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2009年8月10日

2人で新しい“何か”を生み出す/大空祐飛

 宝塚歌劇団・宙組の新トップコンビ大空祐飛、野々すみ花のお披露目公演「大江山花伝」が福岡・博多座で開幕した。花組から2人そろって組替え→即トップコンビ就任と異例の人事を乗り越え、大空は「大好きな夏にスタートが切れるのはうれしい。これから2人でどんな作品を作っていけるのか、自分も楽しみ」と新しい自分に大きな夢を描く。「飽き性で不器用だった」と話す少女が、入団18年と時間をかけてつかんだ“頂点”でどんな夢舞台を見せてくれるのか。

「2人できっと新しい“何か”を生み出したい」と語り、お披露目公演で茨木童子を演じる大空祐飛(右)と野々すみ花
「2人できっと新しい“何か”を生み出したい」と語り、お披露目公演で茨木童子を演じる大空祐飛(右)と野々すみ花

 荘厳な衣装に幻想的なストーリー展開。平安時代に伝えられた鬼伝説を元に仕立てたラブストーリーで、宙組の新トップ大空が力強い一歩を踏み出した。

 「毎年夏が来るとワクワクするタイプ。そんな大好きな夏に(トップスターとして)スタートが切れるのはうれしいです」。暑い中、重厚な作品で鬼を演じているとは思えないほど、舞台を降りた大空は満面に笑みを浮かべた。

 入団18年目(研18)でのトップ就任は決して順風満帆とは言えない。しかも、同時にお披露目となった野々と2人そろって花組から組替え→即トップ就任は異例の人事だ。普通とは違う気を使うこともあっただろう。大空は淡々と、そして正直に組替え当初を振り返った。

 「自分の立場も変わり、組も変わり。それが同時にやってきて、どっちが大きな変化なのかつかみきれなくて…。最初の1週間ぐらいは自分のペースをつかむ、というか、この変化に自分が対応するのに時間がかかりました」

 それでも、同時に組替えしてきた野々を思い「彼女は私以上に戸惑い、不安になっていると思う。だから私がしっかりしなきゃって。それに彼女は不思議な強さを持っているので、これから一緒にどんな仕事ができるのか? っていう楽しみの方が大きいんです」とも話した。

 タカラヅカの舞台を踏んだからには誰もが目指すトップスターという頂点。だが執着はまったくなかったという。「自分のタカラヅカでの男役像を“確立したい”っていうのを目標に、ずーっと黙々とやってきたんですね。で、ふと顔を上げてみたら頂上に着いていたって感じ。だからこの18年“もう、やだ~!”って言ったことはありますけど本気で辞めようと思ったことは1回もないんです」。

 大空は自分を「この上なく不器用な人間」と分析する。「本当は飽き性だ」とも。小さいころの習い事はほとんど続かなかった。ピアノは家で1回も練習せず、行きづらくなって辞めてしまった。「サボってサボって、いつも自然にやめちゃう、みたいな子だった。でもここ(タカラヅカ)は全然違った。器用じゃないから全然できなくて、飽きるどころか18年もかかったんです。簡単にできるモノだったらもう辞めていたかもしれないな」。

 今はバウホール組(逆転裁判2)と2手に別れているため、本来の規模ではないが新生宙組が発進した。「組をどんな風にしたいか、なんて今はまったくありません。でも私と野々が来たことで宙組のみんなも“どんな人たちなんだろう?”って手探りながら進んでいくと思うんです。その中できっと新しい何かが生まれると思うし、その“何か”は必ず生み出したい」。気負いはないが静かに力強く、トップスター大空祐飛が歩み始めた。

 ◆「大江山花伝」 平安時代、大江山に住む鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ=十輝いりす)の一味は京で略奪を繰り返し恐れられていた。一味の1人、茨木童子(大空)は酒呑童子と人間の間に生まれた男で、幼いころに出会った国守の娘・藤子(野々)との恋を心に秘めながら生きていた。

 時は流れ、ついに帝の命令を受けた渡辺綱(北翔海莉)が酒呑童子退治に乗り出すことになる。いざ、綱が大江山に乗り込もうとした時、下女が同行を願い出る。この下女こそ藤子であり、彼女は大火事で家族を失い、自らも顔に大やけどを負っていた。藤子も茨木童子との再会だけを待ち続け生きていた。

 しかし茨木童子は勇敢な綱に次第に友情を感じるようになる。綱がこの下女を慕っていることを感じ取り二人を都へ帰らせようとする。同作は木原敏江さん原作のコミックを元にしたミュージカルで1986年(昭61)平みち率いる雪組で上演された。レビュー「Apasionado!!2」と二本立てで25日まで。

 ☆大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)6月22日生まれ、東京都世田谷区出身。田園調布雙葉中を経て92年「この恋は雲の涯まで」で初舞台。月組に配属となり98年「WEST SIDE STORY」で新人公演初主役(第1部)。01年「血と砂」でバウ初主役。昨年1月、花組に組替えとなり準トップとして活躍。同10月、野々すみ花と主演コンビを組み「蒲田行進曲」を元にした「銀ちゃんの恋」が話題となった。今年2月、元宙組トップだった大和悠河の後を受け同組トップスターになることが内定し6月、花組から異動してきた。身長170センチ。愛称「ゆうひ」。


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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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