第11回
1998年
北野監督“父母”亡くし遺志継ぐ

- 98年、石原裕次郎賞を受賞した北野武監督と石原まき子さん
石原裕次郎賞に輝いた「HANA-BI」の北野武監督にとって、映画への思いをあらためて強めた年だった。同作はベネチア映画祭で、最高賞の金獅子賞を受賞した。「世界を舞台に映画をとっていきたい」と意欲に燃えた。
国際的な評価があったこと以外にも、決意を新たにしたのには理由があった。この年「映画の父」と尊敬する黒沢明監督、「励まし続けてくれた母」と慕っていた映画評論家の淀川長治さんが相次いで亡くなった。授賞式の最後には「僕はそんなに悲しんでいません。映画にかけて最後まで過ごしたのは幸せなことだと思う。手前勝手ですが、遺志を継ぎ、いい映画をもっと作っていく、いいきっかけにしたいと思ってます」と締めくくった。
その黒沢監督には特別賞が贈られた。受賞者に贈られる表彰盾は、監督の原画を元にした銅版レリーフだ。「FLYING」と題された1枚で、受け取った黒沢監督の娘和子さんは、盾を見入った。黒沢監督は亡くなる直前まで、映画の話をしていたそうだ。監督が後輩たちに託した夢を大きく飛翔=FLYINGさせることを、北野監督も誓ったに違いない。
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