2008年11月10日
冷静に、情熱的に/羽桜しずく
タカラヅカ版源氏絵巻、月組公演「夢の浮橋」が開幕した。源氏物語の最終章、光源氏が亡くなってからの「宇治十帖」を舞台化したもので源氏物語1000年を記念し上演。トップスター瀬奈じゅん演じる匂宮(におうのみや)とヒロイン浮舟(羽桜しずく)、準トップ霧矢大夢ふんする薫の3人が繰り広げる切ない恋の物語だ。月組は前娘役トップ彩乃かなみが退団した後「主演娘役を固定しない」という方針を打ち出し、今回が最初の大劇場公演。その中でヒロインに大抜てきされた羽桜にスポットを当てた。

- 『夢の浮橋』のヒロイン浮舟を熱演する羽桜しずく(左)
大劇場の舞台に壮大な「平安絵巻」が浮かび上がった。トップスター瀬奈じゅん演じる匂宮と、準トップ・霧矢大夢ふんする薫。2人に愛される浮舟を熱演するのが今回、ヒロインに大抜てきされた若手娘役羽桜しずくだ。
「“ヒロインなんだ”とか“主演娘役なんだ”なんて考えるととても演じるなんてできないんで、基本に立ち返って“いただいた役を必死でつかむ”ことに精一杯なんです」
ゆっくりと、一言一言のかみしめるように役への取り組みを話す様子が今回の必死さを物語っている。プレッシャーで押しつぶされそうな中、本格的な日本物そのものが初めてという状況で重いカツラや長ばかま、所作や段取りだけで大変そうだが、舞台では堂々のヒロインっぷりだ。
「いろんな意味で不安だらけだけどやるしかない。そんな中でも、当時の日本人女性の切ない思いとか、政権争いの中でモノとして扱われる中でもがく気持ちとか、内面が伝わればいいんですけどね」
月組は前トップ娘役、彩乃かなみが退団した今夏以降、特定のトップ娘役を置かず公演ごとにヒロインを変える方針を打ち出した。一方、羽桜は今年2月に星組から移ったばかり。4月にはミュージカル「ME AND MY GIRL」の新人公演でヒロインをこなし、その次の公演となった「夢の-」本公演でヒロインを演じる、というすさまじい環境の変化に戸惑いは隠せない。
「組替えが遠い昔だったような、最近だったような。時間の流れが遅いか早いかも分からないぐらい。でも、これだけ一生懸命になれる自分と、そういう時間を過ごせることを幸せに思いますし心の底から頑張りたい」。変にリキむのではなく「自分にできることを精一杯やる、ということに集中し、少しでも作品の役に立ちたい」と平常心での熱演を誓っていた。
◆「夢の浮橋」 光源氏が亡くなって数年後。宮中で評判の貴公子といえば、光源氏の孫にあたる匂宮(におうのみや=瀬奈)と、兄弟のように育った源氏の末っ子・薫(霧矢大夢)であった。薫は表向き、源氏とその正妻・女三の宮との間に生まれた子であったが、実は女三の宮と源氏の幼なじみ、頭中将の嫡男・柏木との不義の子であった。
その薫が宇治にある姫を囲い始めた。その姫、浮舟(羽桜しずく)は、昔薫が思いを寄せ、しかし遂げることができないまま失ってしまった八の宮の娘・大君に生き写しだったのだ。その事情を、ひょんな事から知ってしまった浮舟。複雑な人間関係の中、3人の運命は大きく動き出す。ショー「Apasionado!!」と2本立てで12月11日まで。
☆羽桜(はざくら)しずく 12月22日生まれ、札幌市出身。札幌稲西高を経て03年「花の宝塚風土記」で初舞台。星組に配属され昨年4月「シークレット・ハンター」で新人公演初ヒロイン。今年2月、月組に異動し直後の「ME AND MY GIRL」で2度目の新公ヒロインに。身長163センチ。愛称「ありさ」。
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