2009年3月30日
着エロかポルノか…この裁判は長そうだ
先週、森法務大臣が、全国のレンタルビデオ店約5000点で広報用DVD2本を無料で貸し出すことを発表しました。
気になる2つのタイトルは、「裁判員制度~もしもあなたが選ばれたら」と「総務部総務課山口六平太 裁判員プロジェクトはじめます!」です。1つは、中村雅俊が初監督した作品で、もう1つは人気キャラクターを起用した広報DVD。初のアニメ作品です。
裁判員制度をみんなに知ってもらうための作品なんだから、配布すればいいと思うんだけどね。ただ、東京地裁では「評議」「裁判員」「審理」の最高裁が作ったDVDを無料配布してるんだけど、1階ロビーに置いてないからか、もらっていく人を見たことないですね。無料レンタルがちょうどいいのかもしれません。
古い作品だけど、まだ見てない方はお近くのレンタルビデオ屋さんへ。
さて、今週の傍聴記なんだけど、年度末は裁判員らしい裁判(審理をしっかりやる)が少ないもので、その中から報道された事件となると、ってなわけで、非常に短い傍聴記3本立てです。
まずは、3月23日に行われた神崎修一被告人(逮捕当時41)の初公判。罪名は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に係る法律違反。
08年6月、芸能プロダクション「ピンキーネット」社長の神埼らは無職の16歳少女をモデルに、貸しスタジオ内で児童ポルノを製造したとして逮捕、起訴された事件ですね。水着を身につけるなどして、胸や下半身を露出しない映像は「着エロ」とも呼ばれますが、児童ポルノとして摘発されるのは異例。モデルになった無職の少女が「恥ずかしい姿を撮られた」と警察に相談し発覚したと伝えられました。
着エロ初摘発と話題になった事件なので、傍聴席はかなりの数が埋まっていました。起訴されたのは、被告人は少女が18歳未満と知りながら、撮影現場に派遣したという内容。これに対しての罪状認否です。
被告人 「結果的に18歳に満たない被害女児に嫌な思いをさせてしまいました。しかしながら、DVDは私が考えていた内容とは違っていました」
と、客観的な事実を認めた上で、故意はないと無罪主張です。
その後の弁護人の主張によると、被告人がDVDの撮影内容を知らなかったこと、そもそも本件のDVDが児童ポルノにあたるのかを立証していくようです。
今後、DVDを撮影した監督を呼ぶことなどを決めて閉廷でした。「芸術か? ポルノか?」を争った裁判はあるけど、「着エロか? ポルノか?」を争うのは、日本の裁判史上初。結果が気になる裁判ですね。ただ、この裁判が長引きそうになるのがわかると、裁判官が面倒くさそうな顔をしていたのが気になるが。
2つ目は、3月24日に行われた松内純隆被告人(逮捕当時34)の控訴審初公判。罪名は日米相互防衛協定等に伴う秘密保護法違反。
特別防衛秘密にあたるイージス艦機能の中枢データを含むファイルを漏えいしたとされる事件です。調べによると、松内は特防秘のファイルが入ったCDを、広島県にある第1術科学砲術科の教官に隊内の配達便で送り、特防秘を漏えいしたとされる。外交問題にも発展した大事件の控訴審初公判です。被告人は1審で否認していたものの、結果は懲役2年6月執行猶予4年の判決を言い渡されたので、控訴していたわけです。
法廷は東京地裁で一番大きいところを用意したためか、傍聴希望者が少なく、抽選は定員割れでした。あまり注目されてないようです。
そして、
裁判長 「弁護側から控訴趣意書が出されてますが、検察官ご意見を」
検察官 「本件控訴は理由がなく、棄却されるべきと思料します」
裁判長 「証拠についでは」
検察官 「いずれも不必要と」
と、おなじみのやり取りがあって、スタート。
今度は弁護人に対して、
裁判長 「えーー、被告人質問と証人29人を予定していますけど、裁判所としてはこんなに必要なのか、と」
弁護人 「短時間でもかまいませんので。(無理なら)立場の違う人から5人ほどですね、短時間で構いませんので、複数お願いしたいなと考えております」
と、弁護人が29人も証人を出そうとしていることが明らかになりました。この裁判も長引きそうです。それにしても、なんで弁護人は、こんなにも申し訳なさそうにしてるのやら。
裁判長 「裁判所としては、証人1人を聞いて、それで複数必要なのか判断したいです。それでは証人を1人選んでください」
これは弁護人にとっては大変重要は決断を迫られたわけです。その証人次第では、他の証人が呼べなくなるんです。
弁護人数人が、花いちもんめで欲しい人を相談するように真剣に証人を選びだしたところで閉廷でした。
証人が多数採用されたら、判決まで何か月かかるのやら。
3つ目は3月26日に行われた上鈴木広行被告人(逮捕当時41)の判決公判。罪名は昏睡強盗、窃盗、窃盗未遂。東京歌舞伎町のスナックで、男性を酔わせて現金を奪った事件ですね。これは上鈴木が女装して客を呼び込み、共犯者が酒を作ったり、客を装って酒を勧めたりして、こん睡状態にしていたと伝えられましたね。女装で呼び込んだと言うのがセンセーショナルだったのか、大きく報じられた事件です。
初公判が07年9月20日で、先週やっと判決となったわけです。実に長い裁判でした。被告人が否認していたのが、長引いた理由の1つなんだけど、実はこの裁判は異例づくしだったんです。
被告人は初公判で、罪状認否して、第2回公判から出廷を拒否。しかし、裁判官は再三の呼び出しに応じないということで、被告人が不出頭のまま審理を続けたのです。なので、被告人はいないままで、1年以上もの間、10数人の証人尋問が行われる異例の裁判となりました。
その間、弁護人が被告人と面会できないなどの理由で4人も変わったのも異例。被告人が初公判から1年以上も経って2度目の出廷をした時は、罪を認めたというのも異例。被告人がいない間に4件の追起訴があったので、被告人質問終了後に罪状認否が行われたのも異例。とにかく、変な裁判だったのです。
そのうわさが広まったのか、この裁判は人気が高く、傍聴席がすぐに埋まっていたんです。傍聴できないことが何回あったことやら。それが、26日の判決公判では、傍聴人がたったの6人。司法記者も1人もいません。この飽きっぽい世間の流れって、いったい…。
白髪交じりのポニーテールに、シャネルのフリースをはおって入廷してきた被告人に対して言い渡されたのは、懲役10年(未決拘留日数400日算入)の実刑でした。
裁判官は前科が4犯あること、平成17年に出所して2年余りで同種犯行をしたなどの判決理由として述べていました。どうやら、1年以上の不出頭は判決に関係ないようです。判決理由に含まれるかと思ったんだけどねぇ。
毎年のことだけど、年度末と年度初めは裁判が極端に少ないですね。春休みで傍聴する時間も作れる人もいるはずなのにね。裁判所は傍聴をさせたがっているのか、させたくないのか。
とういうことで、今週は裁判がほとんど行われないので、次回の更新は4月13日です。
注目の裁判
11月24日(火)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。
11月24日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。
11月24日(火)被告人・板垣宏 十亀弘史 須賀武敏:爆発物取締罰則違反
<迎賓館などにロケット弾が発射された事件> 1986年に迎賓館などにロケット弾が発射したとして、中核派の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏が逮捕された。1審では証拠不十分で全員が無罪とされたが、2審では無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。上告審も2審判決を支持し、1審に差し戻された。
11月24日(火)被告人・松田真知:銃刀法違反など(控訴審初公判)
<大量の拳銃や実弾を密輸した事件> 06年1月、指定暴力団稲川会系松田組組長、松田真知は幹部の後藤広一らと共謀して拳銃11丁、実弾220発などを密輸したとして逮捕された。1審で無期懲役、罰金400万円(求刑無期懲役、罰金500万円)を言い渡された。
11月25日(水)被告人・寺岡誠吉:殺人
<運送会社役員を殺害した事件> 08年12月、運送会社社長の寺岡誠吉(当時71)は、元暴力団組員に依頼して06年9月に同社役員の栩野雅晴さん(当時66)を殺害させたとして逮捕された。
11月25日(水)被告人・竹田慶介:公然わいせつ(初公判)
<路上で下半身を露出した事件> 09年10月、東京都豊島区の学習塾経営、竹田慶介(当時27)は同年9月に同区内の路上でズボンを降ろして下半身を露出し男子中学生3人に見せたとして逮捕された。
11月25日(水)被告人・小川俊之:爆発物取締罰則違反(控訴審判決)
<皇居に向かって火薬を詰めた消火器を発射した事件> 08年9月、神奈川県相模原市の元陸上自衛隊員の小川俊之(当時34)が、火薬を詰めた消火器を皇居に向けて発射したとして、逮捕された。
11月26日(木)被告人・原田久:威力業務妨害(初公判)
<サラ金の業務を妨害した事件> 09年10月、愛知県岡崎市の無職、原田久(当時38)は、消費者金融「レイク」のコールセンターに約500回電話をかけ、女性オペレーターにひわいな言葉をかけたとして逮捕された。女性の体の一部を表す言葉などをかけて業務を妨害したという。
11月26日(木)被告人・小川美津子、他2人:昏睡(こんすい)強盗と保護責任者遺棄(初公判)
<スナック経営者による昏睡強盗事件> 09年2月、東京都渋谷区のスナック経営、小川美津子(当時73)ら男女4人は、スナックで男性客に酒を飲ませて泥酔させ、キャッシュカードを盗んで路上に放置したなどとして逮捕された。
11月26日(木)被告人・松原弘樹:強盗(初公判)
<自衛隊員による強盗事件> 09年9月、陸上自衛隊第1空挺団(千葉県船橋市)の陸士長松原弘樹(当時21)らは、東京・六本木のビル敷地内で飲食店従業員男性(当時22)を倒し、顔を殴るなどして現金約13万円入りの財布を奪ったとして逮捕された。
11月26日(木)被告人・植本勝也、井福一郎、他1人:児童買春・ポルノ処罰法違反(初公判)
<暴力団員らによる児童ポルノ販売事件> 09年9月、大阪府守口市の指定暴力団山口組系暴力団組長井福一郎(当時61)と大阪市西淀川区の無職植本勝也(当時43)は、インターネットで児童ポルノのDVDを販売したとして逮捕された。
11月27日(金)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。
11月27日(金)被告人・高相祐一:覚せい剤取締法違反(所持、使用)(判決)
<酒井法子の夫の覚せい剤事件> 09年8月、自称プロサーファーで、女優酒井法子の夫、高相祐一(当時41)は、東京都渋谷区の路上で覚せい剤を所持していたとして逮捕された。
11月27日(金)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(初公判)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。
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