し、撮影。その際女性の財布と学生証を奪い、後日、被告人は「ハレンチなDVテープが手元にあります。1本20万円です」と女性に対し、ケータイでメールを送信。しかし、女性が通報したため、未遂に終わった。

 というわけで、前記の通り、強姦と窃盗と恐喝未遂での起訴になっています。実際は、12月の第2回公判で追起訴があったんだけど、傍聴していないので。起訴されたのは、全部で5つの事件らしい。

 罪を認めていた被告人が控訴した理由は3つ。1つは最初から強姦するつもりだったと判断した判決の事実確認。2つ目は、恐喝未遂の自首の成立。3つ目は1審の判決後に示談が成立したこと。
 3つ目は今回の判決に大きく影響するだろうけど、事実確認と自首の成立とは?
 まずは、弁護人からの質問。

 弁護人 「第1審の判決では、(報道された事件に関して)最初から強姦するつもりとなってるけど、そのつもりはありました?」
 被告人 「全くもって、そのつもりはありません」
 弁護人 「今までいろんな女性をホテルなどに誘って性交渉してますけど、すべて了解の上だったんですか?」
 被告人 「すべて了解を得ていたと認識しています」
 弁護人 「契約書のようなものを書くんですか?」
 被告人 「以前働いていた(アダルトビデオ制作)会社の経験から、女性にサインをしてもらい、場合によってはビデオを撮影するようにしていました」
 弁護人 「本件で了解を得なかったのはなぜですか?」
 被告人 「当日、予定してた女性と連絡が取れなくなり、ケータイサイトで募集をし、今回の被害者がモデルになりました。そのため撮影時間が大幅に遅れ、スタジオも借りているので、時間的な焦りがありまして、ギャラとしては高い6万円を渡しました。さらに、頑張れば20万円をと提示した時点で了解していると思っていました」

 ギャラ20万円を提示してから性交渉をしたので、了解済みと思っていた、という主張のようです。
 次は、自首について。

 弁護人 「取り調べの時に、恐喝未遂のことは何か聞かれました?」
 被告人 「他にもやってないかと言われました」
 弁護人 「それで、あなたが上申書を書いたりしゃべったのは?」
 被告人 「逮捕されてすぐです。私は、直後に言いました」

 捜査が及ぶ前に自らしゃべったと主張です。
 このあとは、示談の経緯や反省の弁を述べて、質問終了。
 次は、検察官から。

 検察官 「逮捕時、自宅からパソコンが押収されてますよね?」
 被告人 「はい」
 検察官 「(恐喝未遂で使用した)脅迫文や女性のアドレスは、そのパソコンに入ってた、と」
 被告人 「はい」

 明言はしないものの、被告人が恐喝未遂の件を告白する前に警察は知ってたとにおわせていました。

 検察官 「あなたが繰り返しやっていたのは、ウソを言って、セックスしていた、と」
 被告人 「すべて、そうではありません」
 検察官 「中には、あったってこと?」
 被告人 「はい」

 そして、検察官が最後に強姦に関して、質問です。

 検察官 「強姦になるならないは別にして、あなたがしてきたことは社会的に見たら、極悪非道と言いますかね。合意したとかしてないとか言ってられないんじゃないですか?」
 被告人 「その通りだと思ってますが」

 と、被告人の行為自体を非難していました。取り調べで被告人が「記事を見て、やり逃げセックスをしようと考え、月2回のペースで行っていた」と供述しているらしいので、起訴されてない件も含め、怒りの一言だったんでしょう。
 最後は、裁判官からの質問です。

 裁判官 「先ほど“20万円で了解したと思った”と言ってましたが、どういうことですか?」
 被告人 「20万円を見せて、頑張ればもう少し払うから、と」
 裁判官 「んーー。あと“恐喝やった”というのは、(警察と被告人)どちらが先に言い出したんですか? パソコンに入っていた脅迫文見せられて“この変なのは何だ?”って感じ?」
 被告人 「“変なもの何だ?”とは言われてないですけど、“他に強姦なり、悪いことしてないか?”と聞かれたので、“窃盗と恐喝やりました”と言ったんですが、“今は(強姦以外の話は)いいから”と」

 どうやら、取り合ってくれなかったようですね。これは、自首が成立するのかなぁ。
 警察も多少は証拠をつかんでたけど、その前に被告人が罪を白状してる感じですかね。で、調書にしてくれなかった、と。警察としては“今、調べているから”って感じだったのかもしれないですね。
 果たして、高裁の判断はいかに。

注目の裁判

11月24日(火)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。

11月24日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。

11月24日(火)被告人・板垣宏 十亀弘史 須賀武敏:爆発物取締罰則違反
<迎賓館などにロケット弾が発射された事件> 1986年に迎賓館などにロケット弾が発射したとして、中核派の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏が逮捕された。1審では証拠不十分で全員が無罪とされたが、2審では無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。上告審も2審判決を支持し、1審に差し戻された。

11月24日(火)被告人・松田真知:銃刀法違反など(控訴審初公判)
<大量の拳銃や実弾を密輸した事件> 06年1月、指定暴力団稲川会系松田組組長、松田真知は幹部の後藤広一らと共謀して拳銃11丁、実弾220発などを密輸したとして逮捕された。1審で無期懲役、罰金400万円(求刑無期懲役、罰金500万円)を言い渡された。

11月25日(水)被告人・寺岡誠吉:殺人
<運送会社役員を殺害した事件> 08年12月、運送会社社長の寺岡誠吉(当時71)は、元暴力団組員に依頼して06年9月に同社役員の栩野雅晴さん(当時66)を殺害させたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・竹田慶介:公然わいせつ(初公判)
<路上で下半身を露出した事件> 09年10月、東京都豊島区の学習塾経営、竹田慶介(当時27)は同年9月に同区内の路上でズボンを降ろして下半身を露出し男子中学生3人に見せたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・小川俊之:爆発物取締罰則違反(控訴審判決)
<皇居に向かって火薬を詰めた消火器を発射した事件> 08年9月、神奈川県相模原市の元陸上自衛隊員の小川俊之(当時34)が、火薬を詰めた消火器を皇居に向けて発射したとして、逮捕された。

11月26日(木)被告人・原田久:威力業務妨害(初公判)
<サラ金の業務を妨害した事件> 09年10月、愛知県岡崎市の無職、原田久(当時38)は、消費者金融「レイク」のコールセンターに約500回電話をかけ、女性オペレーターにひわいな言葉をかけたとして逮捕された。女性の体の一部を表す言葉などをかけて業務を妨害したという。

11月26日(木)被告人・小川美津子、他2人:昏睡(こんすい)強盗と保護責任者遺棄(初公判)
<スナック経営者による昏睡強盗事件> 09年2月、東京都渋谷区のスナック経営、小川美津子(当時73)ら男女4人は、スナックで男性客に酒を飲ませて泥酔させ、キャッシュカードを盗んで路上に放置したなどとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・松原弘樹:強盗(初公判)
<自衛隊員による強盗事件> 09年9月、陸上自衛隊第1空挺団(千葉県船橋市)の陸士長松原弘樹(当時21)らは、東京・六本木のビル敷地内で飲食店従業員男性(当時22)を倒し、顔を殴るなどして現金約13万円入りの財布を奪ったとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・植本勝也、井福一郎、他1人:児童買春・ポルノ処罰法違反(初公判)
<暴力団員らによる児童ポルノ販売事件> 09年9月、大阪府守口市の指定暴力団山口組系暴力団組長井福一郎(当時61)と大阪市西淀川区の無職植本勝也(当時43)は、インターネットで児童ポルノのDVDを販売したとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。

11月27日(金)被告人・高相祐一:覚せい剤取締法違反(所持、使用)(判決)
<酒井法子の夫の覚せい剤事件> 09年8月、自称プロサーファーで、女優酒井法子の夫、高相祐一(当時41)は、東京都渋谷区の路上で覚せい剤を所持していたとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(初公判)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。


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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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