2009年10月19日
貴公子で生き生き/涼紫央
星組男役スター、涼紫央が大阪・梅田のシアター・ドラマシティで上演中のミュージカル「コインブラ物語」(25日まで)ですっきりした貴公子を熱演中だ。主演の専科スター轟悠演じるペドロ王子の妃を、ひたすら愛し守ろうとする近衛隊長役。前回の大劇場公演「太王四神記2」では、世界征服をもくろむ超悪役が評判になった。同公演終了からわずか1カ月。180度の変ぼうぶりにファンも驚くが、涼は「今回は絵本のような作品。私もめちゃめちゃこだわってます」と自信を見せた。

- インタビューに答える涼紫央
涼しげな目元に物静かな語り口、舞台では難しいロングヘアのカツラもすっきり決まっている。星組スターの涼が超悪役を経て“得意分野”の貴公子役に帰ってきた。
「『得意』なんて言ったら“どんだけ自信あんねん!”って言われてしまいそうですが、今回は今までにもたくさん頂いてきたスッキリした役。だから立ち方、カツラとのバランス…。こういうタカラヅカのコスチュームものってすごく気を使うし、超こだわってますよ」。大阪人らしく関西弁と自分へのツッコミも忘れないトーク術。舞台を離れた時の親しみやすさは相変わらずだ。
同作はポルトガルに伝わる「ペドロとイネスの悲劇」をベースにタカラヅカ風にアレンジしたもので、涼演じるビメンタは一途に妃を守ろうとする近衛隊長。身分の違いを乗り越え、2組のカップルが愛を貫こうとするタカラヅカらしいミュージカルだ。
涼のイメージと言えば、「ベルサイユのばら」で2度も演じたオスカルのような颯爽(さっそう)とした貴公子。ところが、最近は少しずつ悪役もこなすようになり極め付きは前回の大劇場公演。「太王四神記2」で見せた大長老役だった。一瞬では涼とは分からないほどのメークにタトゥー、長く黒いツメ…。「でもあれ、すごくおもしろかった。悪役というより、あそこまで濃い役は初めてやったし、なかなかタカラヅカではできないツメやタトゥーも、自分なりにめっちゃこだわって、終わるのが寂しかったぐらい」と目を輝かせて振り返った。
そんな難役を経たからか、本来の持ち味である“正統派”に磨きがかかっているようだ。「やっぱり、オスカルをさせてもらったことがその後の私にはプラスになっていると思います。それからも徐々に勉強していって…。時代物、現代物、コスチュームものっていろいろあるけれど、ある程度『この時はこう』ってタカラヅカのルールの中で型にはめれば、自分の中では自由にやっていけるようになったかな?」。非常に控えめだが、重ねたキャリアに裏打ちされた自信が表情に表れている。
小さいころから熱烈なタカラヅカファンだった。出待ち入り待ちもしたことがある。ファン時代からスターだった轟との共演は「夢見てるみたい」とも。「今、同じ舞台に立たせていただいているのがすごく不思議。存在が遠過ぎて近づけないけれど、公演中は少しでもくっついていきたい」と話した。
これが涼にとっては今年のしめくくりの舞台でもある。「大好きなコスチュームものでしめくくれるのはいいですね。これだけの衣装って他の劇団ではできないでしょう? 例えばスーツのお芝居だったら他でやってもかっこいいと思う。でも軍服着させたらタカラヅカが一番。これはパッと夢の世界に入り込める、絵本のような作品。だからこそ、細かい部分までこだわりたいんです」。少しの妥協も許さない涼の姿勢が舞台にも反映している。
◆「コイブラ物語」 舞台は大航海時代のポルトガル。アルフォンゾ国王(にしき愛)の即位20周年の祝典で、息子ペドロ(轟悠)は王妃の侍女イネス(蒼乃夕妃)を見初め、彼女も身分違いと知りながら恋に落ちた。
しかし、そんな2人の気持ちを知ることもなく、国王はペドロを隣国カストロ国の姫・コンスタンサ(優香りこ)と政略結婚させることを決めてしまった。さらに、彼女にもペドロと同様、思いを寄せる近衛隊長ビメンタ(涼)がいたのだ。婚礼の日。コンスタンサの思いも知ったペドロは、彼女に大胆な計画を持ちかける。一方、ペドロの強い思いを知った国王は、家臣を使いイネスを消してしまおうと計画していた。
☆涼紫央(すずみ・しお)3月9日生まれ、大阪市出身。四天王寺学園を経て96年「CAN-CAN」で初舞台。02年4月「プラハの春」で新人公演初主役。続く「ガラスの風景」でも新公主役を務め03年「恋天狗」でバウホール初主役。05年バウ公演「それでも船は行く」翌年「フェット・アンペリアル」でも主演を務め、タカラヅカの伝統的な男役として確固たる人気を誇る。身長169センチ。愛称「とよこ」。
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