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2009年3月23日

ハドソン脅迫男の要求額は7000兆円

 先週、法テラスに関する世論調査が発売されました。「日本司法支援センター(法テラス)」について、「名前も業務内容も知らない」と答えた人が、67・5%。逆に「名前も業務内容も知っている」と答えた人が、9・5%だったらしい。

 業務内容まで答えられる人が、10人に1人の割合でいるんですね。こりゃ、すごい。
 俺個人は、業務内容のすべては答えられないけどなぁ。でも“法で社会を照らす”“日あたりのよい照らすのような安心できる場所にしたい”とネーミングの由来は知ってるから、「名前の由来は知っているが、業務内容のすべては知らない」という返答になるでしょうね。

 実際どのあたりまで、相談に乗ってくれるんだろ? 情報提供もどんなこと教えてくれるんだろ? 個人的に法的なトラブルに巻き込まれたことないから、謎だらけの組織なんだよな。裁判所に置いてあるパンフレットの中でも、一番漠(ばく)然とした内容なのが法テラス。それなのに1割の人が知ってるなんて。

 今回は3月19日に行われた池孝雄被告人(逮捕当時29)の裁判傍聴記。罪名は威力業務妨害。
 携帯電話のゲーム、「桃太郎電鉄imode」の基本設定が気に入らなかったのが理由でソフト制作会社を脅迫して業務を妨害したという事件ですね。
 調べでは08年10月11日から09年1月16日まで、11回に渡り、自分の携帯電話から大手ゲームソフト制作会社ハドソンに「今から現金80兆円を持って、JR高松駅まで来い! テメェの会社へ爆弾を送りつけて、皆殺しにしてやる!」などと、メール送信し、同社に警戒させるなど業務を妨害した。

 池は06年から「ゲームの設定期間が最大20年までしかないので、100年のモードを作ってほしい」などと要求。「改善されないので、困惑させてやろうと思った」などと供述したと伝えられましたね。
 このニュースを聞いた時は、どこまで本気なんだ? と思ったわけです。ボンバーマンで有名なハドソンに爆弾送りつけようととするって。さらに、要求金額が80兆円ですよ。スリの銀次より悪質(冗談のつもりだったんだろうけど)。

 起訴されたのは、報道の内容の通り。ハドソンに送ったメールには「777兆円持ってこい」や「新年の祝いにぶっ殺してやるからな」といったものがあり、最後に送ったメールは、「7000兆円をカバンに入れて持ってこい」だったようです。7000兆円入るカバンって、いったい。
 法廷には、被告人の母親が情状証人として出廷。「被告人には、先天性の甲状腺機能低下症の障害がある」等々の証言をして、今後の監督を泣きながら約束していました。
 そして、被告人質問。まずは、弁護人から。

 弁護人 「こんなことをしたのは、何がきっかけですか?」
 被告人 「ゲーム中に画面が9に停止して、ケータイの電源が落ちることがあったからです」

 どうやら、ホントの動機はゲームの設定じゃなく、ゲーム中のフリーズと電源OFFだったようです。

 弁護人 「それが過激メールになったのは?」
 被告人 「その症状がひんぱんに起きて、それが過激な内容のメールになった原因です」
 被告人 「何度もメールを送ったのはなぜですか?」
 被告人 「何度もゲーム中に画面が止まって、電源が落ちたからです」
 弁護人 「本当に殺そうとかお金を取ろうとは思ってなかったんですよね」
 被告人 「まったくありません」
 弁護人 「被害会社に何て言って欲しかったんですか?」
 被告人 「システム改善しますと言って欲しかっただけです」

 ゲームシステムに問題があったのか、被告人のケータイに問題があったのかは定かじゃないんだけどね。

 弁護人 「あなたの送ったメールが、(ハドソン側の)仕事の邪魔になると思いませんでした?」
 被告人 「その時は怒りだけで、考えていませんでした」
 弁護人 「今、被害会社に対しては?」
 被告人 「心より申し訳ないことをしたと思っています」
 弁護人 「今後、桃太郎電鉄をやろうとは?」
 被告人 「いえ、思いません」

 別に桃鉄はやっていいんじゃないかと思うんだけどね。また画面が固まるかもしれいないし、やらない方が賢明か。
 次は検察官からの質問。

 検察官 「あなたのお母さんが、涙流して証言しているのを見て、どう思いました?」
 被告人 「大変心が痛く、申し訳ないことをしたと思いました」

 そして、恒例の質問です。

 検察官 「軽い気持ちでやったのかもしれない。でもね、去年、秋葉原で連続殺傷事件がありましたよね。ネットで犯行予告をして。あなたのメールがいたずらかもしれないけど、警備しなきゃいけないのわかります?」
 被告人 「そこまで深く想像できなかったんです」

 そりゃ、“7000兆円持ってこい!”なんてのはいたずらだと思ってただろうけど、無視するわけにはいかないんですよね。

 検察官 「あなたは感情を抑えられないんじゃない?」
 被告人 「はい」
 検察官 「今後、仕事によってはメールや掲示板を利用しなきゃいけないかもしれない。絶対、感情に任せて書いちゃいけませんよ」
 被告人 「はい! 書きません」

 と、同様の行為はしないと誓って、質問終了。裁判官からの質問はなく、検察官が懲役1年6月を求刑して、閉廷、と思いきや、

 裁判官 「10分ほどお時間をいただいて、判決を」

 と、即決になりました。ま、被告人に前科前歴はないし、実家から母も来ているし。
 で、結果は懲役1年6月執行猶予3年でした。このまま一緒に実家に帰宅させるための即決って感じですね。そして、閉廷の直前、法壇から、

 裁判官 「お母さん! しっかり監督お願いしますよ!」

 と、話しかけ、

 証人 「はい、ありがとうございました」

 と、答えたところで閉廷でした。
 それにしても、ネット上の犯行予告って減らないなぁ。気軽にやれちゃう犯罪なんでしょうね。

注目の裁判

11月24日(火)被告人・秋山直紀:所得税法違反
<防衛汚職関連の所得税法違反事件> 08年8月、日米平和・文化交流協会会長の秋山直紀(当時58)は、防衛関連企業から受け取ったコンサルタント料を隠し所得税を免れたとして逮捕された。

11月24日(火)被告人・芳賀吉孝、小野克巳、五郎川弘之、他2人:わいせつ図画販売・頒布
<わいせつDVD販売を手助けした事件> 08年3月、アダルトDVD業界最大手の自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」が、作品の審査基準を甘くして、わいせつDVDの販売を手助けしたとして、審査部統括部長小野克巳(当時51)らを逮捕した。

11月24日(火)被告人・板垣宏 十亀弘史 須賀武敏:爆発物取締罰則違反
<迎賓館などにロケット弾が発射された事件> 1986年に迎賓館などにロケット弾が発射したとして、中核派の須賀武敏、十亀弘史、板垣宏が逮捕された。1審では証拠不十分で全員が無罪とされたが、2審では無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。上告審も2審判決を支持し、1審に差し戻された。

11月24日(火)被告人・松田真知:銃刀法違反など(控訴審初公判)
<大量の拳銃や実弾を密輸した事件> 06年1月、指定暴力団稲川会系松田組組長、松田真知は幹部の後藤広一らと共謀して拳銃11丁、実弾220発などを密輸したとして逮捕された。1審で無期懲役、罰金400万円(求刑無期懲役、罰金500万円)を言い渡された。

11月25日(水)被告人・寺岡誠吉:殺人
<運送会社役員を殺害した事件> 08年12月、運送会社社長の寺岡誠吉(当時71)は、元暴力団組員に依頼して06年9月に同社役員の栩野雅晴さん(当時66)を殺害させたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・竹田慶介:公然わいせつ(初公判)
<路上で下半身を露出した事件> 09年10月、東京都豊島区の学習塾経営、竹田慶介(当時27)は同年9月に同区内の路上でズボンを降ろして下半身を露出し男子中学生3人に見せたとして逮捕された。

11月25日(水)被告人・小川俊之:爆発物取締罰則違反(控訴審判決)
<皇居に向かって火薬を詰めた消火器を発射した事件> 08年9月、神奈川県相模原市の元陸上自衛隊員の小川俊之(当時34)が、火薬を詰めた消火器を皇居に向けて発射したとして、逮捕された。

11月26日(木)被告人・原田久:威力業務妨害(初公判)
<サラ金の業務を妨害した事件> 09年10月、愛知県岡崎市の無職、原田久(当時38)は、消費者金融「レイク」のコールセンターに約500回電話をかけ、女性オペレーターにひわいな言葉をかけたとして逮捕された。女性の体の一部を表す言葉などをかけて業務を妨害したという。

11月26日(木)被告人・小川美津子、他2人:昏睡(こんすい)強盗と保護責任者遺棄(初公判)
<スナック経営者による昏睡強盗事件> 09年2月、東京都渋谷区のスナック経営、小川美津子(当時73)ら男女4人は、スナックで男性客に酒を飲ませて泥酔させ、キャッシュカードを盗んで路上に放置したなどとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・松原弘樹:強盗(初公判)
<自衛隊員による強盗事件> 09年9月、陸上自衛隊第1空挺団(千葉県船橋市)の陸士長松原弘樹(当時21)らは、東京・六本木のビル敷地内で飲食店従業員男性(当時22)を倒し、顔を殴るなどして現金約13万円入りの財布を奪ったとして逮捕された。

11月26日(木)被告人・植本勝也、井福一郎、他1人:児童買春・ポルノ処罰法違反(初公判)
<暴力団員らによる児童ポルノ販売事件> 09年9月、大阪府守口市の指定暴力団山口組系暴力団組長井福一郎(当時61)と大阪市西淀川区の無職植本勝也(当時43)は、インターネットで児童ポルノのDVDを販売したとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・波和二:組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)
<L&G詐欺事件> 09年2月、健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」は、組織的に会員から出資金をだまし取ったとして会長の波和二(かずつぎ)(当時75)や幹部を逮捕した。被害者約3万7000人、被害総額約1260億円とみられる。

11月27日(金)被告人・高相祐一:覚せい剤取締法違反(所持、使用)(判決)
<酒井法子の夫の覚せい剤事件> 09年8月、自称プロサーファーで、女優酒井法子の夫、高相祐一(当時41)は、東京都渋谷区の路上で覚せい剤を所持していたとして逮捕された。

11月27日(金)被告人・和田達夫、嘉藤悦男:背任(初公判)
<理化学研究所をめぐる汚職事件> 09年9月、独立行政法人「理化学研究所」(理研、埼玉県和光市)の主任研究員、和田達夫(当時53)は、取引先の理化学器具開発販売会社「秋葉産業」の社長、嘉藤悦男(当時76)から旅行や飲食費などの代金付け回しを受け、その穴埋めに架空発注を行ったとして逮捕された。


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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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