2006年11月16日
就活女性にお薦めの映画
-プラダを着た悪魔(米=11月18日公開)-
今年5月の異動で「採用」にかかわる立場になった。どんな若者に来てもらいたいか、突き詰めて考える。結局、努力する人、やる気のある人という当たり前の結論に戻る。でも、と経験に照らしてみる。本当に欲しいのは、世の不条理、理不尽にめげない耐久力ではないのか。何事を正すにも、まずは耐えなければならない。
というわけで、これから就活を始めようという人にお薦めするのが今作だ。理屈だけでは突破できない現実。でも、捨てたもんじゃない、という希望。ちょっぴり元気になれると思う。
原作は20代のローレンス・ワイズバーガーが実体験をもとに書いている。ヒロインは編集者志望で、努力とやる気の人。偶然が重なり、高級ファッション誌編集長のアシスタント職に就く。“夢の職場”には違いない。が、彼女はそもそも流行に疎く、カリスマ的な編集長はアシスタントを奴隷のように扱うタイトルそのままの女性だった…。
編集長のメリル・ストリープが相変わらずいい。高みの人という空気、怖さ、あんまりなわがまま…。でも、憎みきれない。そのしたたかさは"男社会"を生き抜くために身に着けざるをえなかったものであり、随所にもろさものぞかせる。この辺がヒロインの救いともなる。
ヒロインのアン・ハサウェイは先日、トーク番組「グータン」(フジ)に出演した。内田恭子、中川翔子との組み合わせだ。天然ボケのウッチーとオタクのしょこたん、である。バラエティ番組の常連でもトークを盛り上げるには難儀しそうだ。日本の芸能界に縁のないハリウッド女優には、文字通り理不尽な仕打ちではないのか。が、恋愛、食べ物…不思議なほど話がかみ合う。
決して人をそらさないこの人の姿勢にいたく感心した。ついでに内田恭子の英語力にも感心した。理不尽の壁を乗り越えようとするヒロインに重なって見えた。キャスティングされた理由が分かった気がした。
監督はデビット・フランケル。衣装のパトリシア・フィールドは、この映画にぴったりのカリスマ的な存在である。タイトルのプラダを始め、最新のブランドものがふんだんに登場するのも見どころになっている。
(このコラムは毎週木曜の更新です)
- 相原斎(あいはら・ひとし)
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1956年5月27日、東京生まれ。早大卒。1980年入社。
文化社会部では主に映画を担当。同部デスク、部長、編集局次長を経て現在総務局長。著書に「寅さんは生きている」(朝日ソノラマ)。