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2008年3月03日

弱いコンビニ強盗、犯行の動機は…

 連日、ロス疑惑の報道ですよ。ニュースも新聞も週刊誌も三浦和義元社長が取り扱われない日がない。数多くある情報の中で一番驚いたのが、法廷内の音声。ニュースではしつこいくらいに流れていた保釈請求の三浦元社長の声です。あれって、てっきり報道関係者が許可を得て録音したものかと思ったら、裁判所の事務所で販売してるんだとさ。

 産経新聞の記事によると、法廷内のやり取りを録音した、カセットテープ1本が7ドル50セント(約800円)とのこと。テープだけじゃなく、捜査書類なんかもコピー可能らしい。
 国が違うから比べても、仕方ないかも知れないけど、日本では無理なのかなぁ。裁判傍聴が可能なのは、司法、裁判の審理が正しく行われているかを監視する目的なわけです。傍聴人が1人もいない裁判だってあるんだから、録音したカセットテープを販売することで裁判が公平、公正に行われていることをアピールできるかと思うんだけど。個人的には録音テープが販売されたら、傍聴しながらメモをとらなくて楽だなぁってだけなんだけどね。一字一句間違わずメモるのはたいへんだからねぇ。
 今回は2月27日に行われた村越淳一郎被告人(38)の裁判の話。罪名は窃盗・強盗未遂。
 東京都台東区のコンビニエンスストアで07年11月26日午後6時過ぎ、刃物のようなものを出して強盗しようとしたとして強盗未遂で逮捕された事件ですね。村越は「30万円を出せ!」と刃物のようなものを出して脅したが、店長にイスで殴られ押さえつけられたという。
 この店の店長はすごいですね。刃物のような物を持った男にイスで反撃ですから。しかも、撃退。
 まずは、2月4日に行われた初公判。検察官の冒頭陳述によると、被告人は07年11月21日正午頃、台東区内の武道具店で模造刀4本(9万7000円相当)を万引きしたと。これは報じられていなかった窃盗事件です。

 そして、その5日後の11月26日の18時20分ころ、ニット帽をかぶり、サングラスをかけ顔が分からないような格好をして、コンビニエンスストアに入店。そして、レジにいた店長(40)に模造刀を突きつけながら、「1マン30マイ。ソト、ケンジュウ、アル」などと外国人のような片言の日本語で現金30万を要求。しかし、店長はイスで反撃して、犯人は現行犯逮捕されたというのが事件の詳細のようです。
 記事にあった、刃物のような物っていうのは模造刀のことなんですね。たしかに、刃物のような物だな。それより、被告人は外国人を装ってたようです。顔を隠して模造刀を突きつけている状態でコンビニ強盗であるとわかるだろうけど、「1マン30マイ。ソト、ケンジュウ、アル」って言われてもよく分かんないよなぁ。拳銃を売りに来たようにも思えるけど。

 で、被告人の経歴も述べられたんだけど12年前に父親が亡くなり、保険や遺産が手に入るが、その手にした4800万円を豪遊などして2年間で使い果たしてしまう。そのあとは、女性の家に転がり込むも、浮気がばれて追い出されてしまう。やっと、働き出すがアルコールに依存するようになり、現在は生活保護を受けて生活しているとのこと。何か芥川龍之介の杜子春のような話だが、杜子春は強盗はしなかったからなあ。

 生活保護は月に18万円の受給だったらしいんだけど、ぜい沢はできなくても生活はできてたと思うのだが。果たして動機は?
 そして、2月27日の第2回公判。証人として、生活支援のNPO法人の理事長が出廷です。
 弁護人 「あなたはどんな活動をしているのですか?」
 証人 「ホームレスの人がアパートを借りる際にお手伝いしたり、その後の支援などをしています」
 被告人は女性に追い出されたあとに証人のもとを訪れ、いろいろと世話になっていたようです。
 弁護人 「生活保護の申請など、一緒にしていたようですが、アルコールに関しては何かしていましたか?」
 証人 「アルコールの依存症のリハビリ施設に連れて行きました」

 こういうNPO法人って生活基盤を固めるため住居や仕事の世話をするイメージがあったんだけど、リハビリ施設に連れてったりもするのね。面倒見がいいなぁ。

 弁護人 「普段、被告人はどんな人物でした?」
 証人 「おとなしく言葉遣いも丁寧な人です」

 おとなしい人が強盗してしまうんですね。これに対しては検察官も質問していました。

 検察官 「被告人は普段、外国人のような口調になることはありました?」
 証人 「ありません」

 事件に関することだから、聞いておかなきゃいけないんだろうけど、くだらない質問のように思えるなぁ。つまり強盗の時にとっさにいつものクセが出て外国人の口調になったのではなく、普段はやらないことを、犯罪をするにあたってあえてやった、つまり犯罪は計画的に行われたという証拠にしたいのでしょう。そう考えると大事な質問ではあるのかもしれないけど。
 そして、被告人質問です。

 弁護人 「逮捕されたときの所持金はいくらでした?」
 被告人 「300円くらいだったと思います」
 弁護人 「次の生活保護受給日はいつでした?」
 被告人 「(強盗4日後の)11月30日です」
 弁護人 「数日後に返すのでお金を貸して欲しいと、同じアパートの住人にケータイのメールで頼みましたね」
 被告人 「はい。でも、貸せないと」
 生活費が足りなくなり借金を頼んでも断られて、今回の犯行のようです。と思ったら、
 弁護人 「取調べでは“旅行に行って、温泉に入り、お酒を飲みたかった”と答えてたようですが、ほんとの理由は何ですか? 一番強い動機は?」
 被告人 「お酒…」
 弁護人 「アルコールのことで通院してましたよね」
 被告人 「はい。2週間に1度です」
 弁護人 「それでお酒は飲んでなかったんですよね。どれくら前から、やめてたんですか?」
 被告人 「2カ月前です」

 2カ月間お酒を我慢してきたのに、よりによって生活保護受給日4日前の所持金300円しかないときに、酒が飲みたくなるなんて。

 弁護人 「では、強盗未遂のことを聞きます。どんな風に店長を脅しました?」
 被告人 「外国人風にしゃべって脅しました」
 弁護人 「それを聞いて、店長の行動は?」
 被告人 「レジの下でごそごそと何かしていたので、お金を用意しているのかと思ってのぞき込むと、木の大きなイスを突き出して、店の外まで押し出されて逮捕されました」

 あらためて、店長すげぇ。そして、強ぇ。30万って行ったら、人件費とか引いたら何日分の利益だって話ですからね。店長もよほどの怒りがあったんだろうけど。

 弁護人 「今、店長に対しては?」
 被告人 「強盗して、謝りたいです」
 弁護人 「あ、あと、強盗の件だけど、日本刀に興味があったんですか?」
 被告人 「4年ほど前から」
 弁護人 「強盗に使うつもりで盗んだわけではありませんね」
 被告人 「はい。そうではありません」

 と、模造刀の窃盗に関しては、ちょっとないがしろ感は否めない感じで、質問終了。
 次は検察官からの質問です。

 検察官 「(取調べで)押入れの盗んだ模造刀を見て強盗に使ったと言ってますけど、その中から刃渡り45センチの物を選んだのは、本物に見えるから使ったんですよね」
 被告人 「はい」
 検察官 「これだけの刀なら抵抗しないと思ってたんですよね」
 被告人 「えぇ、そうです」
 検察官 「外国人風の口調を使うとか、外に拳銃があると脅すのを思いついたのは?」
 被告人 「当日、家で直前に考えました」

 かなり思いつきの犯行だったけど、外国人風の口調や、脅し文句はその場ではなく事前に家で考えたようです。計画的な部分はあるのだろうが、酒を飲みたい気持ちはここまで人を動かすのか。
 最後は裁判官からの質問。

 裁判官 「あのー、証拠の写真を見るとね、(模造刀の)鞘(さや)が壊れているけど、店長ともみ合って壊れたの?」
 被告人 「いや、店長が折ったんです」
 やっぱり、店長強ぇ。椅子で被告人を突き飛ばし、店外へ押し出し、さらに模造刀の鞘をへし折って、犯人逮捕。ここまでの豪傑じゃないとコンビニの店長は務まらないのかねぇ。
 裁判官 「お酒が飲みたかったということだけど、医師からアルコールについては?」
 被告人 「一滴も飲むなという指示でした」

 このあと、裁判官は何も言わず質問終了。言われなくても分かってるでしょってことでしょうか。
 アルコール依存症の人にとって、2カ月間断酒できたのは意志が強い方じゃないのかな。勾留されてる期間を合わせると5カ月近く飲酒してないんだから、このままやめられそうなんですけどね。最終的には禁酒じゃなくて、禁犯罪、と。

注目の裁判

5月12日(月)被告人・武藤勇貴:殺人等
<実妹を殺害した事件> 06年12月、予備校生の武藤勇貴(当時21)は、実妹の亜澄さん(20歳)を殺害、死体をバラバラにした。亜澄さんから「勉強しないので成績が悪い」「夢がない」などとなじられ殺害を決意したと逮捕後に供述した。

5月12日(月)被告人・矢飼清正 上崎史登:準強制わいせつ(初公判)
<大手広告代理店社員によるわいせつ事件> 08年3月、大手広告代理店博報堂の社員矢飼清正(当時41)と、上崎史登(当時24)は、前年12月に港区の高級ホテル客室内で女性に睡眠薬を混入したワインを飲ませ、わいせつな行為に及んだとして逮捕された。

5月12日(月)被告人・後藤祐樹:窃盗、強盗傷害
<元人気歌手による窃盗事件> 07年10月、人気歌手ユニット「EE JUMP」元メンバーの後藤祐樹(当時21)は7月、江戸川区江戸川2丁目の都営住宅建築工事現場から、電気工事用ケーブル数十巻(約100万円相当)を盗んだとして逮捕された。その後、強盗傷害容疑でも逮捕された。後藤は「モーニング娘。」元メンバーの後藤真希さんの弟。00年、ユウキの芸名でソニンとのユニット「EE JUMP」でデビューした。

5月12日(月)被告人・小林一美(控訴審初公判):脅迫、威力業務妨害
<池内ひろ美さんを脅迫した事件> 07年2月、会社員の小林一美(当時45)が、家族問題などに詳しい評論家の池内ひろ美さんを脅迫し、講演を中止させたなどして逮捕、起訴された。小林は06年12月、名古屋市内の文化センターで池内さんが講演することを把握し、同日午前2時頃、自宅のパソコンからインターネット掲示板2ちゃんねるに「一気にかたをつけるには文化センターを血で染めあげることです」などと書き込んで脅迫、講演を中止させた。

5月13日(火)被告人・小嶋重綱:婦女暴行未遂
<偽の警察手帳を使った婦女暴行未遂事件> 08年1月、無職小嶋重綱(当時71)は、友人と話をしていた都内の女子短大生(18)に「たばこを吸っていただろ」などと脅して河川敷に連れ出し「騒いだら殺す」と短大生を乱暴しようとした疑い。

5月13日(火)被告人・友部博文、新井拓:暴行
<中核派活動家による大学職員暴行事件> 07年4月、中核派全学連活動家で法大2年の新井拓(当時32)と同派支持者の元法大生の友部博文(当時24)は、退学処分への抗議デモで大学職員を引き倒し暴行の現行犯で逮捕された。

5月13日(火)被告人・阿多真也、鷺谷輝行、伊藤玲雄:殺人、傷害致死、死体遺棄など
<架空請求詐欺グループの仲間割れによる殺害事件> 05年6月、架空請求詐欺グループの伊藤玲雄、阿多真也らは、グループを抜けようとした千葉県船橋市の男性ら4人を監禁した上で殺害した。1審判決で伊藤が死刑、残る2人は無期懲役の判決を受けた。

5月14日(水)被告人・宮田克彦、新田こと禹時允(判決):覚せい剤取締法違反
<北朝鮮からの覚せい剤密輸事件> 06年5月、指定暴力団極東会系組長宮田克彦(当時58)と韓国籍の禹時允(当時59)らは、北朝鮮から覚せい剤を密輸したとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された。逮捕当時、禹は01年の不審船事件で、北朝鮮工作船から回収された携帯電話の持ち主と報じられた。

5月15日(木)被告人・斎藤隆文 押味利明:贈賄、収賄(初公判)
<国土交通省関東地方整備局東京港湾事務所の贈収賄事件> 08年3月、国土交通省関東地方整備局の東京港湾事務所の元企画調整課長押味利明(当時49)は収賄で、印刷会社「ニッセイエブロ」社員斎藤隆文(当時32)が贈賄で、それぞれ逮捕された。07年4月、押味は広報資料作成などに関してニッセイエブロから随意契約を結べたことの謝礼などの目的で、斎藤から50万円相当のギフトカードを受け取った。

5月15日(木)被告人・栗山龍:強姦致傷、傷害
<AV撮影と称した強制わいせつ傷害> アダルトビデオの撮影と称して、出演女優に薬物を吸わせたうえ、わいせつな行為に及び、全治4カ月の重傷を負わせたとして、ビデオ制作会社バッキービジュアルプランニングの代表・栗山龍ら8人が、強制わいせつ傷害の疑いで04年12月までに逮捕された。それを発端として、次々に明るみに出る“ビデオ撮影”と称した暴行内容。女優の多くは騙されて連れてこられて監禁され、死の一歩手前まで激しい拷問を受けていた。長期入院して車椅子や人工肛門などの重い後遺症を受けた女優も数名。

5月15日(木)被告人・渡辺ノリ子(控訴審判決):放火など
<ドン・キホーテに放火した事件> 04年12月、無職渡辺ノリ子(当時47)はさいたま市のドン・キホーテなどの量販店に連続して放火、男女3人を死亡させた。1審では無期懲役の判決を受けた。

5月15日(木)被告人・秋山勝彦:監禁等
<テレビ番組の取材を装った監禁、強盗事件> 04年8月、香川県の観光牧場の支配人を、テレビ局の取材と称して呼び出し、監禁して現金を奪ったとして、秋山勝彦ら4人が逮捕された。支配人は7月上旬に在京テレビ局の番組に出演していた。4人は支配人をワゴン車に閉じ込め監禁。車内で殴るなどして「500万円用意しろ」と脅しキャッシュカードなどを奪った。

5月16日(金)被告人・黒岩勇:旅券法違反
<エビ養殖投資をめぐる詐欺容疑とパスポート偽造事件> 08年1月、投資会社「ワールドオーシャンファーム」会長の黒岩勇(当時58)は他人名義の偽造パスポートを使用したとして、旅券法違反などの疑いで警視庁生活経済課に逮捕された。  同社は「フィリピンでのエビ養殖に投資すれば1年で倍になる」と宣伝し、約4万人から約600億円を集めたとされ、詐欺容疑で家宅捜索を受けた。黒岩がパスポートを申請したのは07年春で、事業の破綻を見越して計画的に海外逃亡したとみられている。

5月16日(金)被告人・二瓶絵夢:詐欺未遂、有印私文書偽造・同行使
<ジャーナリストらによる詐欺事件> 07年9月、フリージャーナリスト二瓶絵夢容疑者(当時31)元衆院議員秘書で広告会社社長市川和久容疑者(当時45)らは東京・表参道の不動産に関して、架空の売却話を持ち掛け内金名目で11億円をだまし取ろうとしたとして、東京地検特捜部に逮捕された。二瓶は自民党の有力議員のインタビュー記事などを雑誌に執筆するなど活躍し、北朝鮮との交渉に同行するなどしていた。

5月16日(金)被告人・伊沢光二 小河喜信:著作権法違反
<ジャニーズ所属アイドルのDVDを無断販売した事件> 08年2月、小河喜信(当時53)と伊沢光二(当時40)は、ジャニーズ事務所の堂本光一氏主演ミュージカルを無断で録画したDVDをJR有楽町駅近くの路上で販売したとして、逮捕された。

5月16日(金)被告人・小林洋子(判決):詐欺
<手話を使っての詐欺事件> 07年2月、福祉機器販売会社のコニーワイズ(東京都港区)小林洋子社長(当時55)経理担当の町田栄子(56)長男の町田訓清(当時28)が警視庁と山梨県警の合同捜査本部に詐欺容疑で逮捕された。3人は05年に聴覚障害を持つ男性(53)に、手話を使って「私にお金を預ければいい。必ず返すから安心してほしい」と現金2300万円を預けさせ、だまし取った。被害者は約270人、被害総額は27億円にも上る。

5月16日(金)被告人・渡辺和三:公務員職権乱用(初公判)
<警察官が無料でマッサージをさせた事件> 08年3月、警視庁蔵前署刑事生活安全組織犯罪対策課の渡辺和三(当時57)は、交際目的でマッサージ店を経営する30代の女性に携帯電話の番号などを申告させ、無料でマッサージをさせ逮捕された。

阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)。

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