2009年8月03日
新境地、コミカルに/水夏希
雪組トップスター水夏希が魔法使いになった!? 奇想天外な設定とストーリー展開で話題のスクリューボール・コメディー「ロシアン・ブルー」が開幕した。新娘役トップ愛原実花を迎え、アップテンポなセリフのやりとりや、コメディーに欠かせない微妙な“間”など、早くも相性はバッチリ。米ソの緊迫した時代を舞台に、トップの2人が「魔女狩り」時代に迫害された一族の末裔(まつえい)だったことで巻き起こるラブストーリー。トップスターとして3年目に突入し円熟期を迎えた水率いる“新生雪組”が新たな一歩を踏み出した。

- ロシアン・ブルーで白熱の演技を披露する水夏希
キザなセリフもなければ、一本筋の通った男でもない。水演じる米国人アルバートは、ソビエトの女性局員に持ち上げられ退出させられるは、愛原演じるイリーナに顔を近づけては「気色ワルッ」と顔を背けられるは、キャラクター的には全然格好よくない。タカラヅカのトップスターらしからぬ役どころだが、その人間臭さが共感を呼ぶ。
「確かに新たなタカラヅカの主演像ですよね。自分は真剣に生きているんだけど、知らないうちにおちゃらけていったり、軸がぶれたり…。主役があまり格好よくない、正直(笑)。でも“それもアリ”みたいなことができたらなって思ってます。だから三の線に行き過ぎないように、そのサジ加減が難しくって。コメディーってホント難しいですね」
トップスターになって3年目。円熟期を迎えた水をも悩ますキャラクターだが「そういう意味では、また新たな挑戦。これで役の幅が広がるといいんですけど」と貪欲(どんよく)な姿勢は変わらない。
前作で退団した白羽ゆりから、相手役がぐっと若手の愛原実花にバトンタッチした。それだけで組の印象もかなり変わった。水自身も刺激を受けているという。
「みなこ(愛原)と組むことで新しい発見がありますね。私自身(トップスターとして)いろんな事にも慣れてきて新鮮さがなくなる時期というか、慣れて貫禄(かんろく)が出てきて落ち着くのではなく、慣れた上でまた新しい発見ができる。自分でもワクワクしていて“もっともっと新しいことをやっていきたい”って思わせてくれる」。そう目を輝かせた。相手役が変わったことがいいカンフル剤になっているようだ。
さらに、ショー「RIO DE BRAVO!!」では客席を巻き込んでの“サプライズ演出”が待っていた。鮮やかな赤の羽を背負った水が客席に現れたと思えば、金色のポンポンを持ったスターたちがズラリと銀橋に居並び、客席を誘ってリオのカーニバルばりに激しいダンス。手に同じポンポンを持って振りかざすファンもいて最高潮に盛り上がる。
水も「その日の出演者と客席とのキャッチボールなので、最高の瞬間。テレビや映画と違う生の舞台ならでは、ですね」と最高の笑顔を浮かべていた。【土谷美樹】
◆「ロシアン・ブルー」 舞台は米ソが対立する以前の1930年代モスクワ。アメリカの下院議員アルバート(水)は、ソビエトの革命20周年を祝うレビュー公演のため、モスクワにやってきた。それを迎え入れるソ連の女性官僚イリーナ(愛原実花)。アルバートはこの訪問で成果を上げ上院議員に転出したいと考えていたが「鉄の女」の異名を取るイリーナは断固として上演を許さない。共産党中央委員のエジェフ(未来優希)から、文化事業にかこつけスパイが侵入する危険性を示されていたからだ。
何かといがみ合う2人だが、実は魔法使いと魔女の末裔(まつえい)。自分たちの思惑を胸に、2人は「今こそ魔法を使うべき」と決断する。アルバートとイリーナが手にしたのはどちらも同じ「ほれ薬」。ある夜、同じ薬を手にした2人はそれぞれの飲み物に「ほれ薬」を混入するのだが…。ショー「RIO DE BRAVO!!」と2本立てで7月31日~8月31日まで。
☆水夏希(みず・なつき)8月16日生まれ、千葉市出身。県立千葉女子高を経て93年「BROADWAY BOYS」で初舞台。月組に配属となり95年「ME AND MY GIRL」で新人公演初主役。翌年「CAN-CAN」でも新公主役を務め97年10月、花組に組替え。99年「ロミオとジュリエット」でバウホール公演の初主役を果たした。00年7月、宙組に異動、05年4月に雪組に変わり07年2月、前トップ朝海ひかるの後を受け雪組トップスターに。同年8月、彩吹真央、音月桂、彩那音、凰稀かなめと「AQUA5」を結成、CDデビュー。身長169センチ。愛称「ちか」。
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